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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.66「ウォンチュー! スローなテークバックにしてくれ」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

今回は乾いた文体の巨匠、片岡義男風で行きますってどこがじゃ? でもねえ20年前、後藤修先生に教わっている頃に、「スローなテークバックにしなさい」と言われたのは本当です。

理屈ではゆっくり振るべきとわかっているんですけど、谷越えのパー3ホールなどに遭遇するや、アイアンをマン振りした挙げ句シャンクとかね。後藤先生は「キムラ君はテークバックのほうがショットより速い」と言いましたから。まあ冗談ですが、それぐらいムチャクチャ振っていました。

あれから苦節20年、いかにしてスローなテークバックを会得したか、それがどれだけショットの安定に貢献したかの話をします。


後藤流スウィング理論

ある日、後藤先生はボールペンを見せながら「短いクラブほど速く振れる」と言ってピコピコ振りました。逆に言えばドライバーのような長いクラブはゆっくり振れるのだと。だから振り急ぎが起こるのは、短いアイアンやウェッジになるというのです。

頭でわかっていてもピンときません。ぼや~っとしていると、今度はドライバーを逆さにし、ヘッドを持ってビュンビュンとフルスウィングします。「見たか、ヘッドが軽いと速く振れるんだ」と言うのです。我々は訳がわからず、とりあえず真似をしました。

当時は何を言っているんだこのおやじ、程度の認識だったのですが、10年ぐらい経って当時を振り返り、あれはショットの本質を突く話だと理解しました。つまり逆を考えればいい。ヘッドが重くて長いクラブほど、ゆっくり&しっかり振れるということです。

600gのウェッジ

それからゆっくり振る練習をしていたのですが、さほど効果なし。思い悩んだある日、重いウェッジはないかと中古ショップを物色していたところ、なんと重さ626gのウェッジを発見します。

ロイヤルコレクションの『Dr.D3』というシロモノで、中古ゆえ値段も安くシャレで買ってみました。そして実際使ってみると、あまりの重さにゆっくりしかクラブが上がらない。しかもショットはクラブの重みで振り下ろすだけ。実に素晴らしい仕事をするのです。

それから600gウェッジで振るタイミングがテークバックの基本となり、他の軽いクラブも同様に、遅いスピードで振るように心がけました。

腰で始動すること

どうしたら軽いクラブでも、ゆっくりテークバックができるか? 『Dr.D3』を何回も打って、ゆっくり振れるコツはないか探します。そしてある日、気づきました。重いウェッジは腰から始動すれば、ゆっくり振れると。

これを軽いクラブにも応用しました。手に力を入れず腰をゆっくり回転させ、それにつられて腕が動き、クラブも上がりだすと。言うは簡単ですが、実際はなかなかどうして。できる時もあればできない時もありました。

宮里藍プロのテークバック

いろいろ悩んでいる時、宮里藍プロの超スローのスウィング動画を発見し愕がくぜん然とします。ゆっくりテークバックして、それからすごくゆっくり振り下ろすのです。

人間はこれぐらいゆっくりスウィングができるんだ。宮里プロはそうやってスウィングの調整をしているから、絶えず安定したショットが再現できたんですよね。

それから腰始動でゆっくり。特に最初の30センチは超スローでクラブを引くことを心がけて打つようにしました。ショットが安定しだしたのは、それからです。

スローテークバックの完成

そして今年の始め、マグレガーのドライバー、NV301のウェイトをたまたま7g増量したら、曲がらない良い球が出てびっくり。ほとんどブレないショットの完成形が出来上がりました。

そのショットの完成記念に、メーカーの担当だったMさんと、先日ラウンドしました。

Mさんは私のショットを見るや、すごくいいですよ、とベタ褒め。ヘッドが重いから、ゆっくりテークバックできている。しかもヘッドの重さで下ろすから、ボールに当たる角度もよくなり、程よいスピン量で、結構飛ぶ。今の状態を維持したほうが良いと。

36年のゴルフ人生で悟ったのは、重いクラブをリラックスしながら、いかにゆっくり振るかでした。一度試してみる価値ありです。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2026年7月28日号より