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【ゴルフの急所】Vol.42 下りのパットでタッチを合わせるには?

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木GC

前回のお話はこちら


下りのパットのタッチが合わずに悩んでいます。寺西プロは、下りのパットが残ったとき、どんなことを考え、どのようなイメージで打っているのか。また、タッチを合わせるためには、どんな準備や練習をすべきか教えてください。(岩田進さん・45歳・HC22)


まず、ボクはどんなパットであろうと、カップに入れるつもりで打っています。カップにピッタリのタッチで、カップに入れるつもりで打つからカップに寄る。それを寄せにいくから、寄せ切れず、距離を残してしまう。ボクはそう考えているのです。

もちろん、入れると言っても、外れたときにカップを大きくオーバーするようなタッチで打つことはありません。下りであればカップの手前からトロトロ、コトンと入るイメージで打つのです。

よく、「下りは、カップの少し手前に止めるつもりで打て」などと言われますが、ボクはその考え方に反対です。そんなアバウトなイメージでは、偶然寄ることはあっても、安定してカップに寄せることはできないからです。あくまで、寄せにいくのではなく、入れにいく。そのくらいの覚悟を持ってプレーをすることが大事なのです。


また、下りのパットは、基本的にカップをオーバーさせたいと考えています。下りをオーバーさせれば、やさしい上りのラインが残ります。さらに、リバースライン(返しのライン)は、ボールの転がりを一度見ているので、ラインをイメージしやすいからです。

いずれにしても、下りのタッチを合わせるには、いかにラインに合ったスピードを作れるかが勝負になります。

では、どうしたらラインに合ったスピードを作れるのか? そのコツは、ボールがカップに入るスピードをイメージし、そこから逆算していくことにあります。

まず、練習グリーンで下りのラインを見つけたら、そのラインを3分割し、写真のA地点(全体の3分の1の地点)あたりに立って、ボールがカップの手前からトロトロ、コトンと入るスピードをイメージしてください。

次に、B地点(3分の2の地点)あたりに立って、最後にトロトロ、コトンと入れるためには、A地点からB地点の間を、どのくらいのスピードで転がせばいいかをイメージします。それがイメージできたら、最後にボールのあるC地点からB地点の間を、どのスピードで転がせばいいかをイメージし、そのスピードで球を打ち出していくのです。

このような訓練を続けていくと、急な下りであっても、ラインに合ったスピードを作れるようになってきます。

ただし、慣れないうちにこれをやろうとするとスロープレーにつながるので注意が必要です。実戦で使うのは練習で慣れてから。ラウンド中は、同伴競技者のプレー中にイメージを作る。3分割ではなく2分割でイメージして時間を短縮するなど、速やかなプレーを心がけてください。

Point 1
ラインを3分割してスピードをイメージする

ラインを3分割したら、まずはA地点に立って、ボールが手前からトロトロ、コトンと入るスピードをイメージする。次に、そのスピードでカップインするためには、BからAまでをどのスピードで転がせばいいのか。CからBまでをどのくらいのスピードで転がせばいいのかをイメージする。

①カップの手前からトロトロ、コトンと入るスピードをイメージ
②A地点までどのくらいのスピードで転がせばいいかをイメージ
③B地点までの間をどのスピードで転がせばいいかをイメージ

Point 2
カップに入れるつもりで打つ

下りのラインでは、ショートさせるよりも、オーバーしたほうがいいと思って打とう。もちろん、強く打ちすぎてはいけないが、タッチが弱くなりすぎて、下りを残すと、3~4パットの危険もあるので注意する

Point 3
右手(利き手)でタッチを出す

タッチを出したいときは、器用な右手(利き手)の感覚を生かし、右手1本で打つつもりでストロークするとよい。左手の力を抜き、右手だけで握るようにパターを持ったら、右手でボールを転がすイメージでストロークする。すると、いつもよりタッチが出しやすくなるはずだ

急な下りはアッパー気味がオススメ

「ボクは、急な下りのときには、少しアッパー気味に打っています。基本的にダウンブローで打つほど、球が下に行くエネルギーが強くなります。すると、下り傾斜に対してスピードがつきやすく、タッチがイメージ以上に強くなってしまうからです。アッパー軌道は、このミスを避けるための保険なのです」(寺西)

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より

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