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【データで振り返る20-21女子ツアー】「1ラウンド13バーディ」「プレーオフ15回」新記録あれこれ

女子ツアー2020-21シーズンのさまざまなデータを振り返る「ツアーマニアSP」。今回は、ツアーで生まれた新記録をクローズアップ。

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara

稲見萌寧、史上2人目の
「平均ストローク60台」まで0.06打及ばず

最終戦リコーカップを残して平均ストローク「69.99」をマークしていた稲見萌寧。リコーカップをトータル7アンダー以上で終えることができれば2019年の申ジエに次ぐ史上2人目、日本人選手では初の60台となるはずだったが、結果はイーブンパーで、60台にはわずかに届かなかった。だが、パーセーブ率ではただ一人90%超えを達成。2014年のアン・ソンジュ、2016年のイ・ボミ、2019年の申ジエに続く史上4人目、日本人では初となった。

<2020-21シーズンの平均ストロークと歴代平均ストロークトップ5>

<2020-21シーズンのパーセーブ率と歴代パーセーブ率トップ5>

プレーオフも歴代最多

これまで1シーズンのプレーオフ回数は91年の14回が最高だったが、20-21シーズンは15回と最多回数を更新。しかも同一選手が何度もプレーオフを戦うという展開。それだけ実力が伯仲していた証しだろう。韓国のペ・ソンウは稲見萌寧と渋野日向子に計3度もプレーオフで敗れ、ツアー3勝目にあと一歩届かなかった。

勝率100%は3人

渋野日向子(23)
2戦2勝

●21 スタンレーレディス(2位/木村彩子、ペ・ソンウ、@佐藤心結)
●21 三菱電機レディス(2位/ペ・ソンウ)

古江彩佳(21)
3戦3勝

●20 東海クラシック(2位/東浩子)
●20 伊藤園レディス(2位/酒井美紀)
●21 富士通レディース(2位/勝みなみ)

稲見萌寧(22)
3戦3勝

●20 スタンレーレディス(2位/淺井咲希、ぺ・ソンウ)
●21 明治安田生命(2位/永井花奈)
●21 スタジオアリス(2位/小祝さくら)

ツアー新記録! 驚異の「13バーディ」

初日の競技が悪天候のため中止となった5月の中京テレビ・ブリヂストンで大記録が生まれた。稲見萌寧が9番から15番までの7連続を含む13バーディのツアー新記録を打ち立てた。これまでの記録は19年の申ジエや蛭田みな美ら6人が記録していた11個が最高。男子ツアーでも石川遼や倉本昌弘が持つ12個が最多。稲見は女子ツアーだけでなく、日本一バーディを取った選手となった。

「2位回数」最多の西郷真央
連続アンダーパー記録更新中

昨年までの連続アンダーパ―記録は14試合だったが、稲見萌寧が今年初戦のダイキンオーキッドから15試合連続で記録を更新。さらに、西郷真央が6月のサントリーレディスから最終戦リコーカップまで23試合連続アンダーパーをマークして記録を更新中。西郷は未勝利ながら2位が最多の7回で、賞金ランクも4位とシーズン4勝を挙げた西村優菜をも上回る活躍をみせた。

<20-21シーズン2位回数トップ5>

史上最高の年間獲得賞金
1億円プレーヤーが14人!

年間獲得賞金歴代トップとなる2億5000万円以上を稼いだ稲見萌寧に加え、古江彩佳、小祝さくらの賞金ランクトップ3が2億円超え。さらに賞金ランク14位の渡邉彩香までが1億円プレーヤーに。そのため3000万円以上稼いだのにシード権のボーダーラインに届かなかった選手も。

