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プロに人気の「16.5度」FWはアマチュアにも役に立つ? 厳選8モデルを試打検証!

近年、プロの間でロフト16.5度〜17度のフェアウェイウッドが人気を集めている。4W(バフィー)または3WのHL(ハイロフト)と表記されるロフト帯のウッドがなぜ今注目されているのか。最新モデルを徹底試打してその秘密を探った。

PHOTO/Tomoya Nomura、Kosuke Mori、Getty Images

“16.5度使い”の
プロが増えている

解説/松尾好員

まつお・よしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

なぜ男女問わず、プロの間でロフト角15度の3Wではなく、4Wもしくは3HLといったロフト16.5度〜17度前後を使う選手が増えているのか。クラブデザイナーの松尾好員さんによると、PGAツアーの男子プロと女子プロでは意味合いが異なるという。

「PGAツアーのプロは、3Wでは飛びすぎる分、ピンを狙いにくいというのがあると思います。ドライバーもそうですがウッド系は年々初速が出るように設計されていて、ボール自体も飛ぶようになった。ドライバーは飛ばすための道具ですが、3W以下は飛ばすよりも狙うための道具。従って高さも出てスピンも入る16.5度が好まれるのでしょう。5Wはそもそもクラブ形状が3Wとは全く違いますし飛距離も大きく変わります。ドライバーの飛距離が300Yの選手だったら270〜280Yを打つクラブはやっぱり3W。その距離でピンを狙っていくならば高さが出てスピンも入ったほうが有利なわけです。飛ぶだけではスコアメイクできない、それは現在のミニドライバー人気にも表れていると思います」

対して女子プロたちが4Wを使う理由は、

「弾道計測器の影響が大きいと思います。当然ロフト15度のほうが飛ぶと思うでしょうが、実際に計測すると16.5度のほうが飛んでいる場合が多いのではないかと思います。その理由はキャリーです。飛距離を稼ぐうえで男子プロのヘッドスピードならばスピン量が大きく影響しますが、女子プロたち、そして多くの一般的なアマチュアは打ち出しの高さが最も影響します。16.5度のほうがキャリーを稼げる分、結果的に飛距離が伸びる場合が多いのです」

4W/3HLの魅力①
シャフトが3Wと同じ長さのため3W並みに飛ぶ

4Wも3HLも3Wと同じシャフト長さのため、ヘッドスピードが上がり飛距離も出せる。「あえて4Wを短く握れば5Wよりもヘッド体積が大きい分安心して振れますし、球の高さも操作できる。使い勝手がいいですね」

4W/3HLの魅力②
3Wに比べてロフトが寝ている分重心が低い

3Wに比べて1.5度ロフト角が寝ている分、重心も低くなり球が上がりやすくなる。また、フェース面上のスイートスポット(SS)位置は高くなるためギア効果でスピンも入りやすくなり、ヘッドスピードが遅くても球が上がる

4W/3HLの魅力③
フェース面が視認しやすく球を上げようとしなくなる

「3Wはロフトが立っている分、無意識に球を上げようとしがち。でも4Wはフェース面を意識できるので安心して構えられますね。ウッドでも地面から打つには上から入れる感覚が大事。安心して振れるのがいいですね」

16.5度〜17度の8モデルを
徹底試打!

試打・解説/西田幸一

PGAトーナメントプロ。専修大ゴルフ部の副部長を務めた後、大利根CCに入社し現在はGスタジオ茅場町勤務


今回はロフト角16.5度〜17度の8モデルを、ドライバーのヘッドスピード40m/s相当で西田幸一プロに試打してもらった。

「外ブラの5本は基本的にアスリートが満足できる印象。『エリート』も『Qi35』も『GT』シリーズも逃げ顔で、しっかり叩きにいける。ただ、『G440 MAX』だけはやさしさに特化している感じがあります。アップライトでつかまりやすいし、ヒールヒットしても球が曲がりにくく直進性が高い。多くのアマチュアが安心して使えるはずです」

また、自身のヘッドスピード(ドライバー48m/s相当)でも打ってもらった。

「ヘッドスピードを速めると、どのモデルもスピンが入って、狙った場所へ打てる印象。『G440 MAX』は弾道が一段高くなり、飛距離こそほかの外ブラより劣りますが、ピンを狙いやすい。近頃のウッドは初速が出るので、3W・5Wではなく4W・7Wという組み合わせのほうがスコアメイクしやすいかもしれません」

