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180Yをグリーンにピタッ! 上がって止まる「7番ウッド」最新14モデルを打ち比べ

7番ウッドというと、女性やシニア向けのクラブと思われがちだが、今やプロや上級者もバッグに入れる、スコアメイクに欠かせない武器のひとつ。そこで今回は、7Wが一般ゴルファーにオススメな理由を教えてもらうとともに、最新14モデルを試打し、それぞれの特徴を探ってみた。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説・試打/堀越良和

ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打する“キング・オブ・試打”。週刊ゴルフダイジェストで『ギア選びのウソホント』連載中

7W最大のメリットは楽にボールが上がること

2020年のマスターズで、屈指の飛ばし屋であるダスティン・ジョンソンが7番ウッド(7W)を駆使して優勝したことが話題になった。7Wはシニアや女性ゴルファー向けのクラブと考えられがちだが、近年、高弾道でグリーンが狙えるクラブとして注目されている。そこで試打のスペシャリスト、堀越良和プロに7Wを入れる利点について聞いてみた。

「まず7Wをバッグに入れているアマチュアは非常に少ないです。それはなぜか? ロフトで考えれば21度前後ですから3Iに相当します。3Iを使えるアマチュアは、ほぼいませんから7Wと競合するクラブは何かというと、UTになるわけです。UTは難しいロングアイアンの代わりとして開発されたクラブです。ウッド型やアイアン型など、種類も豊富で多くのアマチュアが使っています。そのUTと比較することで7Wの良さが見えてきます」

堀越プロによると、7Wを入れるメリットは下記の4つ。

(1)球が上がりやすい
ロフトが立ったクラブが難しいのは、ボールが上がらないから。7WはアイアンやUTと比べ重心が深いのでボールがラクに上がってくれる。

(2)ミスヒットに強い
重心が浅いと芯を外したときのヘッドのブレが大きくなる。7Wのように重心が深ければ、ミスヒット時のヘッドのブレが抑えられ、芯を外しても飛距離が落ちにくい。

(3)スピンがかかりやすい
重心が浅いUTに比べ、重心が深い7Wはスピンが入りやすく、弾道の高さと相まってよりグリーンにボールが止まりやすくなる。

(4)キャリーが伸びる
スピンが抑えた中弾道が打ちやすいUTに比べ、高弾道の7Wのほうがキャリーが出しやすい。池やバンカーなどのハザードを越えるショットでも重宝する。

メリットだらけに思える7Wだが、デメリットもある。

「UTと比べると、クラブが長いぶんミートのしやすさでいえば、UTに分があります。さらにFWはフェースに丸みがあるため、UTに比べると方向性を出しにくく、曲がり幅が大きくなりやすいデメリットもあります」

メリット&デメリットを踏まえたうえで、堀越プロに最新モデルを徹底分析してもらおう。

7W選びのポイントは
飛距離、上がりやすさ、操作性

「14本を試打してみると、大きく3つのカテゴリーに分けられました。1つ目は7Wの特徴でもある球の上がりやすいモデルです。ボールを上げにいかなくても勝手にボールが上がってくれる、そんなオートマチックでやさしいモデル。キャロウェイ『ローグST MAX』はつかまりがよく、とにかく楽なクラブという印象でした。


2つ目は飛距離が出るモデル。テーラーメイドの『ステルス』は、予想を超える出球の速さに驚いたくらいです。球の上がりやすさは当然、魅力ですが、アマチュアにとっては距離を稼げることも重要ですから、大きな武器になるはずです。

そして3つ目が操作性の高いモデルです。フェードやドローだけでなく、球の高低まで球筋をコントロールできるモデルは、プロや上級者でも実戦で即投入できそうな性能の高さを感じました。

自分が求める性能は飛距離なのか、球の上がりやすさなのか、まずはその点を明確にすると、自分に合ったモデルが見えてくるはずです」

強弾道で飛ばす! 飛距離性能に優れた3本

テーラーメイド「ステルス」

出球を見失うくらいボール初速が速い

「注目はボール初速の速さです。ボールを見失うくらい出球が速いです。やや逃げ顔(フェースが右向き)で構えやすく、つかまりすぎないから球筋も操作できます。上から叩く印象が強く、ハンドファーストに打ちたい人やプロ、上級者に合います」(堀越・以下同)