<歴代シーズン獲得賞金トップ5>

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号より

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  • シーズン9勝という他を寄せ付けない強さで賞金女王に輝いた稲見萌寧だが、見据える先は不動裕理という女子プロ界のレジェンド。稲見と不動のこれまでの記録を比較してみた。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa、KJR ILLUST/Hideki Kamekawa 不動裕理 ふどうゆうり。1996年のプロテスト合格後、6年連続の賞金女王など、数々の記録を残す 不動の記録にどこまで迫れるか 近年、海外志向が強い選手が増えるなか、初の賞金女王に輝いた稲見の考え方は少し違う。今後もスポットで海外の試合に出る可能性はあるが、稲見本人が「一番の目標は通算30勝で獲得できる永久シード。不動裕理さんのような選手になりたい」とコメントを残しているように、まずは永久シードの獲得。そしてその先にいる日本の“レジェンド”を目標としている。現在は、永久シードまで3分の1、そして不動裕理の通算勝利50勝までは5分の1。まだまだ先の長い戦いとなるが、今後稲見がどこまで記録に迫ることができるのか注目していきたい。 【稲見萌寧の主な記録】●シーズン獲得賞金歴代1位……2億2519万2049円●日本人初のオリンピックメダル……東京五輪銀メダル●シーズン優勝回数歴代2位……シーズン9勝●1ラウンドのバーディ数歴代1位……13バーディ●通算10勝目到達年齢歴代2位……22歳108日目(1位は宮里藍)【不動裕理の主な記録】●生涯獲得賞金1位……13億6862万6382円●シーズン優勝回数歴代1位……シーズン10勝(2003年)●連続賞金女王……6年連続●史上最年少永久シード……27歳285日●最多連続予選通過……91試合 今のペースでいくと、永久シードまで150試合かかる計算 7.5試合に1回のペースで優勝を挙げる稲見萌寧。永久シードを獲得できる通算30勝を達成するには、単純計算で最低150試合が必要 不動裕理はここが凄い!2003年は2.5試合に1回のペースで優勝 唯一のシーズン2桁勝利を挙げた2003年。出場した試合はわずか25試合。勝率にすると実に40%。2020-21年に勝ちまくった印象のある稲見の倍の勝率だ 稲見萌寧も負けていない!1試合平均438万6528円稼ぐ 以前と比べて賞金額が増えていることもあるが、1試合の獲得賞金を計算すると、不動よりも稲見が勝っている。このペースなら生涯獲得賞金1位の座を奪うのは時間の問題か 月刊ゴルフダイジェスト2022年2月号より こちらもチェック!
  • 賞金女王にして銀メダリスト、稲見萌寧のスタート前の練習はちょっと変わっている。他の選手がどんどん球を打つなかで、ゆっくりとシャドースウィングしたり、トップの手をじっと見たり。1球、ちょこんと球を打ったと思ったら、またゆっくりシャドースウィング……。この謎めいた練習ルーティンの意義について、奥嶋誠昭コーチに聞いた。 PHOTO/Shinji Osawa、Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki THANKS/北谷津ゴルフガーデン、CAT Ladies2021、スタンレーレディス、日本女子オープン 解説/奥嶋誠昭 おくしまともあき。1980年生まれ。神奈川県出身。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、木下稜介、高橋彩華を指導。横浜のノビテック(ヒルトップ横浜クラブ内)でGEARSを使ったアマチュアレッスンも行う ●Contents●>>稲見萌寧の練習メニュー>>重要なのはトップ位置!>>「球を打つ」練習の目的は? スタート前の練習でヘッド軌道を整える GD 稲見プロは、朝の練習であまり球を打ちませんよね。奥嶋 球を打つのは、その日の調子がどうなのか、球筋を調整しながらコース戦略を立てるために行うのが普通ですが、稲見プロはそこが違うんです。GD というと?奥嶋 インパクトゾーンのヘッド軌道を整えています。GD 球筋を見るのではなく、ヘッド軌道を見ている!奥嶋 だから、SWの小さな素振りから練習を始めます。GD しかも左手1本ですね。