試打方法
飛距離データはベスト5球の平均値。球はタイトリスト・プロV1。ヘッドスピードはドライバー40m/s相当で試打

ピンゴルフ
「G440 MAX」#4

<試打スペック>
●ロフト角/17度 ●ライ角/57.5度 ●ヘッド体積/180cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/321g ●シャフト/ALTA J CB BLUE(S) ※クラブ総重量は編集部調べ(以下同)

打点がバラついても安定して飛ばせる
「FWは好調ですが、とくに4Wの売り上げはかなり伸びています」(ピンゴルフ広報・高見澤さん)というコメントも実際に打つと納得だと西田プロ。「なんといってもつかまりが良くて、スイートエリアが広い。試しにヒール寄りで打ったのですが、打感もデータも大きく変わらない。なので、安心して芝の上から打てますね。打感はやや硬めで弾く感じで、飛んでいる感覚はあります」(西田・以下同)

キャロウェイ
「エリート」3HL

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/58.5度 ●ヘッド体積/168cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/317g ●シャフト/VENTUS GREEN 50 for Callaway(S)

ステップソールとAi 10xフェースでミスに強い
ドライバーと同じくAi 10xフェースを搭載することで打点がズレても初速が落ちない「エリート」。「APEX UW」で好評だった段差をつけたソールデザインで抜けが良くなった。「シャローフェースなのでアドレス時は据わりが良くて球が上がりそう。抜けもいいので傾斜地でも気持ちよく振り抜けるモデルです」

テーラーメイド
「Qi35」3H

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/57度 ●ヘッド体積/185cc ●クラブ長さ/43.25インチ ●クラブ総重量/316g ●シャフト/2025 Diamana SILVER TM55(S)

徹底された低重心化で安定した高弾道が打てる
ツイストフェースや貫通型スピードポケットなど伝統の技術に、高度なヘッド設計を可能にしたインフィニティーカーボンクラウンや、マルチマテリアル構造を採用してミスにも強くなった。「トウに厚みがあって逃げ顔。アスリートが好みそうなフォルムなので左を気にせずに叩きにいけます。弾き感が強めです」

タイトリスト
「GT2」16.5°

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/57度 ●ヘッド体積/177cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/325g ●シャフト/TENSEI 1K BLUE(S)

タイトリスト
「GT3」16.5°

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/57度 ●ヘッド体積/170cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/325g ●シャフト/TENSEI 1K BLUE(S)

「GTの打感、プロが気に入らないわけがない!」
「さすがタイトリスト!」と西田プロがうなったのは打感の良さだった。「ドライバーもそうなのですが、GTシリーズ最大の魅力は球が潰れる感触がわかるほど軟らかい打感。フェアウェイウッドのほうがより顕著に感じます。『GT2』はやや大きめのヘッドで安心感があり、直進性が高い。対して『GT3』は小ぶりで操作性が高い。どちらも構えた時の顔がきれいでターゲットに向けやすいし実戦的なモデルですね」

本間ゴルフ
「TW767」3HL

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/57度 ●ヘッド体積/184cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/320g ●シャフト/VIZARD EZ-C(S)

安心感のあるシャローヘッドでしっかり球を上げる
3Wと3HLのみカーボンクラウンを採用し、徹底した低重心化を実現した「TW767」。「ややアップライトで、端正な丸顔なので、しっかりつかまりそう。打感は弾き系ですが、ズシンとくる感触で風に強い重い球が打てそうです。顔の良さはHONMAらしいですね」

ダンロップ
「ゼクシオ13」#4

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/58.5度 ●ヘッド体積/174cc ●クラブ長さ/43インチ ●クラブ総重量/289g ●シャフト/ゼクシオ MP1300(S)

誰でも簡単に高弾道ドローが芝の上から打てる
トウヒール部分の厚肉部を拡大することで低重心化に成功。より球が上がりやすくなった。「心地よいゼクシオの打音はFWでも健在。ややカットめに振ってもきれいな高弾道ドローが出るし、スウィングやヘッドスピード問わず、誰でも使いやすい一本です」

ダンロップ
「ゼクシオX」#4

<試打スペック>
●ロフト角/16.5度 ●ライ角/58.5度 ●ヘッド体積/174cc ●クラブ長さ/42.75インチ ●クラブ総重量/311g ●シャフト/Miyazaki AX-3(S)

ゼクシオのやさしさにアスリートテイストをプラス
ゼクシオ13と同様にヘッドを安定させるアクティブウイングを搭載。「ゼクシオなのでつかまり顔でやさしいのですが、球が上がりすぎず、前進力のある強い球が打てます。アドレス時はフックフェースでつかまり顔なのに、打つとストレート弾道なのが印象的です」

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月17日号より