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【飛んで止まるアイアン術】#1 プロみたいな高い球を打つ最大のポイントは“クラブの入れ方”

高い放物線を描き、グリーンでピタッと止まる̶̶。男子プロのアイアンショットは実に美しい。もちろん、パワーの違いはあるが、我々もあの弾道に少しでも近づけることはできないだろうか。今回は、いまツアーを席巻中の若手男子プロ5人に、アイアンの極意を教えてもらった。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Takanori Miki、ARAKISHIN THANKS/ゴールデンクロスCC、ぎふ美濃GC

パーオン率1位! 桂川有人

かつらがわゆうと。1998年生まれ愛知県出身。今年初優勝を挙げただけでなく、全英オープンにも出場。現在、賞金ランク2位、パーオン率は1位

トップテン5回! 久常涼

ひつねりょう。2002年生まれ岡山県出身。大学へは進まずプロ転向。昨年はABEMAツアーで3勝を挙げる活躍

初シード 清水大成

しみずたいせい。1999年生まれ福岡県出身。日本大学時代、1年生で日本学生を制覇した強者。切れ味抜のアイアンが武器

初優勝は近い! 岩﨑亜久竜

いわさきあぐり。1997年生まれ静岡県出身。300ヤードを超えるドライバーが注目されがちだが、実はツアー屈指のアイアンマンでもある

学生プロ! 髙宮千聖

たかみやちさと。2003年生まれ熊本県出身。福井工大の学生ながらABEMAツア「ジャパンプレーヤーズ」で優勝、プロ転向した

●CONTENTS●
#1 高い球の最重要ポイントは“入射角”
#2 緩やかな入射角のコツは“右肩の押し込み”
#3 頭と右足が動かなければ入射角は安定する
#4 軸ブレを防ぐ2つのコツ
#5 ミリ単位で調節!? プロのインパクト感覚
#6 チェックポイントは2つまで!

プロのアイアンは滞空時間が長い

バンテリン東海クラシック
三好CC「魔の16番」(195Y)で定点観測

プロの平均は6.53秒!

「東海クラシック」が行われた三好CCの名物ホール、16番・195Y・パー3で定点計測。6番アイアン前後で打った際のプロの滞空時間の平均は6.53秒だった。ちなみに平均スコア90前後の記者の場合、滞空時間は約5.7秒。わずか1秒弱だが、この違いは大きく、体感ではプロに比べてかなり早く落ちる印象

195ヤードは、男子プロなら6番アイアンで打つ選手が多い。べらぼうに高い弾道なので、グリーンにビタビタ止まる。試しに、インパクトから着弾までの時間を測ってみると、平均で6.5秒くらい。これは、実際に体感すると、「いつ落ちてくるの?」と思うほどの長さだ。

「アイアンで『高さ』を出すことは、最重要事項のひとつです」と、桂川有人プロ。プロ仕様のグリーンは硬く、速いので、いかに「落下角度」を大きくして止めるかというのが、現在、世界中のプロやコーチの課題。そのための絶対条件が、最高到達点の高さなのだ。

「今はデータの理想値がわかるので、それを実戦でどう出すかが勝負です」(桂川)

プロの球はなぜ高いのか?

理由(1)
クラブが上から入ってくる

ダウンブローは当然として、その角度が大事。「最下点の位置を決めて、そこから逆算して、最適な角度でヘッドを入れるように意識しています」(髙宮)

理由(2)
ロフトが立ってインパクト

ハンドファーストで、ロフトを立てながら打つから飛距離が出る。「打ち出しは低くても、最適な入射角だとスピンが利いて、最後は高い球になります」(岩﨑)

理由(3)
体が強く球に圧をかけられる

「ボールに強い圧を加えて、ある程度つぶして打たないとスピンがきっちり入らないし、飛距離も出ない。プロの基準だと体の強さは必須」と久常プロ。アマチュアは、まずヘッドの重さを有効に使いたい

上からすぎず、下からすぎず
“クラブの入れ方”が最も重要

昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」の練習日で、久常涼プロは、トミー・フリートウッドと回った。

「アイアンの高さがとにかくすごくて、世界でやるにはこんなに高い球を打たなきゃいけないのかと驚きました。僕たちプロは、それをロングアイアンでもやる必要がありますが、アマチュアならショートアイアンでできればいいと思います」と、久常プロ。

では、どうやってその高さを出すのかというと、「最高到達点をコントロールするには、『入射角を最適にすること』がいちばん大事です」と、桂川プロは言う。よく、アイアンは「上から打ち込め」というが、入射角が急すぎると、無駄にスピンが増えて距離が出ないし、逆にゆるやかすぎるとスピン量が減って、空中での揚力が不足してしまう。要するにアイアンは、「クラブの“入れ方”がすべて。ボクの場合は、『3度ダウンブロー』が理想です」(桂川)

桂川有人
「1度単位で入射角を調整している」

もともと入射角がゆるやかすぎて、スピンが入り切らないことが多かった。トラックマンを使って最適角度を割り出し、「3度ダウンブロー」に打つことで球筋が変わりました

久常涼
「インパクト直前のヘッドの動きに集中」

ヘッドは重いので、ダウンスウィングに入るとクラブが寝る方向に「落ち」やすい。インパクト直前にどうヘッドが「落ちる」か、意識するとスウィングも変わります

清水大成
「上から入れるのが大前提」

球の高さを出すには、入射角がゆるやかに上から入るのが絶対条件。しかし、ピンへの意識が強すぎると体が左に流れて鋭角に入りすぎてしまうため、理想は2度から3度ダウンブロー

髙宮千聖
「適正な入射角で入れば弾道はコントロールできる」

最下点を一定にすることが、入射角の安定につながります。入射角のズレは出球への影響が大きく、逆に入射角さえ安定していれば、ミスは最小限に抑えられます

岩﨑亜久竜
「円軌道を整えることが入射角の安定につながる」

スウィングは「円」。きれいな円を描いて振れると、最下点の位置が常に一定になり、そこにボールを置くことで、いつも同じ入射角で打つことができます

>>若手プロのアイアン意識
さらに詳しく聞いてみた

月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より

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