奥嶋 稲見プロは左手で振るタイプですから、まずは左手でヘッドの動きを確認するわけです。GD なるほど。奥嶋 稲見プロの練習は、すべてインパクトゾーンのヘッド軌道をスクエアにすることにつながっています。そのため、SWの小さな素振りから振り幅と番手を徐々に大きくして、それぞれの練習メニューの締めに、確認のために球を打つという感じです。GD だから、ほとんど球を打たないんですね。 普通に打つのは4~5球だけ稲見萌寧の練習メニュー すべての練習メニューは、インパクトゾーンでヘッドを正確に動かすためのもの。SWの小さな素振りから始め、振り幅と番手を徐々に大きくしながら、ヘッド軌道を確認するためにボールを打っていることがわかる。普通にボールを打つのは最後の4~5球だけだ。 【Menu1】軟らか棒●手首で右回し●スピードを変えて素振り 【Menu2】SW●左手持ち……腰から腰まで連続素振り ●左手持ち……トップ確認 > ゆっくり素振り●両手持ち……トップ確認 > ハーフウェイダウンを繰り返す ●左手アプローチ●右手アプローチ ●両手アプローチ 【Menu3】8番アイアン●両手持ち……トップ確認 > ハーフウェイダウンを繰り返す●右手持ち……トップ確認 > ゆっくり素振り●両手クロス……体を回して両手を伸ばし、トップ確認 ●両手持ち……トップ確認 > ハーフウェイダウンを繰り返す > 打つ 【Menu4】5番UT、3番ウッド●「3」とほぼ同じメニュー 【Menu5】バット●トップ確認 > ゆっくり素振り 【Menu6】ドライバー●「8番アイアンとほぼ同じメニュー 【Menu7】8番アイアン●ゲートを作って打つ●普通に打つ 4~5球 >>では実際、どんなふうに練習しているの?具体的な中身をチェック! 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より こちらもチェック!
  • 週刊ゴルフダイジェストの年末恒例企画「ベストスウィンガー」。読者からの投票によって選ばれた女子部門の1位は? TEXT/Kenji Oba PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroshi Yatabe 女子は日本選手が上位を独占 戦国時代の様相を呈しつつある国内女子ツアー。そのなかでベストスウィンガーの座を射止めたのは、賞金女王に輝いた稲見萌寧だ。東京五輪では日本ゴルフ界初の銀メダルを獲得。今季ツアー9勝という圧倒的な強さに、「ピンを狙っていける精度の高さと距離感は米ツアー選手並みのレベル」(60歳男性)といった、最大級の賛辞が数多く寄せられた。正確無比なフェードボールが持ち味だ。 3票差の2位は米で活躍するあの選手 2位は全米女子オープンで畑岡奈紗との日本人対決を制した笹生優花。豪快なスウィングが生む爆発的な飛距離に、「とにかくカッコいい」(27歳男性)、「ダイナミックでパワフルなスウィングに憧れる」(31歳男性)と、とくに若い男性からの支持が集まった。ちなみに全米女子オープンのプレーオフで敗れた畑岡は、今回の投票では9位(24票)に入っているが、今季の米女子ツアーで賞金女王まであと一歩に迫り、世界ランクは日本人トップの6位(12月2日現在)にいる。その活躍を忘れてはならない。笹生に続き3位に入ったのが、賞金女王争いで稲見を最終戦まで追い詰めた古江彩佳だ。153センチと小柄だが、「強振しないゆっくりスウィング」(63歳男性)、「シンプル・イズ・ベストのムダのないスウィング」(63歳男性)など、こちらはシニア世代からの評価が高かった。シニアや非力な女性には、目指すべき理想のスウィングに見えるのかもしれない。4位は国内メジャー2勝を挙げた原英莉花。「ダイナミックでエレガントな才色兼備」(31歳男性)、「飛距離だけでなく小技も上手い」(56歳男性)と、天は二物を与えたかのような評価も。5位には今季ツアー5勝の小祝さくら。涙の復活優勝を果たした渋野日向子が6位に入った。 