Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 稲見も畑岡も! パット上手の女子プロがこぞって採用する「クロスハンド」メリットと握り方を詳細解説

稲見も畑岡も! パット上手の女子プロがこぞって採用する「クロスハンド」メリットと握り方を詳細解説

一昔前は“異端”というイメージがあった「クロスハンド」のグリップだが、最近では稲見萌寧や畑岡奈紗をはじめ、女子プロの間でも採用する選手が増えている。果たしてクロスハンドでパッティングをするメリットは? そもそも正しい握り方は? パットに強い南秀樹コーチに話を聞いた。

PHOTO/Takanori Miki、Hiroaki Arihara

解説/南秀樹

木村彩子や岡山絵里などのトッププロを教えるプロコーチ。香川県で「3.7.3 GOLF ACADEMY」を主宰

“ロボット化”すれば余計な動きができない!

昔はパットの苦手克服のための握りという印象だった「クロスハンド」。しかし、今ではクロスハンドを採用する選手が増えている。その理由を南秀樹コーチに聞いた。

「1番の理由は、グリーンが高速化したことで、機械のように毎回同じストローク、そして同じ出球を打つことが求められるようになったことです。一般的にクロスハンドは、右手の動きが抑制できると言われています。それもありますが、僕は『左手の動きが抑制できる』メリットもあると思っています。つまり、クロスハンドで握ることで両手を“ロボット化”し、体だけを使ったストロークになるため、常に安定した出球が打てるんです。一方、距離感が出しにくくなるため、ロングパットの練習は必須です」


クロスハンド4つのメリット

(1)手首が固定され余計な動きがなくなる

手首がロックされるため、ストローク中に手首が返る動きが抑えられる。結果、パンチやゆるみがなくなり、一定の力加減でストロークできる

(2)左右の肩の高さがそろいやすい

クロスハンドだと左手が下になるため、両肩のラインがそろいやすい。過度なアッパーやダウンブローを防げる

(3)左腕の側面とフェース面がリンク

左腕の側面がフェース面とリンクするため、フェース面の管理がしやすい。左手の面が真っすぐ動けば、出球もズレにくい

(4)ストロークの軌道が安定しミート率が上がる

体を使ったストロークになるため、再現性が高く最下点がブレにくい。すると、ミート率が上がり転がりもよくなる

基本のアドレス

【右手の握り方】
“五木ひろし”の要領で右わきを絞る

手のひらを正面に向けたまま後方から腕を動かしわきを締める。最後にグリップに手のひらをつければ完成

【左手の握り方】
両手のひらが向かい合うように横から添える

左手は横から添わせるように握り、両手のひらが合わさるのが正解

両手のひらが互いに向き合う形が基本形。手のひらの向きがズレると、力の入り方が変わり、安定しにくくなる

クロスハンドと言っても左手の握り次第で千差万別

基本の握り方はあるが、左手の握り方によって様々なクロスハンドの形がある。女子プロのグリップをもとに仕分けしてもらった

同じクロスハンドでも、プロの握り方を見るとさまざまなタイプがある。南コーチによると、左手の握り方によってタイプ分けできるという。

「前述したように、クロスハンドの目的のひとつは、左手を固定すること。基本の握り方でも左手を固定をしていますが、左手の握りを変えることでさらに固定度が強くなります。大きく分けると、基本の握り方に加え、左人差し指を伸ばすタイプ、左手を上から絞るように握るタイプ、左腕にグリップを添わせるタイプがあり、後者ほど左手の個程度が強くなります。みなさんも実際に試して自分に合うクロスハンドを見つけてください」

基本型

左手の固定度:弱
主な採用プロ:稲見萌寧、菊地絵理香、若林舞衣子

右手は下から、左手は横から握る基本に忠実な握り方。クロスハンドのメリットを平均的に幅広く生かせる

【メリット】
ストロークの再現性が高くなる

腕に窮屈感がないため、力みがなくなり、体の回転がしやすい。スウィングリズムが一定になり、再現性も高くなる

【注意Point】
上半身がゆるみやすい

グリップ圧が弱いため上半身がゆるみやすい。下半身はどっしり構えるようにしよう

左人差し指伸ばし型

左手の固定度:中
主な採用プロ:青木瀬令奈

両手の握る間隔を広げ、人差し指を伸ばして握ることで左手首の動きを抑えることができる

【メリット】
フェース面の管理がしやすい

左手首の動きをより強く固定することで、フェース面の管理がしやすく、パンチやゆるみも入りにくい

【注意Point】
ダウンブローになりやすい

左手がグリップの下のほうを握ることで、左肩が下がりやすい。すると入射角が鋭角になりやすいため、肩を水平に保つように注意

左手かぶせ型

左手の固定度:強
主な採用プロ:植竹希望、新垣比菜、宮田成華

左手を上からかぶせるように握ることで、手首の固定はもちろん、わきが締まるため、腕がより固定される

【メリット】
両腕がロックされ体主体のストロークに

両手首はもちろん、右腕、左腕がしっかりとロックされる握り方なので、体主体のストロークがしやすくなる

【注意】
左肩が前に出やすい

左手を上から握ると左肩が前に出やすい。アドレスで肩のラインがスクエアになっているかチェックしよう

左手かぶせ型

左手の固定度:最強
主な採用プロ:脇元華、福山恵理

短く握り、グリップ部分を左腕につけるタイプ。左手はやや上から握るのが理想

【メリット】
シャフトと腕が一体化

シャフトが左腕にくっついていることで、左腕とクラブが一体化して動きやすい。安定感が最も高いタイプ

【注意】
腕だけで振るとフェースが開きやすい

左腕だけで振ろうとすると、手元が浮き、フェースが開きやすくなる。体でストロークしよう

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より

こちらもチェック!

  • 100Y以内を確実に乗せる、アプローチで1パット圏内に寄せる、グリーン上で確実に2パット以内で上がる――スコアメイクをする上で最も重要なもののひとつが「距離感」だ。どこからでもいとも簡単に寄せてくるプロのような距離感は、我々にも身につけることができるのか。今回は、「距離感」というものの正体と、その磨き方を教えてもらった。 TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda、……
  • パット巧者の女子プロのルーティンを観察すると、お腹を触るタイプと左太ももを触るタイプの2つのパターンが多いことが分かった。その効果は? PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa どんな状況からでもズバズバとカップにねじ込むプロのパッティング。その秘密は、打つ前の「ルーティン」にあるというのは関浩太郎コーチ。なかでも、女子ツアーで多か……
  • PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Shinji Osawa スコアを大きく左右するパッティングだが、パットが上手な女子プロのパッティングスタイルを見ていると、ある共通点があることがわかった。果たしてその共通点とは? 解説/橋本真和TPI レベル1、アスリートボディケア・セルフトレーナーなどの……