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Dr.クォンの反力打法 Vol.9「モーメントアーム」が長いときが回転力を高めるチャンス!

正面から見た体の回転力を分析すると、バックスウィングの途中で、すでにダウンスウィングに向けた回転力が生じているとクォン教授は指摘する。では、頭の上から見た縦軸の回転力についてはどうなっているのか。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

前回のお話はこちら

クォン 今回は「縦軸の回転力」の変化を見ていこう。

吉田 それが下の図ですね。テークバックで右方向(時計回り)の回転力が生まれて……あ、トップに到達する前に回転の向きが逆になってる! 前回の正面から見た図と同じですね。

バックスウィングの最初の段階では、時計回りの回転力が生じている(A、B)が、Cを境に、回転力が半時計回りに転じている。Dの段階では、左足の後ろ方向への反力は小さいが、モーメントアーム(反力の矢印から回転の中心CPまでの距離)が長いため、ある程度の回転力が生じている。ダウンに入りCPが左足寄りに移ると、右足の前方向への反力によって、より大きな回転力が生じている(F)

クォン 以前、竹とんぼの例で説明したように、縦軸の回転力は、左右の足が生む前後方向の反力によって生み出される。バックスウィングの始動では、左足の反力が前、右足の反力が後ろ向きに働くことで、時計回りの回転力が生み出されている。それが切り返し以降、左足の反力が後ろ、右足の反力が前向きに働くことで、半時計回りの回転力へと転じるわけだ。

吉田 ところで回転力を表す矢印の位置が移動しているのはどうしてですか?

クォン それは、縦軸の回転力が「CP」を中心に生じるから。

吉田 CPとは?

クォン センター・オブ・プレッシャー。すなわち「圧力の中心」。通常、アドレス時は右足と左足の圧力が同じぐらいだから、CPは両足の真ん中ぐらいにくるが、左下の図の選手は左足の圧力が強いから、CPも左寄りになっている。

吉田 それが図のAですね。バックスウィングと同時にCPが右足寄りに移動しているのは、右足の圧力が強くなっているからだと。

クォン そう。そしてトップに達する直前(図D)から、再び左足寄りに移っていく。

吉田 左から右、そしてまた左。体重移動と連動している感じですね。

クォン そして回転力の中心となるこのCPが、左右のどちらかに寄ったときが、回転力を高めるチャンスといえる。

吉田 チャンスというと?

クォン 力を加える場所が回転の中心から離れれば離れるほど、回転力は強くなると以前話したね。

吉田 モーメントアームが長くなるからですね。

クォン 図Dを見ると、左足の後ろ方向への反力はとても小さいが、ある程度の回転力が生じている。これはまさに、モーメントアームが長いからだね。

吉田 図Fでも、大きな回転力が働いていますが、これはCPから遠い右足の反力が大きく寄与しているということですね。

クォン 左足のほうが力は大きいが、モーメントアームは短いからね。いかにこのタイミングで右足の反力を前方向に発揮できるかが、強い回転力を生むカギとなるわけだ。

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切り返しで体重が左足に乗ると回転の中心CPが左足寄りに移る。このタイミングで右足の反力が前向きに働けば、強い回転力を生むことができる

Vol.10へ続く | 反力打法TOP

Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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