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「アイアン型UT」って僕らでも使えるの? 最新6モデルを試打検証

ロングアイアンに代わりに入れる「アイアン型UT」は、プロや上級者でないと使いこなせないイメージがあるが、堀越良和プロによると、一般のアマチュアでも試してみる価値はあるという。詳しく話を聞くとともに、最新のアイアン型UT6モデルをテストした。

PHOTO/Tomoya Nomura THANKS/クレアゴルフフィールド

解説/堀越良和

試打企画でお馴染みの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまで、あらゆるクラブを試打するスペシャリスト。「ギア選びのウソホント」連載中

風が強い日や狭いホールで重宝する

アイアン型UTというと、パワーがありヘッドスピードが速いプロや上級者が使うクラブというイメージを持つゴルファーは多いだろう。そもそもアイアン型UTを使うことにどんなメリットがあるのだろうか。ギアに造詣が深い堀越良和プロに聞いてみた。

「アイアン型UTはウッド型に比べると弾道が低くなる傾向にあります。これがプロや上級者、パワーヒッターが使用する理由です。ウッド型UTだとボールが上がり過ぎてしまうので、アイアン型を使用するわけですが、では一般のアマチュアにはメリットがないのかというと、そんなことはありません。弾道が低いといってもロングアイアンよりは上がりやすいですし、中空構造が多いのでミスに対する寛容性も一般的なアイアンよりも高いです。弾道が低いと、風の強い日に影響を受けにくくなるので、これは大きなメリットです。さらに滞空時間も短くなるので曲がりを抑えられますから、狭いホールでのティーショットでも武器になります」


こういったメリットを聞くと、アイアン型UTはプロや上級者だけのものと決めつけるのはもったいない気がする。

「加えて、アイアン型UTはウッド型よりもクラブが短いので、長いクラブだと振り切れないという人にはいいと思います。またウッドが苦手でアイアンのほうが得意という人にも合うでしょう。リーディングエッジが直線的なので、方向性が出しやすいというメリットもあります。重心距離も浅めなので操作性もいいですから、様々なライでいろいろな打ち方をすることもできます。確かにウッド型と比べるとボールは上がらないので、ある程度のヘッドスピードは必要になってきますが、ティーショット用と割り切れば、そのハードルもかなり下がります。多くのゴルファーが使えるクラブだと思うので、検討する価値は十分にあります」

<アイアン型UTのメリット>
●ボールが上がり過ぎず弾道を抑えることができる
●リーディングエッジが直線的で方向性が出しやすい
●ウッド型UTよりも短いので振りやすい
●重心距離が浅めで操作性がいい

“アイアン寄り”と“UT寄り”の
2タイプに分けられる

今回、堀越プロには4メーカー6モデルのアイアン型UTを試打してもらった。

「構えたときに、アイアンのようにちょっと上からヘッドを入れたくなるモデルと、フェアウェイウッドやウッド型UTのようにレベルにとらえたくなるタイプがありますね。つまり、一口にアイアン型UTといっても、アイアン寄りのタイプとUT寄りのタイプがあるといえます。アイアン寄りのタイプはヘッドもソールも比較的薄めのモデル、UT寄りのタイプはヘッドやソールが厚めでシャローフェースのモデルです。ヘッドの形状を見ればすぐにわかると思います」

では、アイアン寄りとUT寄りのどちらを選択するべきなのか。

「単純に言えば、ヘッドスピードが速いならアイアン寄り、あまり速くないならUT寄りを選ぶというのが基本です。その分岐点は、HS40㎧を基準とするといいでしょう。今回試打したモデルのなかでは、テーラーメイドの『ステルスDHY』とタイトリストの『U・505』がUT寄りで、やさしさを感じるモデルでした。

“UT寄り”のアイアン型UT

テーラーメイド「ステルス DHY」

●ヘッド素材:ステンレススチール450SS(鋳造) ●フェース素材:クロモリ鋼4140(鍛造) ●長さ:39.5インチ ●ロフト:22度 ●ライ角:60.5度 ●総重量:365g ●シャフト:TENSEI SILVER TM70 HY (’22)(S) ●価格:4万1800円 ※スペックと価格は試打したモデル(#4)。総重量は編集部調べ。以下同)

