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【イ・ボミのスマイル日和】Vol.21『スマイル・キャンディ』 誕生秘話、お話しします

2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす

TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki

イ・ボミ 1988年生まれ。15、16年賞金女王。日本ツアー21勝のレジェンド

>>前回のお話はこちら

「プロとして、“調子がいいときだけ”笑うのは、違うと思った」

日本で仕事をしていると、たまに「どうしてあんなに人気があったと思いますか?」と聞かれることがあります。

正直、私にもよくわかりません(笑)。試合で勝ったからというのは大きいと思います。でも、それだけではなかったのかな、と今は思っています。

当時、私には『スマイルキャンディ』というニックネームがありました。30代の今言われると少し照れくさいですけどね(笑)。

日本では『ボミちゃん』と呼んでもらうことがほとんどでした。その呼び方も含めて、本当に素敵な思い出です。

実は、「スマイル・キャンディ」と呼ばれるようになったのには理由があります。韓国ツアーでプレーしていた2009年、韓国女子オープンで2日目まで首位に立ちながら、優勝を逃したことがありました。

悔しくて下ばかり向いていた私を、応援してくださっていたファンのみなさんがずっと見守ってくれていたんです。

その時、「調子がいいときだけ笑うのではダメなんだ」と思いました。無名だった頃から応援してくれている人がいるのに、うつむいてばかりではいけない。

苦しいときこそ前を向こう。そう決めたことが、笑顔を大切にするようになったきっかけでした。

韓国では普通のことでしたが、日本では少し珍しかったのかもしれません。


その後、ファンのみなさんが「どんなときでも明るくいてほしい」という思いを込めて、『スマイルキャンディ』という愛称を付けてくれたんです。私にとって、とても大切な宝物のようなニックネームです。

日本へ来てからも、私はギャラリーのみなさんに手を振ったり、カメラマンさんと目が合えば笑顔になったり、手を振ったりしていました。

でも、その笑顔が、だんだん自分自身を苦しめることにもなりました。調子がいい日は自然に笑えます。

でも、毎日うまくいくわけではありません。

ショットが曲がる日もあれば、パットが入らない日もあるし、スコアが悪いときだってあります。そんな日にまで、「今日は笑っていませんね」「もっと笑ってください」と言われることがありました。

もちろん、期待してくださっているからこその言葉だということはわかっています。

でも私は、うまくプレーできていないのに無理に笑うことはできませんでした。

悔しいのに笑うことは、自分をごまかしているような気がしたし、応援してくださるファンのみなさんにも失礼だと思っていたからです。

実は、一番つらかったのは試合後のインタビューでした。

優勝した日は自然と言葉が出てきます。でも思うようなプレーができなかった日は、「あそこが悪かった」「これができませんでした」と反省を話すことしかできません。

私は記者のみなさんと話すことが好きだったので、本当はもっと楽しい話をしたかったんです。

でも負けた日は、何を話しても反省ばかりになってしまいました。

それでも、日本の記者のみなさんはいつも私の話を温かく聞いてくれていましたし、だから私も「今日は何か一つでも面白い話を持って帰ってもらいたい」と思っていました。

ゴルフの話だけではなく、小さな出来事や失敗談を話して、みなさんが笑ってくださる時間が私は大好きでした。

笑える日は思い切り笑って、苦しい日は苦しいと認める。

そして、どんなときでも感謝の気持ちだけは忘れない。その積み重ねが、私と日本のみなさんとの距離を少しずつ縮めてくれたのだと思います。

引退した今は、プレーではなく人としてどんな姿を見せられるかが大切になってきました。現役の頃より難しいと感じることもあります。

でも、これからは笑顔だけじゃなくて、悩んだことも、失敗したことも、そのままの私を知ってもらえたらうれしいです。

そして時々、「やっぱりボミちゃんの笑顔を見ると元気になるね」なんて言ってもらえたら、それだけで最高! 私はまた笑顔になれる気がします(笑)。

月刊ゴルフダイジェスト2026年9月号より