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桂川有人、河本力…優勝者ぞくぞく! 男子ツアーで“Z世代”が台頭する理由

「若手不在」「スター不在」とささやかれて久しい国内男子ツアー。昨年までは金谷拓実が一人気を吐いていた状況だったが、今年はすでに金谷と同世代が4人も優勝。ついに男子ツアーにも『Z世代』の波が訪れた。彼らの強さの秘密に迫る!

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara

大西魁斗(左)が優勝した今年のフジサンケイ最終日の最終組1組前で回る“Z世代”の大西魁斗と岩﨑亜久竜(右)。内藤雄士に師事していることもあり、大西は日大ゴルフ部OBと仲が良く、岩﨑とも楽しくラウンド

1996~2002年生まれのZ世代がアツい!

Z世代で優勝しているのは、星野陸也(5勝)、片岡尚之(1勝)、金谷拓実(3勝)、桂川有人(1勝)、大西魁斗(1勝)、河本力(2勝)、中島啓太(1勝)、蟬川泰果(1勝)の8人。金谷、中島、蟬川はアマチュア優勝を遂げており、そのポテンシャルは計り知れない。その他、今季トップ5が4回の岩﨑亜久竜や同3回の久常涼らが虎視眈々と初優勝を狙っている。初優勝すれば2勝、3勝と複数回優勝も夢ではない逸材が揃う。

クラブやテクノロジーの進化はもちろん
「高い“意識”と“身体能力”があるんです」

解説/内藤雄士

日大ゴルフ部在籍中にアメリカにゴルフ留学し、最新理論を学び、帰国した後にティーチング活動を開始。丸山茂樹をはじめトッププロをコーチとして支え、またジュニア育成に携わる。19年から日大ゴルフ部コーチ。また大西魁斗や木村太一などを教えている

プロコーチになって約四半世紀。ジュニアからトッププロまでこれまで数千人というゴルファーを見てきた内藤雄士プロに、男子ツアーで“Z世代”が活躍している理由を聞くと、「要因はひとつではありません」という。

「きっかけはやはりタイガー・ウッズの出現です。先日、アマチュア優勝した蟬川君の名前の由来がタイガーだといいますが、彼が活躍したことでプロゴルファーの収入が10倍近くに跳ね上がった。それによって、プロゴルファーという職業が認知され、それまで野球やサッカーに流れていた運動神経が良い子や体格のいい子がゴルフを選ぶようになりました。また松山英樹プロがPGAツアーで活躍しているのは大きいと思います。日本人でも海外で戦えるという事実から、“Z世代”のゴルファーはみんな、出場権がもらえれば米ツアーのQTに行くって言ってるし、日本よりも海外のツアーで活躍することを夢見ているのです。そのためにトレーニングや練習を積んでいます。彼らはお金ではなく、高いレベルを求めていく、真のアスリートなんだと思います。

次に、練習環境の向上があります。小さいころからパソコンやスマホでスウィングや練習方法などの情報を入手してきた世代ですし、ゴルフに合わせたトレーニングが確立され、それを適切に受けられています。スマホを使ってスウィング動画を撮影できるので、スウィング作りがしやすいというのもあります。弾道計測器も身近になり、スウィングや打点と弾道の因果関係がわかるようになったのも大きいです。

また、一貫して460㏄の大型ヘッドで育ってきている点も見逃せません。パーシモン、メタル、チタンと素材とともにスウィング論も変化してきました。僕自身、パーシモンからメタルやチタンに変わった時は、スウィングを変えるのに大変だった。でも“Z世代”はゴルフを始めたころから一貫した理論でスウィング作りができている。現代の道具に合わせてゴルフ歴を重ねてきているので、そういった意味ではベテラン選手とチタンクラブ歴はそれほど変わらないのです」

男子の活躍は女子から遅れること4年。その理由は?
女子ツアーでの“Z世代”の活躍は、勝みなみをはじめとする“黄金世代”のプロテスト合格以降で2018年から。この約4年のギャップについて、内藤プロに聞くと、「女子と比べて活躍が4年遅れている理由はひとえに大学に進学した選手が多いからでしょう。男女の体の成熟スピードが違うこともありますが、大学の4年間で時間をかけてしっかりとトレーニングを積んで体を作り、スウィングも作り上げてきた。男子はこの期間に劇的に体が変わります。その時間があったからこそ、プロに転向してすぐに結果が出ているんだと思います。個人的には女子も大学に行くべきだと思っていますが、女子だと4年は長いとも思うので中退でもいいかもしれません。でも大学で体とスウィングを作る時間をとっていないから、正直短命に終わる選手が多いのも事実だと思います」

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月18日号より

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