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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.823「情報交換もスキルアップの大事なファクターです」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


プロはオフシーズンに暖かいところで合宿をする人が多いですが、開幕戦が行われるのはまだ寒い時期。それだったらむしろ寒い場所で準備、調整しておいたほうがいいのではないでしょうか。(匿名希
望・44歳・経験の浅いビギナー)


シーズンオフの国内は雪が降っているような時期に、温暖なところでトレーニングキャンプを張るアスリートたちを目にして「この寒い時期に暖かい場所で体が伸び伸び動かせてうらやましい」と感じているのかもしれませんね。

でも、アスリートにとって合宿やキャンプは遊びではありません。暖かい場所でやるのは、あくまでケガを防止したいからでもあります。体が資本のアスリートにとって、オフは長いシーズンで消耗した体を休ませ、体力を回復しスタミナを蓄え、次シーズンを戦う新たなスキルを身に付けるための貴重で大事な期間です。

開幕前の合宿は次のシーズンに向けての準備と調整を目的に行うものです。

最近調子が良くない、リズムが一定しないなど気になる課題があったとしても、シーズン中はまとまった時間をかけてスウィングやフォームの矯正に取り組むことは難しいです。

そこで選手たちは、オフの期間を利用してスウィングの改造や新しい球筋などハッキリした目標を持って練習に取り組みます。


そういう場合も集中して効果を上げるため合宿に入るケースもあります。

複数の選手が集まり、場合によってコーチやトレーナーを伴い数日間から数週間、合同トレーニングを行うことを合宿やキャンプというそうです。

ゴルフは個人競技ですが、トレーニングを仲間で行うことで練習の効率アップが望める点は同じだと思います。

どんな技術力向上も相手がいたほうが効果は上がると思います。

一人で決めてやるより、ある程度は規則が決められてその大枠に沿って行動するほうが楽だと感じる場合もあります。

合宿やキャンプでもたいていの場合、参加者全体がこなすメニューや時間割が立てられており、一人ひとりに個別メニューも用意されていても、毎日の練習はほぼ全体の流れで進み食事や就寝にはタイムテーブルがあります。

そうすることで、練習内容など情報交換が活発に行われることになったりします。

個人競技であるゴルフにとって、合宿やキャンプの本当のメリットは、実はこのお互いに行う情報交換の部分ではないかと思います。

しかし合宿やキャンプをするにしても、当然費用はかかります。

プロゴルファーは基本的には個人事業主、経費は自腹が基本ですから、いつも一緒にキャンプを張る仲間同士で毎月合宿費用として積み立てておくこともありましたね。

近しい仲間や先輩に、きちんと計画的にキャンプの面倒を見てくれる人がいるか、練習メニューの選定を含め頼りになるリーダーがいるかどうかが、大事なポイントになってくることもあります。

せっかく短期間で集中して練習を行うわけですから、計画を立てることでダラダラとせず練習に打ち込めるからです。

ちなみにですが、先月、わたしも表純子選手、青山加織選手、そして久しぶりに森田理香子選手を加えて、ミニ合宿をやりました。

それぞれいまはレギュラーツアーにフル参戦している立場ではありませんが、そこを目指しお互いのスウィングを見て自分のゴルフを磨く参考にしていました。

もちろん、気分転換にもなるのでシーズン中にもこうした機会を持つことはいいことだと思います。

でも、わたし自身はあまりにも飛ばない現実にげんなり……。

打っているうちに、徐々に感覚が戻ってきて、そこそこ打てるようになってきましたが、いかんせん、数年ぶりにクラブを振ったこと、そして若い選手たちと一緒だったということもあり、後日、体のあちこちが痛くて大変な思いをしました(笑)。

「目的を持って行動すること、意識していますか?」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月30日号より

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