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「正直、賞金だけではカツカツなんです」女子ツアーのスポンサー事情<個人契約編>

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa

女子ツアーのスポンサーにまつわるお金のあれこれを調査した本特集。第二弾は、ツアーを転戦するために必要な経費や、そんなプロ個人の活動をサポートする「スポンサー契約」について。長らく第一線で活躍した馬場ゆかりプロに話を聞いた。

馬場ゆかり
ツアー通算3勝。11年日本女子OPでメジャー制覇。デビュー翌年から14年まで11年連続シード権獲得。現在はレッスンや解説でも活躍する

前回のお話はこちら

予選を通ってようやくトントン

プロゴルファーは個人事業主。試合に参加するための移動費や宿泊費、エントリーフィーをはじめ、その他すべての経費を個人で負担しなければならなく、支出が大きい。長くシード選手として活躍し、全国を飛び回ってきた馬場ゆかりプロに話を聞くと、「1試合出場するのに少なくとも20~30万円の出費があります。試合の賞金総額によっても左右されますが、レギュラーツアーの場合、予選を通ってやっとトントン。ステップ・アップ・ツアーならトップ10に入らないと元が取れないことがほとんど。もし年間37試合全部に出場しようと思ったら、必要経費だけで軽く1000万円を超えてしまいます。戦ってみないと稼げる保証もないし、不安。だから、普段から結構節約するんです」。

そんなプロゴルファーの活動を支えるのが、企業をはじめとした選手個人のスポンサー。金銭面はもちろん、クラブや車の提供、航空会社のサポートなど、さまざまな形で選手を支援している。選手が全国各地のトーナメントを転戦できるのも、スポンサーあってこそなのだ。

1試合出場するのに
必要な経費は30万円以上!

帯同キャディ……週10万円
「経費コミコミで1週間10万円が相場で、賞金が入った時は賞金の10%のボーナスを上乗せするのが一般的。日当制にして旅費や宿泊費、食費を別途支払うパターンもあります」(馬場・以下同)

食費・宿泊費・移動費……週20万円
「体のケアにもお金がかかるし、どんなに切り詰めても、やっぱりこれくらいはかかりますね。トーナメント開催週はどこも混んでいますし、なかなか安い宿もないんです」

エントリーフィー……レギュラー1万800円、ステップ/5400円
ステップ・アップ・ツアーはレギュラーツアーの半額だが、ステップの場合は別途、毎日プレーフィーを支払う必要がある。そのため1試合で3~4万円必要で、レギュラーツアーよりも大きな出費となってしまう

損益分岐点は、レギュラーなら決勝進出
ステップなら10位以内!

<レギュラーツアー>
NEC軽井沢72……48位(獲得賞金32万円)
伊藤園レディス……57位(獲得賞金35万円)

<ステップ・アップ・ツアー>
ユピテル・静岡新聞SBSレディース……10位タイ(獲得賞金36万4800円)
中国新聞ちゅーピーレディース……8位タイ(獲得賞金32万2500円)

※2020年大会の数字

賞金と同じくらいうれしい!
大会スポンサーからの優勝副賞

車は現金化することもできる
契約の関係で乗れないプロもいるため「大会事務局から現金化するか聞かれました」と馬場プロ。追加料金を支払えばアップグレードも可能だという。

食べ物はおすそ分け
「初優勝のときは米俵を3俵もいただきました。自分も助かりますが、関係者やご近所さんに配っても喜ばれます」(馬場)

「ワッペンスポンサー」も貴重な収入源

キャップのツバやウェアの袖口などに、企業やブランドのロゴが印刷されたワッペンがついている選手も多いが、これも契約スポンサーのもの。事情に詳しい関係者によると、おおよその金額は下記のとおり。

バイザー:250万円~
シャツ胸:300万円~
シャツ袖:300万円~
キャディバッグ:200万円~

※ある若手選手の場合

また、ワッペンが付けられる数には制限があり、バイザーで2カ所、ウェアで2~3カ所、キャディバッグが2~3カ所が一般的。人気選手は取り合いになるという。

まだまだ知りたい!
スポンサーの疑問にお答え

Q.「所属」はスポンサー契約とは違うの?
A.所属は「契約社員」のようなもの

「ひと言でいえば『所属』は契約社員のようなもの。メディアに出たりするときも表記されます。また大会中にスタートホールでコールされるときにも、必ず所属先が明言されます」と関係者。「所属は3年以上の長期契約がほとんどですが、所属以外のスポンサーは単年契約など短いことが多いのも特徴です」

Q. 契約料はどうやって決まる?
A. 前年の獲得賞金額が基準となる

シード選手と所属契約を結ぶ場合、前年の獲得賞金がひとつの目安になる。そこからメディアへの露出や人気、注目度なども加味して契約金が決められる。人気が高い選手は他のスポンサーの数も増えるので、賞金の何倍もの契約金になることもあるという。

Q. 「クラブ契約」はどんな契約?
A. メーカーから手厚いサポートが受けられる

メーカーとの「クラブ契約」もスポンサー契約の一種。クラブの提供を受けることができるが、14本すべてを同じメーカーで揃える必要はなく、何本まで、という本数縛りの契約が多い。FWやウェッジ、パターなどは別メーカーのものを入れているケースが多いのはこのためだ。「クラブ契約するメリットは練習日からスタッフが付いて、手厚いサポートが受けられること。一方フリーだと、好きなクラブを自由に使えるメリットがあります。ただ、シード選手ならどのメーカーもクラブ調整してくれますが、シード以外だと断られることもあるんです」(馬場)

<個人契約編>へ続く

週刊ゴルフダイジェスト2021年3月16日号より