【ゴルファーの飛距離調査2025】<後編>河本結を上回ったのはわずか10人! “女子プロと勝手に対決”の結果は?
週刊ゴルフダイジェスト
ゴルフ場でゴルファー153人のドライバー飛距離を実測調査。後編では、河本結、山下美夢有、竹田麗央の平均飛距離の位置に看板を立て、そこを超えたゴルファーの人数を数えてみた。果たして結果は?
TEXT/Satoru Niida PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/東名CC

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- ギアが年々進化を遂げ、情報も溢れている現代、ゴルファーの飛距離は果たして伸びているのか? 週刊ゴルフダイジェスト恒例のアマチュア飛距離調査を4年ぶりに実施。あなたのドライバー飛距離は平均以上? それとも……? TEXT/Satoru Niida PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/東名CC >>後編はこちら ……
10月17日にラウンドしたアマチュア153人の飛距離を計測
男性140人&女性13人のドライバー飛距離を定点観測。レギュラーティーから150~250Yのレンジで20Yおきにロープを張って、打球が止まったところを目測した。

<計測ホール>
東名CC桃園C 2番ホール 510Y パー5
晴れ 風速2~3m/s
500Y超えのパー5。左サイドはOBと林、右サイドは高いのり面と林があり、200Y先にバンカーが配される。2打目地点からは打ち上げるため、ティーショットは飛距離を稼ぎたいホール。前回2021年もこのホールで調査を行った
女子プロと勝手にドラコン対決
スコアではとてもかなわないけれど、もしかしたら飛距離なら女子プロに勝てるのでは? そう考えているアマチュアは少なくないだろう。そこで、今回の計測ホールでは、河本結(237Y)、山下美夢有(247Y)、竹田麗央(269Y)という、注目の女子プロ3人の平均飛距離を表示した看板を設置。「アマチュア vs 女子プロ」の“勝手にドラコン勝負”も併催した。
結果は、アマチュアの惨敗。河本より飛ばした人は140人中10人で、山下より飛ばした人はわずか4人、竹田より飛ばした人は1人もいなかった。
ちなみにこの日、アマチュアの最長飛距離は250Y(40代・HC10台・FW右サイド)だった。この数字は女子ツアーの「ドライビングディスタンス」のスタッツに当てはめると12~13位になる。
近年の女子プロは、コーチに付いてスウィングを磨きつつ、計測器を使ってインパクト効率や最適弾道を追求する選手が目立つ。また、トレーナーの指導のもとフィジカルを強化するなど、アスリート化に拍車がかかっている。と同時に、メーカーのツアーレップのサポートを受けてギアを的確にチューニングして、最適なクラブ&ボールを供給されることが多い。それらの要素が相まって、女子プロの平均飛距離は4年前から6Yもアップしている。

平均237Yの河本結より飛ばしたのは140人中わずか10人。女子プロがいかに効率よく飛ばしているかがわかる
2025年国内女子ツアー平均飛距離=238.7Y
今シーズンの国内女子ツアーの平均飛距離を見ると240Yに迫る勢い。4年前のデータに比べて6Yも伸びている。国内ツアートップの神谷そらは260Yを超える

ハンディ別の平均飛距離をはじき出したところ、期待が持てるデータが見られた。4年前に比べると、シングルは2Y、HC10台は1Yちょっと、HC20台は3Y近く、それぞれ平均飛距離が伸びた。このハンディ層は練習量やラウンド数が多く、スキルやギアのニュースも収集するなど、ゴルフにより真剣に取り組んでいる人たちが多い。それらの成果が飛距離アップとして表れているに違いない。
計測したアマチュアの「FWキープ率」は、4年前と変わらず50%台の後半に。ドライバーヘッドの慣性モーメントが大きくなって、スイートエリアが広がった効果があるのだろう。計測した桃園コース2番Hは、スタートホールがパー3のため、ドライバーを初めて使うホールになるが、昔はよくあった“おはようOB”が2人だけだった。ギアの進化による“方向性のまとまり”を感じることができる結果と言えるだろう。

