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【ゴルフの急所】Vol.11「距離感は振り幅で」は間違い。寺西流ロングパットの磨き方

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC


パッティングの距離感が悪いのが悩みです。せめて10メートルを2パットで上がれるくらいになりたいのですが、どんな練習をしたらよいのでしょう?


距離感を振り幅で作ろうとしていないか

基本的に、距離感が悪い人というのは、100人中100人が芯に当たっていません。芯に当たらないと、同じストロークをしているつもりでも、打感も打音も球の強さも毎回変わってしまう。だから距離感が安定しないのです。

従って、距離感を磨きたいのであれば、まずは芯に当たるストロークを身につける必要があります。また、芯で打つためには常に同じ位置にボールを置くことが大切なので、この2つの練習は欠かせないと言えるでしょう。

さて、ここまではあくまでも前提。ここからが本題です。よく、距離感は振り幅で作る、などと言いますが、ボクはこの考え方に疑問を持っています。なぜなら、「この振り幅なら何メートル転がる」という保証はどこにもないからです。

コースが変わればグリーンの速さも硬さも変わるし、同じコースの同じ距離でも、傾斜や風は毎回違います。だから、同じ振り幅でストロークしても、同じ距離を打てるわけがないのです。

たとえば、ボクは子供のころから野球をやっていたので、10メートル先に立っている人の胸に、正確にボールを投げることができます。でも、ただ「10メートルを投げろ」と言われたら、それはできません。パットも同じです。10メートル先のカップには寄せられるけれど、「10メートル転がせ」と言われてもできない……。


この、目標となる人やカップに距離を合わせられるのが本物の距離感です。振り幅で距離感を出すなんて、目標なしに10メートルを投げよう、転がそうとしているのと同じ。そんなものは実戦では何の役にも立ちません。

では、この本物の距離感を磨くにはどうしたらいいのでしょう。

ここでやってもらいたいのが、片手で打つ練習です。これは、両手で打つよりも、片手で打ったほうが“感じ”が出しやすいからです。右手1本、左手1本で球を打ち、実際に打つときには、自分が距離感を出しやすいほうの手の感覚を生かしてストロークするとよいでしょう。

また、素振りをしながら頭のなかで球を打ち、ボールが転がる音をイメージして、その音の長さで距離感を出すのもいい方法です。最初にカップを少しショートする素振り、次に、カップを少しオーバーする素振り、最後にピッタリ寄る素振りをしてから打つ習慣をつければ、次第に距離感がアップしてくるでしょう。

距離感を磨く練習 1
片手で打つ

基本的に、日常生活には両手で距離感を出すという習慣がない。ボールを投げるときも、紙くずをゴミ箱に入れるときも、片手で行うはず。だから、片手で打ったほうが本来自分の持っている距離感が反映されやすくなるのだ

離感を磨く練習 2
スピードと音をイメージして素振りをする

素振りをしながら、頭のなかでボールを打ち、そのボールが転がる音をイメージしてみよう。5メートルなら「コン、スーーーーーコロ」、8メートルなら「コン、スーーーーーーーーコロン」という感じだ。ボールが転っていく姿を思い浮かべながら音をイメージし、それを再現するように打つことで、距離感が合いやすくなる

【ここもチェック1】
ボールの位置を安定させる

左目の真下あたりを基準にして、その前後左右にボールをズラしながら、最も芯に当たりやすいボール位置を見つける。ちなみに、寺西プロの場合は、おでこの真下が基本のボール位置で、スライスラインのときは少し左、フックラインのときには少し右に置いているという

【ここもチェック2】
芯に当たるストロークを身につける

芯に当たるストロークを身につけるには、レール型の練習器具を使うのがいちばん。レールの上を常にまっすぐ転がせるようになれば、芯に当たるストロークが身についた証拠だ

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より

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