1位 稲見萌寧60票 「フェードヒッターのお手本」(58歳男性)「圧倒的な強さ」(33歳男性)「腕と体の回転が完璧に同調」(71歳男性)「ピンを刺すアイアンショット」(59歳男性)「スウィングがシンプル」(62歳男性)「今年の活躍が証明している」(62歳女性) >>稲見萌寧の1Wスウィングはこちら 2位 笹生優花57票 「男子プロ並みの力強さ」(52歳男性)「豪快なスウィングと飛距離」(74歳男性)「パワフルで正確なショット」(34歳男性)「とにかくカッコいい」(27歳男性)「全米女子OPを制した強さ」(45歳男性) >>笹生優花の1Wスウィングはこちら 3位 古江彩佳54票 「強振しないゆっくりスウィング」(63歳男性)「安定感抜群のショット力」(49歳男性)「常に同じスウィングで曲がらない」(50歳男性)「ボールコントロールのすごさ」(66歳男性) >>古江彩佳の1Wスウィングはこちら 4位 原英莉花48票 「ダイナミックでエレガント」(31歳男性)「大きなスウィングアーク」(65歳男性)「アドレスが美しい」(51歳男性) >>原英莉花の1Wスウィングはこちら 5位 小祝さくら36票 「キレのあるショット」(51歳男性)「しなやかでムダがない」(55歳男性) >>小祝さくらの1Wスウィングはこちら 6位 渋野日向子30票 「思い切りのいいスウィング」(62歳男性)「コンパクトなトップ」(57歳男性) >>渋野日向子の1Wスウィングはこちら ベストスウィンガー2021<男子部門>の結果は? 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より こちらもチェック!
  • 国内最終戦「リコーカップ」をスキップし、米女子ツアーのQスクールに挑むべく渡米した渋野日向子。インタビュー等で渋野が語った言葉を振り返ると、改めて2021年に懸けた想いと進化が見えてきた。 PHOTO/Shinji Osawa 「トップの位置の手が右肩より上がらないように」 今年の開幕戦、渋野は誰の目にも明らかなほど変化したスウィングを引っ提げて登場した。「トップの位置を気にしています。今までは高めに上げていたのをちょっと低めに。安定性、正確性が高いショットを打てるように」と話をした渋野。「今までのいいところにプラスアルファでやっていかないともっと上のレベルにはなれない。咋年アメリカに行ったときに感じたので日本でもやらないといけません」今オフ、コーチの青木翔氏からひとり立ちした。「クラブのことも、自分のシャフトのスペックもロフトも知らなかった。必要最低限のことは知る必要があります」 「トップに上げたときに自分の右肩よりも手が上がらないことを目指している。横振り、円っぽいスウィングです」。この1年、試合でも試しながら改造してきた。ドローヒッターだった渋野が一番嫌なのが左に出るミス。「切り返しのタイミングやテンポの速さ、スタンスの向きが原因のことが多いです」 「100Y以内のレベルアップが必要」 石川遼などの助言を得て自分で考え“新生・渋野”として取り組んだのはスウィングだけではない。クラブセッティングも替えた。大きな変更は46度、51度、54度、57度のウェッジ4本体制にしたこと。「100Y以内のレベルアップのため。パー5のバーディ率が上がるし、短いパー4でもバーディが取れる可能性が広がります。今までは51度で5割の力で打っていたものを54度がカバーしてくれる。アゲンストのときに60Yを57度で打つ必要もなく54度で風に強いボールを打てる。バリエーションが増えていくので、これからも課題にはなります。クラブ選びもめちゃくちゃ楽しいんです」 「周りにどう言われようが関係ない」続きはこちら パー5のマネジメントという点でも「100Y以内の練習をすることで、刻んでもバーディチャンスにつけられる。新しい攻め方です」練習で正確な数値を計測するようにもした。「今まではピンやエッジまでの距離しか考えていなかった。自分のフルショットしたときの距離感しか頭に入ってなかった」「13本のキャリーを調べる。各地で気温や飛距離が変わってくるので毎週やる。振り幅を把握することで、それを基準に試合中でも対応できるように練習します」 「今までスタンスの向きやウェッジの距離感などは考えて打ってなかった」。4本での打ち分けやアプローチの引き出しも増え、それが生きた試合も多い スタッツも気にするようにした。「一番見ているのがパーオン率。そこが少しずつ上がってくれば今やってることは合っているんだととらえることができます」これらの劇的改造に否が応でも外野のいろいろな声が届く。「今やっていることにまったく不安はないですし、周りにどうこう言われようが私は関係ない。まだまだ始めたばかりですけど、これからも日本でもアメリカでもどんな場所でも自分の意志を貫いて最後までやり遂げたいです」トレードマークの笑顔についても「笑顔だったりそういうところは今まで通り貫いていければいいなという思いはあるけど、どうしても集中するところは顔が強張ってしまうと思う。