●長さ/41.75インチ ●ライ角/58度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/165㏄ ●クラブ重量/321g ●シャフト/テンセイレッドTM50(S) ●価格/4万6200円

プロギア「RS ジャスト」

フェースに弾き感があり弾道が強い

「カーボンクラウンにマレージングフェースの組み合わせでボール初速が速い。フェースに弾き感があり、7Wでも飛距離を出したい人に最適です。FPが大きめ(出っ歯形状)でボールを拾いやすいです」

●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/139㏄ ●クラブ重量/332g ●シャフト/ディアマナ(S) ●価格/4万9500円 ※7月下旬発売

グローブライド「オノフAKA」

ヘッドが利いていてインパクトで走る

「ヘッドが利いているのでインパクトで加速します。高弾道よりも飛ばしの要素を強くした印象です。クラブが短めに設定してあるので、ミートがしやすいのも特徴。5Wの代わりに7Wを入れるという選択肢が持てます」

●長さ/41.5インチ ●ライ角/59度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/164㏄ ●クラブ重量/321g ●シャフト/スムースキックMP-522F(S) ●価格/4万2900円

180Yをピタッ! 球が上がりやすい7本

キャロウェイ「ローグST MAX」

ヘッドがブレずつかまって上がる

「ネックが長いため、つかまり重視の設計といえます。ミスヒットしてもヘッドがブレず、楽に上がってくれる。つかまりがいいのでスライスに悩むゴルファーにはおすすめ」

●長さ/42インチ ●ライ角/59度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/139㏄ ●クラブ重量/321g ●シャフト/ベンタス5(S) ●価格/4万4550円

ピンゴルフ「G425 MAX」

当たりが悪くても真っすぐ上がる

「シャローフェースなのでトウやヒールに外しても球が真っすぐ飛びます。ヘッド投影面積が大きく、安心感があり、ヘッドスピードが遅めのゴルファーに最適」

●長さ/42インチ ●ライ角/58.5度 ●ロフト角/20.5度 ●ヘッド体積/152㏄ ●クラブ重量/322g ●シャフト/アルタJ CBスレート(S) ●価格/4万7300円

ダンロップ「ゼクシオ12」

勝手に球が上がりキャリーも伸びる

「操作性というより、オートマチックに球が上がってくれます。直進性が高いのでキャリーも出るはず。180Yのパー3でグリーンを狙えるクラブといった感じ。高めの打球音がゼクシオらしく爽快です」

●長さ/41.75インチ ●ライ角/59.5度 ●ロフト角/20度 ●ヘッド体積/147㏄ ●クラブ重量/298g ●シャフト/MP1200(S) ●価格/5万8300円

マジェスティ「プレステジオⅫ」

フェース高がありどこに当たっても上がる

「ややディープフェースなので当たりが悪くてもミスになりにくく、ブレの少ない高弾道が簡単に打てます。クラブ重量は軽めなのでヘッドスピード40m/s以下が合うでしょう」

●長さ/42インチ ●ライ角/59度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/158㏄ ●クラブ重量/292g ●シャフト/LV750(SR) ●価格/17万3800円 ※7月下旬発売

ミズノ「ST-X 220」

アップライトでつまかりが抜群

「ライ角がアップライトなのでつかまりがいいです。球を操るというより、オートマチックに球を上げてくれる印象です。スクエアに構えやすく、ヘッドの投影面積も大きいため、安心して振り抜けます」

●長さ/42.25インチ ●ライ角/60.5度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/160㏄ ●クラブ重量/320g ●シャフト/ツアーAD GM F(S) ●価格/4万1800円

