Myゴルフダイジェスト

【世界基準を追いかけろ!】Vol.85「コーチ業はもはや“逃げ道”ではなくなった」

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回のテーマは、コーチという職業に対する見方の変化について。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 目澤さんはレッスン・オブ・ザ・イヤーの最年少(31歳)受賞者になるわけですが、コーチ業界に与える影響などについて、現状の問題点なども含めて話していこうと思います。

X 目澤さんも黒宮さんもコーチとしては、まだ若手の部類なんですか。

目澤 そうですね。でも僕らもコーチになって6〜7年になるので、そろそろ下の世代のコーチが出てきてほしい気持ちはありますよね。

GD 若いコーチが育つ土壌は整いつつあるのですか。

黒宮 有益な情報やレッスンを受けたいという意識を持つ選手が増えてきていると思います。

目澤 僕や幹仁みたいなコーチがディケードゴルフ(※1)や、TPI(※2)といった海外の理論や情報を発信していることに気付く人が増えましたよね。

X ゴルフも学校の授業だけでは足りなくて、塾のエキスパートの講師に教わりたいという感じになっているわけですね。

目澤 コーチに求められるものが、アカデミック寄りにシフトしてきている感じはします。

GD 経験から実利に変わってきているということですかね。


黒宮 目澤君が受賞をしたことで、これから若い子がコーチを目指すきっかけになってくれるといいと思います。

X そういう若手は、今まで出てきていないんですか。

黒宮 出てきてはいると思います。僕は最近インドアレッスン場を開いたんですが、22歳の子から連絡がきて、自分はコーチを目指したいので働かせてほしいと申し出てきたんですよ。

X その子は、選手になる気持ちはなかったのですか。

黒宮 元々はプロテストを受けて選手をやりたいという気持ちはあったんですけど、僕が学校(福井工大)で教えている姿も見ていますし、コーチはどういう仕事かということをたまに話したりしていましたのでね。それを踏まえて、やりたいと言ってくれたのかなと思います。

GD 今後はそういう若いゴルファーが増えてきそうですか。

黒宮 僕が学生の頃は、卒業後はプロゴルファーを目指すか、そうでなかったら就職して会社員になるかの二択だけでした。でもここ2年くらいでコーチになりたいという学生が出てきたことで、卒業後の選択肢が増えてきたらいいと思いますね。

GD コーチに対するイメージが変わってきたわけですか。

黒宮 そうですね。僕らの頃は、コーチとかトレーナーというのは選手を諦めた人の逃げ場所みたいなとらえ方をされていたんです。僕自身、選手をやってきたから、コーチをやることになった時に、「あいつ逃げたな」などと思われるのが凄く嫌でした。それが大学生の子が就職活動をしているなかで、コーチを目指しますと堂々と言えるようになりました。今回、コーチの中でも若い目澤君が受賞したことで、そういう機運に拍車がかかればいいなと思いますね。

※1. 米国のスコット・フォーセットが、タイガー・ウッズのショットデータを参考にして作ったマネジメントシステム。スコアメイクのための5つの法則として①PAR5でボギーは打たない②150ヤード以内からボギーは打たない③スリーパットはしない④ダブルボギー以上は打たない⑤簡単なアプローチのミスを犯さない、という5つの鉄則を挙げている ※2. TPIとは「タイトリスト パフォーマンス インスティテュート」の略称。タイトリストのスポンサードでフィジカル、スウィング、クラブなどの研究や開発を目的に設立。ワークショップを開催し「認定プロフェッショナル」を多く世に送り出している

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月3日号より