頑張っているなというところも見ていただければ」と語った。 「3年後のパリ五輪は出たい」 5月からはしばし、米ツアーに舞台を移す。ここで、結果には表れないが確かな経験を積んだ。「全米女子オープンは自分のゴルフに対して諦めていた。全米女子プロは残り2ホールで予選カットまで1打という状況で3つ伸ばせたのは最後まで諦めなかったから。新しい一歩と感じました」得たものは多い。アプローチの引き出しが増えた。もっと高いボールを打ちたい、もっと飛ばしたいと思うようになった。そして、“面白いゴルファー”になりたいとも。「アメリカで見ていて面白いゴルフだと言ってくださる方が多くて。私には残った言葉です」7月の東京五輪の出場は逃した。「選ばれなかったのは実力不足、悔しい気持ちもある」。しかし、大好きなソフトボールチームなどの活躍を観て感動し涙が出た。「3年後のパリ五輪は出たい。1度は日本代表としてオリンピックに出たい気持ちは強くなりました」「パラリンピックも含めて観て、もっともっとそういう夢や希望を与えられるスポーツ選手になりたいと改めて感じました」その後、国内3戦を挟んで出場した全英女子オープンでも手ごたえを感じた。「ギリギリアンダーで回ることができ、途中いいゴルフもできた。少しずつ前に進めているなと再確認できました」ここからは日本ツアーでの連戦だ。Qスクール(米女子ツアー予選会)に向けて、しっかり課題をもって取り組む。少しずつプレーがかみ合ってきた。「今までよりはチェックポイントが減ったぶん、思い切り振れるようになって、ドライバーの飛距離も出て安定感は増している」「パットも自分の打ち出したいところに打てる回数が増えてきていた」ウェッジ4本の効果も試合ごとに出てきた。バーディにつながるショットが増えた。ミスに対する修正力も高まった。前向きな言葉が出てくる。「ショットはよくなって、パーオン率も上がっている。パットとバーディ率をもう少し上げたい」「この難しいピン位置だったりグリーンの速さのなかで少しずつスピン量も増えてきていい感触になっている」「最近歩くペースをゆっくりにした。プチンとなった瞬間に堂々と前を行く感じで、スウィングのテンポもゆっくりと心がけながら。だんだん理想と近いショットを打てるようになってきたら、他のことも考えられるようになってきたのかな 同組でラウンドすることの多い同世代と楽しみながら切磋琢磨する。「萌寧は外しちゃいけないところに外さない、外しても絶対ボギーを打たない。ゴルフのお手本です」 「18番は集大成だった」 変化を恐れては成長しない。もちろん、葛藤もある。「飛距離を出したいからといってスウィングを崩してしまうのは後退。欲を捨てて飛ばない自分を受け入れて最後まで戦わないといけないというところも変えていきたい」そうして、9月のスタンレーレディスでプレーオフの激戦を制し、ツアー5勝目を挙げた。言葉があふれだす。「こんな早く勝てると思っていなかったので不思議な気持ちでいっぱい。すごく嬉しいです」「この2年間勝てないと思ったことはめちゃくちゃあります。女子プロゴルフは世代交代がめちゃくちゃ早い。2年前にレギュラーツアーに出始めたのに、もう思ってしまうくらい。自分が置いていかれる感があります。去年は自信がなかった。淡々とこなしてきたような気はします」「どの優勝も嬉しかったけど、すごく考えることの多い優勝だった。何か変わることはないけど、ちょっと自信にはつながるなと。前向きになれたし、活力が湧きました」 「今までスウィング改造を行ってきた集大成が、最終18番のすべてのショットで出たのではないかと思います」。優勝後の涙は「いろいろ思い出しての涙です」 2戦連続優勝のチャンスは雨に阻まれたが、予選落ちを挟んですぐ、またもプレーオフとなった三菱電機レディスで優勝した。「見てる側からするとハラハラドキドキするようなゴルフだったと思うので、そういう面白い勝ち方ができて嬉しかったです」 「お客さんがいないと本領発揮できない」 誰よりもファンを大切にする渋野は、コロナ禍の無観客試合に寂しさを感じ、ギャラリーの存在に力をもらえることを改めて感じていた。「いい意味で調子に乗れるタイプなので」「これだけの人数のなかでやるのは久しぶりだったので緊張しましたし、やっぱりこれが試合だと思いました。あるべき女子プロゴルフの試合だと」 「見に来てくださる方がいて自分も楽しめる」と渋野。