Myゴルフダイジェスト

【わかったなんて言えません】Vol.92 藤田寛之#3 「当たり前だけど難しい…“ケガをしない”ということ」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは、前回に続き藤田寛之プロ。長く第一線で活躍できる秘訣とは?

TEXT /Yuzuru Hirayama PHOTO /Takanori Miki

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/藤田寛之

1969年生まれ、福岡県出身。92年プロ入り。ツアー18勝。43歳にして賞金王を獲得。ゴルフと自分に向き合うストイックな姿勢も皆の尊敬の対象

前回のお話はこちら

時松 先日、元プロ野球選手の松坂大輔さんとラウンドをご一緒する機会があって。メッチャ飛ぶんですよ。ドライバー。

藤田 源ちゃんより飛ぶ?

時松 僕なんかより、全然っす。

藤田 元プロ野球選手って、こすって300ヤードなんて人、ザラだもんね。

時松 それに松坂さん、小技もお上手で、50ヤードの距離感には驚きました。

藤田 ピッチャーをやっていたからコントロールがいいんだね。

時松 パターもなかなかお上手で、スコアは79でした。シニアプロを目指されていると聞いてうなずけちゃいました。

藤田 なるほどね。ゴルフって、僕もそうだけど、50歳からもうひとがんばりできる目標が持てるところはいい。他のスポーツにはない魅力でしょう。

時松 松坂さんがツアーに出てくれれば、話題にもなるし、ギャラリーがたくさん来るでしょうね。ところで藤田プロ、レギュラーで長らくシード選手としてご活躍されて、今の年齢まで第一線にいる秘訣って、教えていただけますか?


藤田 当たり前のように聞こえるかもしれないけどなかなか難しいことは、まずは怪我をしないっていうこと。一定の年代になると、怪我をしてしまうことが、ゴルフ人生にとってのブレーキになってしまう。

時松 ゴルフ人生にとってのブレーキ。

藤田 どんなブレーキかというと、怪我をして体のどこかが痛い状態だと、気持ちもなえてくる。それでなくとも、みんな40歳を超えたぐらいから、若いときのようには早く上達しないから、気持ちは自然と下り坂になる。そこに怪我が加わると、練習したくてもできなくて、だんだん落ち込んでいくんだよ。

時松 好きだったゴルフが怪我のせいでできなくなるって、辛いことです。

藤田 自分はやりたくても、怪我という外的な要因でクラブを握れないという状況は、やる気をそいでしまうんだよね。

時松 僕も昨年、初めて腰痛を経験したので、なんとなくわかります。藤田さん、これまで大きなお怪我は?

藤田 2005年に全英オープンに出場したとき、カチカチの地面からパンチショットをしまくっていたら左肩を痛めてしまって。それで2カ月間ぐらい休んで、その後も左肩を痛めた。2014年には疲労骨折もして。だけどその程度で済んで、これだけ長くゴルフができているんだから、丈夫な体に産んでくれた母に感謝してる。

時松 体といえば、藤田プロは結構トレーニングされているとうかがいました。

藤田 そりゃ、やってるよ。やらなきゃ飛ばないもん(笑)。

時松 かなりハードに?

藤田 30代後半のときに虫垂炎を患って、手術をしたくないから薬で散らして。その3日間は絶食するんだけど、9キロも落ちちゃったんだ。72キロが63キロに。それからは筋肉をつけたほうがいいだろうと、ウェイトを始めた。そのおかげで、飛距離のことももちろんあるけど、怪我をしなくなる体のベースは作れたのかとも思うよ。

「おかげで、飛距離はもちろん、怪我をしなくなる体のベースは作れたのかとも思います」
(藤田)

時松 マシンを使った筋トレですか?

藤田 もちろんそれもやるけど、自重を使った動的なトレーニングとか、メディシンボールやゴムで負荷をかけるとか。だけど疲労骨折は、トレーニングのせいだと思うんだよね。あまりボールを打ってない時期だったから。その動的なトレーニングの一環で、陸上のハンマー投げの動作で重いものを投げるっていうのをやったときに。

時松 そんなときは藤田プロでも、メンタルもガクッとくるんですか?

藤田 どうにか試合は出られたから。考えてみると、僕たちって、すごいステージでプレーさせてもらえているじゃない。たとえば富士山なら、頂上に近いところにいさせてもらえているわけでしょう。そこで何が起ころうが、麓のほうには、試合に出られないプロがどれだけ多いことか。

時松 ほんとですね。

藤田 プロなら、みんな試合に出たい。そんななか、僕たちは出られている。結果がどうであれ、多少痛いところはあれ、出られているなら落ち込んでなんかいられない。

時松 怪我をせず、試合に出られることへの感謝ですかね。それでも僕なんか、優勝争いをして、負けて2位の夜は、ガックリときちゃいます(笑)。

藤田 そりゃ、悔しいもんね。僕だって予選落ちしたら1時間ぐらい誰とも口をきかない(笑)。だけど、この舞台でやれているんだという思いが、怪我をしたときにも、また戻ってきたいという原動力にはなるんだろうね。(つづく)

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月16日号より