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ゴルファーのためのアンチエイジング<後編>自律神経を整えて体の中から上手くなる!

TEXT/Masato Ideshima PHOTO/Yasuo Masuda

少しでも長くゴルフを楽しむため、40~50代から取り組んでおきたいアンチエイジング術を紹介する本特集。最後に話を聞いたのは、順天堂大学の小林弘幸教授。ゴルフを長く楽しむうえで大切な“自律神経”を安定させるための生活習慣について教えてくれた。

<前編>クラチャン親子のアンチエイジング術

<中編>塚田好宣プロの体メンテナンス

自律神経を整えることが
体とゴルフの調子を上げる

長く元気にゴルフを続けるためには、体が健康であることが大前提。自身もゴルファーであり、自律神経研究の権威である順天堂大学教授の小林幸弘氏は、ゴルファーにとっても自律神経を整えることが非常に大事だという。

【自律神経とは……】
内臓や血管の運動や腺の分泌といった、自分の意思で自由に動かせない部分をコントロールしているのが自律神経。心と体の状態を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスよく保たれることで自律神経が安定する。

「自律神経を整えるうえで重要なのは“呼吸”です。よくスタートホールで緊張してミスをするケースを見かけますが、原因は自律神経の乱れ。血流が悪くなり、呼吸が乱れると、自律神経のバランスが崩れ、結果スウィングが普段よりも小さくなったり、タイミングが早くなったりしてしまいます。それを防ぐには“決め事”を作っておくことが大事。例えば、スタートホールではその日一番の大きいスウィングをするなど、決め事を作っておくと、呼吸が安定し、自律神経の乱れを防ぐことができます」

小林教授は決め事を作る際の注意点として、日頃から実践しておくことが大事だという。「コースでいきなり決め事を実行しようとすると、その決め事を実行することに意識が向いてしまいます。それでは自律神経は安定しない。日頃から決め事を作っておき、それを実践することを習慣づけておくこと(ルーティン化)が大事。例えば1日3食摂る、ただし21時以降は食べないと決める、など。すると自律神経が整い、かつ健康になるのです」

朝1杯のみそ汁が血の流れを良くする

小林教授は、日常生活とゴルフへ行く日が別のルーティンであってもいいと言う。

「ゴルフの日は、例えば起きる時間、朝食を摂るタイミング、コースへは1時間前に着く、などルーティンを決めて、それを崩さないようにすることです。アンチエイジングとは一言で言ってしまうと“血流”なんです。行動をルーティン化させることで自分の体のペースが整い、血流が体全体に行き渡りやすくなります」

ゴルフと日常生活のルーティンは別でいいと言うが、ゴルフも日常も関係なく取り入れてほしいというのが小林先生考案の長生きみそ汁だ。

「ポイントは擦った玉ねぎを入れるのと、赤みそと白みそを1対1にすること。赤はポリフェノールが豊富で、白はストレスを緩和するギャバが含まれています。それらをかき混ぜる際にリンゴ酢を加えます。これで長生きみそ汁の完成です。このみそ汁を飲むことで腸内環境が整います。ポリフェノールには発汗作用もある。そこに野菜も入るから食物繊維が摂れる。発酵食品で発汗作用もあるとなると代謝も上がって腸内環境がよくなる。細胞に質の良い血液を送り込むことができ、アンチエイジングにつながるのです」

ゴルフの疲労回復に効果大
小林教授考案「一汁一菜」メニュー

ゴルフの疲労回復におすすめの一汁一菜の一例がこの写真の組み合わせ。「豚肉はビタミンB1が豊富で糖質の代謝を助け疲労回復やストレス解消に効果的。プラスしてカマンベールチーズに含まれるビタミンB2は脂質をエネルギーに変える働きがあります。ビタミンB2が不足するとエネルギーが足りず、疲労が溜まりやすくなるんです。そこに食物繊維が豊富なもち麦を合わせれば腸内環境は完璧です」

みそ×チーズのW発酵が腸に効く!

豚肉と白菜のカマンベールみそ汁

チーズに含まれるビタミンB2には腸内環境を整える働きがある。作り方は白菜を葉と軸に分けて葉の部分をざく切りに。軸の部分はひと口大に削ぎ切りにする。鍋に出し汁と白菜の軸を入れて煮る。ふたを取り、豚肉をほぐしながら入れて、最後にみそを溶き入れるだけ。

もち麦ご飯

もち麦の食物繊維は白米の25倍もあり、水溶性のものと不溶性のものがバランスよく含まれている。また、もち麦が持つβ-グルガンは水に溶けると粘り気が出る水溶性食物繊維で、このネバネバが腸を救う役割を果たす。みそ汁と合わせることで血糖値を下げる効果も期待できる。

切り干し大根とひじきのポン酢サラダ

水溶性食物繊維を含む野菜は芋類や大根などで、これらを日頃から食べるようにしておくと腸内環境が整う。おすすめは切り干し大根とひじきのポン酢サラダ。海藻類は食物繊維が多く、特に優秀なのがひじき。カルシウムが豊富で牛乳の約12倍もある。

ゴルフの日の朝は“具なし”でOK
「みそ玉」を作っておこう

時間のないゴルフの日の朝にオススメなのが具なしのみそ汁。「みそ玉」を用意しておき、お湯注いで飲むだけで腸が温まる。ポリフェノールは即効性があるため、血の巡りがよくなり、コースに着く頃には体がしっかり起きた状態になる


「一汁一菜」のすごい健康効果とは?

自律神経が整う

自律神経が良好だと免疫力が向上して、風邪やアレルギー性鼻炎、過敏性腸症候群、便秘、ストレスなど、さまざまな病気の予防や改善につながる

腸内環境を改善

みそなどの発酵食品には腸の働きを助ける善玉菌の一つ、乳酸菌が含まれる。腸内環境が整うと便秘や冷え症、肌荒れ、不眠、ストレスの予防・改善が期待できる

血糖値を下げる

大豆由来食品であるみそには血糖値を下げる働きがある。胃のなかの食べ物を包み、消化器官をゆっくり移動することで糖類の吸収を抑えて、食後の血糖値の上昇を防ぐ

生活習慣病を防ぐ

みそが熟成される過程で抗酸化力をアップする物質が生成され、それが糖尿病や高血圧、脳梗塞、心筋梗塞など、生活習慣病の症状を改善してくれる一面もある

アンチエイジングに効果あり

良質なアミノ酸には美肌効果があると言われている。もち麦のビタミンEは乾燥肌に力を発揮し、外皮を残した麦にはポリフェノールが含まれ、しわ予防に役立つ

ストレスを改善

みそは幸せホルモンの異名を持つセロトニンの分泌を促す必須アミノ酸、ビタミン群を含んでいる。うつ病や睡眠障害、パニック障害などの予防、改善が期待できる

疲れ知らずになる

発酵食品であるみそは善玉菌である乳酸菌が豊富。腸内に増やせば免疫力を高めることができ、身体が疲れにくくなる。風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも◎


小林弘幸

1960年生まれ。順天堂大学医学部教授。自律神経バランスの重要性に着目し、日本初の便秘外来を開設するなどの経歴を持つ。さまざまなアスリートのサポートをする他、著書も多数

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より