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Dr.クォンの反力打法 Vol.8 ダウンスウィングはトップの前から始まっている

理想的なスウィングでは、どのタイミングでどの方向の力がどれくらい働いているのか。前回に引き続き、地面反力と回転力を可視化した図を例にクォン教授に解説してもらった。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

前回のお話はコチラ↑

吉田 前回の図を見て思ったのですが、回転力を表す矢印が、バックスウィングの途中で逆向きに変わってますよね。体は時計回りなのに、回転力は反時計回り。これはどういうことですか?

クォン いいところに気づいたね。まず理解してもらいたいのは、この図の中の矢印は、実際の体の動きを示したものではなくて、体の動きに影響を及ぼす外力を表したものだということ。ブランコを想像するとわかりやすいね。

吉田 ブランコ……ですか。

クォン ブランコが前方から戻ってくるとき、最下点を過ぎたあとも、ブランコは動き続けるね。

吉田 慣性の法則ですね。

クォン しかしブランコが上昇を始めたあとも、重力は常に働いているから、次第にスピードが落ち、やがて止まる。

吉田 外力の向きと、実際の動きの方向は必ずしも一致しないということですね!

クォン 下の図でも、バックスウィングの途中の「D」を境に、回転力が逆向きに転じている。でも慣性があるから、体は急には止まれない。逆向きの回転力によって、体の回転が徐々に遅くなって、止まった位置がトップとなる。

バックスウィングの始動では時計回りの回転力が働いているが(A~C)、Dの段階で回転力がゼロになり、Eでは回転力が半時計回りに転じている。これは左足の踏み込みによって地面反力の合力(黒い矢印)が左足寄りに大きく傾いていくため。その回転力に引っ張られるようにしてダウンスウィングが開始し(F~H)、回転力が小さくなっても惰性でクラブヘッドは加速していく(I~J)

吉田 体は時計回り、力は反時計回り。よく上下の捻転をつくれと言いますが、力学的にも捻転が起こっている感じなんですね。でもどうして、こんな早い段階で逆向きの回転力が生じているのでしょう?

クォン その答えは地面反力の傾きにある。バックスウィングの初期段階(A)では、反力の矢印は(自分から見て)右に傾いているが、途中で傾きが左に変わり、「D」の段階で矢印が体の重心を通る。

吉田 「反力の矢印が体の重心を通ると回転力はゼロになる」でしたよね。

クォン 「D」を過ぎたあと、矢印はさらに傾き、重心より左を通る。すると回転力は逆向きになる。

吉田 トップに到達する前に、反力の矢印が左に大きく傾くから、逆向きの回転力が生じるわけですね。

クォン 矢印が重心から離れれば離れるほど、モーメントアームが大きくなるから回転力も高まる。

吉田 トップ〜切り返し(F〜G)で回転力が最大になってますね。

クォン 反力の強さ(=矢印の長さ)自体は、ダウンの途中(I)が最大になっているが、矢印が重心の近くを通っているから回転力は小さい。

吉田 ダウンに移行する切り返しの場面では大きな力が必要だけど、一度動き出してしまえば回転力の助けはそれほど必要なくなるわけですね。

Vol.9へ続く

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