<HC別平均飛距離>
HC9以下…… 211.3Y
HC10~19…… 206.3Y
HC20~29…… 204.9Y
シングル→HC10台→HC20台とハンディが増えても、平均飛距離の違いは7Yもないことがわかった。憧れのシングル入りを果たすには、ドライバーの飛距離とは違うところを磨く必要があるということか!?
57%がフェアウェイをキープ
計測したアマチュアの半数以上がフェアウェイをキャッチしたことになる。ただし、このデータに関しては、測定した桃園Cの2番ホールが200Yの手前のフェアウェイが広くなっているということを考慮しなければならない

プロは順調に飛距離を伸ばしている。
プロに比べアマチュアの
飛距離アップは緩やか。
アマチュアのリアルな飛距離の実状はつかめたが、プロはどうなのか。本誌でアマチュアの飛距離計測を始めた1999年から、PGAツアー、日本男子ツアー、米シニアツアーの平均飛距離の推移をグラフ化した。3つのツアーで共通して、右肩上がりで飛距離が伸びている。
その傾向が顕著なのは、やはりPGAツアーだ。1999年からの26年で、平均飛距離がほぼ32Yアップした。ここ数年は「ドライビングディスタンス」の部門で、320Y台に乗らなければナンバー1になれない。また、今シーズンは平均で300Y台でも、同スタッツの100位内に入れない選手もいる。今や“300Yドライブ”は当たり前になったのだ。
思い返せば2008年から、ドライバーの反発係数を規制するSLEルールが施行されることになり「ドライバーが飛ばなくなるのでは?」という危機感を持つゴルファーは多かった。しかし、そのピンチは、プレーヤーの研鑽やギアの工夫などで乗り越えたと見て間違いない。
加えて、飛距離が伸びている裏ではトラックマンなどの計測機の影響も大きいだろう。スウィングなどの修正も、以前までの感覚的なフィードバックからデータで細かく数値化が可能になったことも飛距離が伸びた要因だろう。
ここ数年は、ジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボー、ダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカなど、並み居る“モンスター”たちがLIVゴルフへ移籍した。それでも直近5年のデータを見ると、PGAツアーでは平均飛距離が8Yほど伸びている。それだけ選手層が分厚くて、下部ツアーからの突き上げが激しいのだ。
やや遅れを取った感は否めないが、日本の男子ツアーも平均飛距離がグングン伸びた。1999年からの26年で24Y近くアップして、そのうち直近の5年で10Yも向上したのは注目に値する。日本のツアーからも若手のプロが海外へどんどん進出しているが、飛距離の底上げができているようだ。
それに比べて、アマチュアの平均飛距離は緩やかに上昇している。プロのように、計測器をフルに生かして効率的な練習をしたり、フィジカルを鍛えたり、ギアを突き詰めるのはハードルが高いかもしれない。しかし、プロが示した飛距離の伸び率を見れば、アマチュアにも飛距離の伸びしろは十分に残されていることがわかる。希望を捨てずに練習に励み、それを続けることが、この先の飛距離アップにつながるはずだ。

今季のPGAツアー平均飛距離No.1は
A・ポトギーター(327Y)

PGAツアーの「ドライビングディスタンス」部門でマキロイを抑えてトップに立つ、規格外のパワーヒッター。今シーズンは同ツアーで初優勝を果たした、南アフリカのホープだ。使用ドライバーはタイトリスト「GT2」
国内男子ツアーの平均飛距離NO.1は
内山遥人(318Y)

男子ツアーの「ドライビングディスタンス」部門で河本力を上回ってNo.1に立つ、プロ4年目のZ世代。パワーフェードで320Yに迫る飛距離が持ち味。ゲームがきっかけでゴルフを始めて、ジュニア時代は他のスポーツもやった
週刊ゴルフダイジェスト2025年11月11日号より


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