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【間違いだらけのゴルフ英語】<前編>250Yのフルショットも「アプローチ」ってホント!?

海外に活躍の場を移す日本人選手が増えるとともに、英語で放送されるトーナメント中継を見る機会も多くなった。そこで、“和製”と“本物”のゴルフ英語の違いを知っておこう!

TEXT/Toshiaki Muraki

解説/村越秋男

むらこし・あきお。30年以上PGAツアーの放送を英語音声で視聴し続ける、正しいゴルフ英語の研究家。「世界に通用するゴルフ英語596選」など著書多数

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和製英語の代表的な例が「アプローチ(approach)」だ。グリーン周辺からカップに“寄せる”ショットだからアプローチ。何ら問題ない表現に思えるのだが、「アメリカのゴルフでも“アプローチ”と言いますが、意味が全然違います」とゴルフ英語研究家の村越秋男さん。「英語でアプローチの意味は、パー4だったら通常、第2打でグリーンを狙うフルショットです。(中継でも)『250ヤードのアプローチ』、グリーン近くに来たら『チップ(chip)』や『ピッチ(pitch)』と言っています」

最近よく耳にするPGAツアーのスタッツに「SGデータ」があるが、これは4つのカテゴリーのスコア貢献値を表す。「オフ・ザ・ティー」「アプローチ・ザ・グリーン」「アラウンド・ザ・グリーン」「パッティング」の4つだが、オフ・ザ・ティーはパー3以外のティーショット、パッティングは文字通りパットのデータ。残る2つ、アプローチ・ザ・グリーンとアラウンド・ザ・グリーンはどちらも“寄せ”のデータのように感じられるが、アプローチ・ザ・グリーンはグリーンを狙うショット、つまりパー3の1打目やパー4の2打目などのデータ、そしてアラウンド・ザ・グリーンが30Y以内のショット、いわゆる“寄せ”のスタッツになる。

「アプローチは英語にもある言葉なのでそのまま使えそうですが、PGAのテレビ中継を見たらそんなことは全然言ってない」

そこから研究が始まった。

村越さんが定義する和製ゴルフ用語は、アプローチのような「英語の意味と混同してしまう」以外に、「英語として通じない(理解されない)造語」「英語の意味を誤解・誤用している表現」。造語の一例に「2オン」を挙げる。

「『two on』は、私はテレビで1回しか聞いたことがありません。アナウンサーが言ったのですが、画面ではグリーンにボールが2つ乗っている(two balls on the green)場面が映っていました」

2打でグリーンに乗ることを「hit(get) the green in two strokes(shots)」と表現する。

「on」が先で「two」が後にくるが、日本語は「2打でグリーンにオンさせる」なので「2」が先。「要するに、カタカナ化すると日本語になって、日本語の文法に合わせて使う。だから日本人に覚えやすいし、受けるわけです」

ほかにも、我々が知らずに使っている和製英語はまだまだある。

和製ゴルフ英語
パーオン

正しくは「hit(get) the green in regulation(GIR)」、または「green in regulation」「in
regulation」。パーを日本語では規定打数というが、「regulation」の意味は「規定」。パー4の第2打で乗れば冒頭の表現になり、「par」も「on」も入らない。「英語としては間違っているが創作としては最高傑作」と村越さんも脱帽。

和声ゴルフ英語②
ショートホール/ミドルホール/ロングホール

「パー3」「パー4」「パー5」が正しい。英語でも「short hole」「long hole」を使うが、意味が異なる。タイガー・ウッズが「316ヤードのパー4。これはショートホールだ」と言ったことがあり、「パー4にしては相対的にヤーデージが短いという表現です」(村越さん)。ロングホールも同様で、「ミドルホール」という用語は存在しない。

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週刊ゴルフダイジェスト2024年2月25日・3月4日合併号より