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【陳さんとまわろう!】Vol.252 ボールがフェースに乗る動き。非常に大切です

しっかりとフェースコントロールをしていく陳さんのスウィング。ここでもやはりフットワークが重要になってくる

TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ

前回のお話はこちら

インパクトの瞬間
それなりの時間はある

――前回、陳さんはインパクトの短い時間の中でフェースの向きなどを修正できるとおっしゃいましたが、実際そんなこと可能なんですか?

陳さん あ、信じていないんだ(笑)。私はこれまで一度も噓を言ったことはないからね。これまで話したことは全部自分で実感したこと。インパクトは確かに一瞬ですがね、その中にもそれなりの時間があるんだ。ただし、それなりの時間というのはフットワークを使いながらスウィングした場合にしか生まれないことを知らなくちゃいけない。ダウンスウィングの始まりに手でクラブを振り下ろしたために、下半身が突っ張るようなスウィングでは、インパクトの時間が短すぎて、修正する時間なんてないんだねえ。

――手打ちでは無理なんだ、と。しかし超感覚の世界ですね、それは。


陳さん でもボールを何万球何十万球も打ってきたプロゴルファーなら理解するし、実際その短い時間の中で球筋を修正することをやっているはずですよ。でなきゃ、プロとしてやっていけないと思うんだね。

――フットワークを使うと時間が生まれるのはなぜなんですか。

陳さん それはインパクトでレイトヒットができるからですよ。レイトヒットは手の位置よりクラブヘッドの位置が後ろにある状態。ということはハンドファーストのインパクトということ。この状態をつくれると、ボールがクラブフェースにくっ付いている時間が長いんだね。というのはヘッドが低く長く出ていくから。ただしそのためには大前提としてダウンブローのスウィングが必要なんですよ。

――ダウンブローのスウィングにハンドファーストのインパクト。

陳さん はい。それでヘッドが低く長く出ていくために、ボールがフェースに乗っている時間が長い。だからフェースの向きとかを修正しようと思えばできるということなんだね。

――しかし、ひざが突っ張ったスウィングではそれができない……。

陳さん そう。ひざが突っ張ったインパクトではレイトヒットできないですよ。ヘッドファーストのインパクトと言っていいと思いますがね、インパクトで手の位置よりヘッドのほうが先に出ていく打ち方になるはず。これじゃあボールがクラブフェースに乗っている時間は取れない。だから修正は無理なんだね。

――ダウンブローといい、フットワークを使ったハンドファーストのインパクトといい、みな陳さんのスウィングの大きな特徴ですね。

陳さん そうです。ドライバーからショートアイアンまでこれは同じなんですよ。私ばかりじゃなく、フットワークを使う人ほどインパクトでボールのくっ付きが長いですから、正確にボールを飛ばしているはずですよ。

私はこれまで16回のホールインワンを出していますがね、これはそのいい例ですよ。アルバトロスも2回経験しました。ただホールインワンを最後に出したのはもうずいぶん前でさ、2004年だ。5月13日に東京ゴルフ俱楽部の4番ホールで7番アイアンで打ったら2メートルぐらい手前に落ちて、転がって入ったんだね。4~5年ぶりだったはずよ。

試合中のホールインワンは1回でしたけど、アルバトロスは2回ともシニアに入ってから、試合で出したんですよ。鳳凰(GC)ではクリークで、愛鷹(シックスハンドレッドC)ではスプーンで2打目を打って入れちゃった。ま、今は昔の話ですがね。

陳清波

ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より