フォーティーン「ゲロンディFX-002」

つかまりのいいヘッド形状

「FPが小さく、グースネックのような設計でUTに近い見た目です。球をつかまえるイメージがわきやすく、ロフトが寝ているので球も自然に上がります。やや浅重心のため、UTのような弾道の強さも感じました」

●長さ/41インチ ●ライ角/59度 ●ロフト角/23度 ●クラブ重量/330g ●シャフト/FT-50F(S) ●価格/4万4000円

ロイヤルコレクション「AM-X」

球が拾いやすく高弾道で止められる

「FPが大きく、出っ歯のようなフェース形状が特徴です。球が拾いやすいので簡単にボールが上がってくれます。砲台や小さいグリーンなど、上げて止めたい状況にはぴったり。球が上がらない人におすすめ」

●長さ/41.75インチ ●ライ角/60度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/151㏄ ●クラブ重量/328g ●シャフト/RCFW AT-5(S) ●価格/5万8300円

上級者も納得! 操作性重視の4本

ヤマハ「RMX VD」

つかまりすぎず球の高低が操れる

「つかまりすぎないので球筋をコントロールしやすいです。楽に上がる感じではないですが、球の高低が操作できるため、曲げながらグリーンを狙うイメージがわきます。重心が浅めで飛距離性能も高いです。カーボンクラウンで低重心化されています」

●長さ/42インチ ●ライ角/57度 ●ロフト角/21度 ●クラブ重量/324g ●シャフト/ディアマナYR F(S) ●価格/5万8300円

タイトリスト「TSi2」

カチャカチャ付きで球筋が作りやすい

「球が上がりやすいのにつかまりすぎないため、左への怖さがないです。ヘッドがやや小ぶりで操作性を重視した設計という印象。7Wでは少ない、弾道調整機能(カチャカチャ)付きなので、自分が思い描く球筋が作れるのも大きなメリットです」

●長さ/41.5インチ ●ライ角/58度 ●ロフト角/21度 ●クラブ重量/322g ●シャフト/TSP110(S) ●価格/4万9500円

ダンロップ「スリクソンZX」

球筋を自在に操りやすい

「球が上がりやすく、つかまりがいいです。トウやヒールに外してもミスになりづらく、打った印象はオートマチック。ただドローやフェードなど、ボールを曲げることもできます。小ぶりヘッドで上級者向きです」

●長さ/42インチ ●ライ角/58.5度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/126㏄ ●クラブ重量/322g ●シャフト/ディアマナZX50(S) ●価格/4万4000円

ブリヂストン「B2」

アップライトなのにつかまりすぎない

「ライ角はアップライトですが、つかまりすぎないので球筋を操作しやすい。上級者が左を怖がらず振り抜けるクラブといった感じ。スクエアに構えやすく、打音は低めで、ロースピンの強い球が出ます」

●長さ/42.25インチ ●ライ角/60度 ●ロフト角/21度 ●ヘッド体積/143㏄ ●クラブ重量/317g ●シャフト/ディアマナBS50(S) ●価格/4万1800円

FWが苦手な人こそ試してほしい

「『ローグST』『ステルス』『スリクソンZX』『RSジャスト』など、スチールボディにカーボンクラウンというコンポジットモデルが増えました。ドライバーと同様、クラウンをカーボンにすることで重心設計の自由度は高くなります。その結果、球の上がりやすさだけでなく、ボール初速の向上、スピン量の適正化など、それぞれの目的に合わせたクラブ作りが可能になります。今回試打したモデルもメーカーによってヘッド体積やクラブ長さに特徴が表れていましたが、それぞれの個性が引き出されていました。『RMX VD』や『TSi2』など、操作性の高い4モデルは、プロや上級者が試合で即使える仕上がりです。

7Wはもはや非力なゴルファーのためだけのクラブではありません。アマチュア目線で考えればFWは3Wではなく、5Wが主流です。ですが、球が上がってキャリーが伸びる、そんな実用性の高い7Wは、スコアメイクをするうえでも心強い味方になってくれるはずです。7WはFWが苦手な人にこそ、試してもらいたいですね」

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月12日号より

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