スピンが少なめで飛距離が出る
「シャローフェースで、構えたときにボールが上がりやすそうに感じる。ネックは長めだが、振ってみると重心距離の長さを感じ、つかまりはそこそこ。スピンは少なめでとても飛距離が出ていたので、狭いホールでのティーショットには最適なクラブ」(堀越・以下同)

タイトリスト「U・505」

●ヘッド素材:17-4ステンレス+タングステンウェイト ●フェース素材:SUP-10 ●長さ:39インチ ●ロフト:22度 ●ライ角:61.5度 ●総重量:360g ●シャフト:3D051(S) ●価格:4万4000円

高さでグリーンで止められる
「ボールが楽に上がってくれるので、高さでグリーンに止められるクラブ。ネックが短く、見た目に球が上がる感じがあるので、上げようとしなくなるのがいい。打ち出しが高く、スピンは少なめの印象。ウッド型UTは苦手という人は、試してみる価値があるやさしいクラブ」

“アイアン寄り”のアイアン型UT

テーラーメイド「ステルス UDI」

●ヘッド素材:ステンレススチール450SS(鋳造) ●フェース素材:クロモリ鋼4140(鍛造) ●長さ:39インチ ●ロフト:23度 ●ライ角:61度 ●総重量:370g ●シャフト:TENSEI SILVER TM70 HY (’22)(S) ●価格:4万1800円

球が上がりやすくつかまりもいい
「DHYよりもソールもヘッドも薄めだが、つかまりはこちらのほうがよく感じた。アイアンからの流れで打てるので、ラウンド中に違和感を持つこともない。ロフトが23度で今回試打したモデルでいちばん大きいのでボールの上がりやすさもある。打感は硬めだが操作性はいい」

タイトリスト「T200 ロング」

●ヘッド素材:17-4ステンレス+タングステンウェイト ●フェース素材:SUP-10 ●長さ:38.75インチ ●ロフト:22度 ●ライ角:61.5度 ●総重量:368g ●シャフト:3D051(S) ●価格:4万4000円

打ち出しは低めだがスピンはかかる
「通常のアイアンのようにヘッドを少し上から入れたくなるクラブ。打ちこなすにはある程度のヘッドスピードが必要。打ち出しはやや低めだがスピンは意外とかかる。アイアンの延長線上で使いこなせるクラブで、セッティングの流れを妨げないモデルと言える」

ピンゴルフ「G425 クロスオーバー」

●ヘッド素材:17-4ステンレススチール ●フェース素材:FORGEDマレージング鋼C300 ●長さ:39.13インチ ●ロフト:22.5度 ●ライ角:59.9度 ●総重量:356g ●シャフト:ALTA J CB SLATE(S) ●価格:3万9600円

ヘッドは大きめだが黒いぶん締まって見える
「ヘッドは大きめで安心感があり、フェースも高さがあるが、黒で塗装されているので締まって見える。形状としてはUTというよりはアイアンに近い感じだが、UTなりのやさしさも兼ね備えている。フェースの高さがあるのでラフからでも使いやすい。トータルバランスがいい」

コブラ「キング ユーティリティアイアン」

●ヘッド素材:17-4SS鋳造 ●フェース素材:ST-118SS鍛造 ●長さ:39インチ ●ロフト:22.5度 ●ライ角:62.75度 ●総重量:419g ●シャフト:NS PRO MODUS3 105(S) ●価格:3万1900円

アイアン型には珍しい調整機能付き
「中空構造でそれなりにヘッド後方の厚みはあるが、トップラインを厚くすることで、上手く出っ張りを隠しているのでとても構えやすい。操作性もよく、中空にしては打感のよさもある。カチャカチャ付きなのも使い勝手がよく、面白い。また価格が抑えめなのも魅力的」

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より

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