森守洋「レッスンは受けるな」Vol.19「パットのラインは1つではない。だからアバウトでいい」
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。
PHOTO/ARAKISHIN
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- 堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。 PHOTO/ARAKISHIN >>前回のお話はこちら File.18アドレスの入り方について “クラブ様が主役”ならアライメントは狂わない 僕らは毎週のようにプロに帯同してトーナメント会場に……
File.19
パッティングについて
ラインは1つではない
だからアバウトでいい
DPワールドツアーの『オーストリアアルペンオープン』で、金子駆大選手が日本人7人目となる優勝を飾りました。本当にスゴイこと! 世界で活躍する日本男子に称賛を送りたい気持ちでいっぱいです。この週の金子選手はとにかくパッティングのフィーリングが良かったようですが、今回はそのパッティングについて話をさせていただきます。
パッティングで悩んでいる人はアマチュアだけでなく、プロにも多くいます。むしろ悩みの深さはプロのほうが深刻なケースが多い。そこで僕が選手たちに伝えるのは「フックラインは右に打ち出す。スライスラインは左に打ち出す」というごくごく当たり前のことなんです。
これはパッティングに限らずショットにもいえることなのですが、ボールとターゲット(今回の場合はカップ)を結んだラインを基準線と言います。その基準線を境にフックラインは右、スライスラインは左へ打ち出すことが基本になります。
「何を当たり前のことを言っているんだろう?」と思うかもしれませんが、2000年に佐藤信人プロが賞金ランキングで3位に入った頃に、ツアーコーチの井上透さんたちと一緒に合宿をさせてもらったことがあり、そのとき僕が信人さんにパッティングについて質問すると、「フックラインは絶対に右に打ち出すこと、スライスラインは絶対に左に打ち出すことだけを考えている」と教えてくれました。
当時の私は『えっそれだけ? 当たり前のことじゃないのか』と思いましたが、月日が経ち、僕もコーチとしていろいろ研究や検証していくなかで、信人さんが言っていたことがいかに大切で神髄を捉えていたのかがわかってきたんです。要は例えば、フックラインはつま先上がりのライですから、まず右に打ち出してさえいれば、弱ければカップの浅めから入るし、強ければカップの奥側から入ります。
何が言いたいかというと「ボールが転がるラインに幅を持たせる」ということです。CAPTやパットビューなどでストロークを解析することにより、より良いストロークを身につけることはもちろん大切なことですが、過剰に考えることにより一番大切な本能が消える可能性もあるということを覚えておいてください。
今回優勝した金子選手も、DPワールドツアーに行ってから、「パッティングが全然ダメだ」とストレスを溜めていたと聞きます。実際はどのような感覚だったのかわかりませんが、この週の金子選手は決断からストロークまでとてもスムーズでした。パッティングで大切なことは、ストロークの良し悪しよりも、己が描いたライン通りに打ち出すタッチやイメージです。
それなのにパッティングが入らないとみなさんは、まず自分のストロークが悪いんだと考えて、ストローク時のヘッドの動きにばかり意識を持っていき、反復性の高いストロークを目指します。これはまさにこの連載のタイトルでもある「レッスンを受けるな」に当てはまることで、思考が入り過ぎて一番大切な己の感性『タッチ』が生まれなくなるんです。
カップに入る場所は1点とは考えず、許容範囲を持たせることでタッチは生まれます。パッティングにおいて何よりも大事なのは『ボールをあそこまで転がすんだ』という思いです。過剰に自分にプレッシャーをかけずに、子どものような気持ちで純粋にボールを転がすゴルフを目指して、グリーン上を楽しんでもらいたいです。
『DPワールドツアー』で優勝した金子駆大選手の素晴らしいストロークは、集中しているが神経質に考え込み過ぎていないことでスムーズな動きになっている


解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年6月23日号より


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