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【世界基準を追いかけろ!】Vol.87 デジタルのデータだけでなく「アナログ」の部分も大事にしていきたい

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。黒宮が名古屋にオープンさせたインドアスタジオには、さまざまな最新機器が導入されているというが、その目的とは?

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 新しいインドアスタジオには、最新機器を導入するわけですか。

黒宮 そうですね。これまでレッスンを7年間やってきて、これは必要だなと思った、スイングカタリスト(スウィング解析器)、GCクワッド、フライトスコープなどは標準装備として入れています。今後はカタリストのカメラで、ギアーズ(スウィング解析器)みたいにスウィングを3Dで撮れるという話もあるんですよ。そこでスウィングやクラブのデータを取ると、横にある部屋に映像が映し出されて、すぐにチェックできるような造りになっています。さらに、クラブを組み立てる工房にもデジタルで測定できる機器を入れます。

GD 話を聞いていると、工房を併設したことがポイントになっていますよね。


黒宮 そこは、僕たちがこれまでこだわってきた「デジアナ(※1)」の考えがベースにあります。僕が見てきたなかでは、一流の選手はデジタルを超えるフィーリングを持っているケースが多々あって、そういった鋭敏な感覚の部分を、デジタルで損なわないために工房を作ったんですよ。きっかけは、去年のある試合で教えている選手のドライバーが割れてしまい、すぐに同じモデルでバランスや重量を合わせたクラブを組み立ててもらったんですが、なかなか以前のようなフィーリングが出せなくなってしまって、新しいドライバーに順応できなくなったことがあって。コーチとして、そこから選手が思うような成績を出せなくなった現実を見たので、クラブの組み立ても人任せにしてはいけないのかなという思いもありました。それで工房を造ったんです。

GD その感覚的な部分を解明したいということですか。それは凄い。でもそのために、どういった機材を入れるのですか?

黒宮 ヘッドの重心位置の測定器を入れる予定です。

X 重心位置が測れるのはいいですよね。あと、クラブをトータルで見た場合、感覚的に影響が出てくるものはシャフトだと思うのですが、そのあたりはどう対応する予定ですか。

黒宮
 シャフトの振動数を測定する機器などは工房に入れて即時、測れるようにします。あとは、スウィング中のシャフトのしなり方を測定することができるシャフトマックス(※2)があればいいと思っていて、そういったものも入れようと思っています。

GD 選手の感覚とデジタルデータを融合させて、その場でクラブを調整することを繰り返すことができれば、それこそデジタルとアナログの融合ですね。

黒宮 それ以外にもボールの測定とかもやっていきたいと思っています。

GD 目澤さん、黒宮さんの取り組み、どう思いますか。

目澤 自分の性格にない部分を彼は持っているので、そういった歩みを止めないで前に進んで行くタイプの人が横にいてくれたほうが、自分がしんどいなと思った時に、自分も頑張らなきゃなと思えるので、本当に刺激になっています。

(※1)目澤と黒宮は、二人でコーチ業を始めた時に自分たちの最終的な目標は、デジタル機器が有する客観性と、選手が有する主観性を融合し、選手が最高のパフォーマンスを発揮する選手をサポートすることだと言っている。(※2)シャフトにセンサーを付けてボールを打つことでスウィング中のシャフトの縦方向のしなりと横方向のしなりをグラフで表してくれる器具。現在は生産中止で、世界に数台しか残っていない幻の計測器

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月24日号より