ギャラリーの多いなかでバーディを取ったり「魅せるゴルフ」ができると嬉しいという 「周りの評価に負けないよう自分の意志を貫いてやりたい」 「新しい自分を見つけたいというのもありますし、つくっていきたいという感じでもあります」と始めたスウィング改造が、渋野の心技体を鍛え、「ゴルフ脳」を鍛え、アメリカ挑戦への武器となる。感情コントロールも意識しているが、ときどき「プチン」とすることがある。だから、何度も自分に言い聞かせる。「目の前の一打一打をしっかりやる」そしてこの1年ずっと言い続けてきた言葉がある。「自分の伸びしろはまだまだある」ということ。「まだまだやることがたくさんあるので今は楽しい。ショット力も上げたい、飛距離も伸ばしたい、アプローチ、パットの精度も上げたいので本当に全部です」こうして渋野は2019年の自分を超えるべく進化しつづける。「新しい自分だけど19年の自分でもあるわけで、混じって今の私がいる」「19年の自分が“渋野日向子”みたいな感じで私も思ってるし、思われてるし、そこを基準にしてしまう。でもこれから変わっていく渋野日向子が基準になっていくのを自分でも確かめたい」一区切りするエリエールレディスの週に23歳になった渋野は、「22歳も変化することに対して恐れないようにやってきたつもりですが、23歳も22歳でつくりあげたものをもっともっと積み上げていけたら」「日本で戦っているだけではアメリカで戦うのに必要なものは見つけられない」と思い決断したアメリカ挑戦。そのために取り組んでいるスウィング改造。「今やっていることを突き詰めていければ来年アメリカツアーでも戦えるかなと思っています」「その(米下部ツアー)選択肢はあります。難しいというか全然違うとは聞きますが、経験する価値はすごくある」「緊張感のなかで自分のイメージした、計算したプレーができるか。タテ距離もですし、ラフでどれだけボールが食われるか、風に対する計算など、Qスクールに向けて数字で把握していれば何かしらの対策はできると思います」19年、一夜にしてシンデレラとなった渋野日向子は、自らの手で新しい靴を履き、新しいステージに向けて確実に歩んでいく。 優勝し雑音も打ち消した。「新しいスウィングで勝ったとき、あーだこーだ言ってた人を見返したいという気持ちを片隅におきながらやっていました。やってきたことは間違っていなかったと思わざるを得ない結果だと思います」。そして、継続していけば2年前の自分より強くなれると考えている。伊藤園レディスでも朝もやの早朝から黙々と練習する渋野の姿があった 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より
  • 今季9勝の稲見萌寧、6勝の古江彩佳、5勝の小祝さくら、4勝の西村優菜。女子ツアーを大いに盛り上げた4人の最新クラブセッティングをのぞき見! PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroshi Yatabe、Hiroaki Arihara 稲見萌寧“三角パター”が女子ツアーを席巻 テーラーメイド「トラスTB1 トラス ヒール」 平均パット数が46位から2位にホーゼル部に三角形の「トラス構造」を採用し、直進性が高くミスにも強い。19年の稲見の平均パット数は46位だったが、昨秋からこのパターを使用し始めたことで今季2位とパッティングが劇的に向上した。 キャロウェイ「マーベリック サブゼロ」 ドライバーは20年モデルの「マーベリック サブゼロ」を使用。「構えたときにしっくりくるから迷わずに振り切れる」(稲見)。ミスヒットしても飛距離が落ちないという。シャフトは特注のピンクの「ジ・アッタス」 稲見萌寧の14本セッティング ●1W/キャロウェイ マーベリック サブゼロ(10.5度) ●3W/スリクソン ZX FW(15度) ●3・4・5UT/スリクソン ZX HY(19・22・25度) ●5I~PW/テーラーメイド P770 ●ウェッジ/ボーケイ・デザイン SM8(52・58度) ●パター/テーラーメイド トラスTB1 トラスヒール ●ボール/ブリヂストン ツアーB XS クラブを替えるたびにパーオン率が上がっていったアイアンを替えた成果か、21年開幕から好調が続き、20年リコーカップ終了時点で8位だったパーオン率は、五輪前までには高橋彩華に次ぐ2位に浮上。さらに、五輪からUTを替え、優勝した日本女子プロ選手権後には、ついにパーオン率1位に。クラブは新しいものにすぐに替えるタイプではないというが、いいと思ったものはすぐに取り入れるスタイルで、試合を追うごとに正確性が増していった。 【2020年のセッティング】●3・5W/ブリヂストン ツアーB JGR(15・18度) ●4・5UT/ブリヂストン ツアーBJGR HY(22・26度) ●5I/ブリヂストン ツアーB XCBP ●6I~PW/ブリヂストン ツアーB X-CB ●ウェッジ/ボーケイ・デザイン SM7(52・58度) 【2021年前半のセッティング】●3・5W/スリクソン ZX FW(15・18度) ●5I~PW/テーラーメイド P770 ●ウェッジ/ボーケイ・デザイン SM8(52・58度) 古江彩佳1Wチェンジ後10戦中7度のトップ10 ブリヂストン「B1」 秋から最新モデル「B1」にスイッチして3勝アマチュア優勝した19年にも使用していた「XD-3」を使い続けていたが、海外遠征中に「思うような球が出なくなった」ということから9月後半から新モデルの「B1」にチェンジ。さらにソールに鉛を貼ったことでショットが安定するようになったという。 テーラーメイド「スパイダーX チョークホワイト」 20年東海クラシックからオデッセイ「ストロークラボTEN ショートサイトライン」に変更し、すぐさま優勝。昨年は3勝を挙げるも21年は秋まで未勝利。ところが富士通レディースでパターを「スパイダーX」に替え、そこから3勝を含む、すべての試合でトップ5入り 古江彩佳の14本セッティング ●1W/ブリヂストン B1(10.5度) ●3・7W/ブリヂストン ツアーB JGR(15・21度) ●4UT/ブリヂストン ツアーB JGR (22度) ●6UT/テーラーメイド SIM2 MAX(28度) ●6I~PW/ブリヂストン ツアーB X-CB ●ウェッジ/ブリヂストン ツアーB BRMウェッジ(50・54・58度) ●パター/テーラーメイド スパイダーX チョークホワイト ●ボール/ブリヂストン ツアーB XS 小祝さくらパターを替えて8月に2勝 ワールドクラフトデザイン プロトタイプ 夏から地元北海道の削り出しパターに7月のニッポンハムレディスで地元北海道の金属加工メーカー社長が小祝を観察して作製したというこだわりの1本。五輪期間中に北海道に帰省した際に手渡された。「前に伸びる感じがあって、ロングパットも距離が合う」(小祝)と、すぐさま使用し2連勝 スリクソン「ZX5」 20年は19年と同じ「Z785」を使用していたが、21年に入り、松山英樹もマスターズで使用したスリクソン「ZX5」にチェンジ。21年開幕戦で早速優勝を飾ると、3戦目でも優勝を果たし賞金争いを牽引した 小祝さくらの14本セッティング ●1W/スリクソンZX5(9.5度) ●3W/スリクソンZX5(15度) ●3・4UT/スリクソンZ H85(19・22度) ●5I~PW/スリクソンZ585 ●ウェッジ/クリーブランド RTX3(48・50・58度) ●パター/ワールドクラフトデザイン プロトタイプ ●ボール/スリクソン ZスターXV 西村優菜ウッド6本態勢で飛距離のハンディを補う キャロウェイ「EPIC SPEED」 1W、3W、5Wを「EPIC SPEED」にチェンジ21年からドライバーと3W、5Wを「EPIC SPEED」に変更。7W、9W、UTは20年と同じモデルを使用している。サロンパスカップでは4日間を通じて60台を記録する安定感を発揮し、最終日に逆転してメジャー初勝利を飾った。パターは今年からオデッセイ「ホワイトホット OG #7S」を使用している 西村優菜の14本セッティング ●1W/キャロウェイEPIC SPEED(10.5度) ●3・5W/キャロウェイEPICSPEED FW(15・18度) ●7・9W/キャロウェイGREAT BIG BERTHA FW(21・24度) ●6UT/キャロウェイ GBB EPIC STAR UT(26度) ●6I~PW キャロウェイ X FORGED ●ウェッジ/キャロウェイJAWSウェッジ(50・58度) ●パター/オデッセイ ホワイト ホットOG♯7S ●ボール/クロムソフトX 以前はキャロウェイ「Xフォージド」アイアン(左写真)を使っていたが、9月からその後継となる最新「XフォージドSTAR」に変更し、東海クラシックから連続優勝。「楽に高さが出てボールのつかまりがよく、向かい風でも強い球が打てます」(西村) 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より こちらもチェック!