【PGAツアーエキスプレス】Vol.11 スコッティ・シェフラー「優勝は“副産物”。プレーすること自体が好きなんだ」
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第11回は、2022年のマスターズを制したスコッティ・シェフラーを取り上げる。
取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
PHOTO/Blue Sky Photos
ただただゴルフが好き
世界ランク1位として乗り込んだマスターズ。2日目に首位に立つと独走し、そのまま初めてのグリーンジャケットを手にしたスコッティ・シェフラー。今年に入ってマスターズを含めすでに4勝。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだが、彼はまだ25歳。17年に全米ローアマ、19年にルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞している実力者だが、もう少し、マスターズチャンピオンについて知っておくべきだろう。
WGCデル・マッチプレーで優勝を勝ち取った後、世界ランク1位になった。しかし彼は「そこまでは夢に描いていなかった」と発言した。PGAツアーで戦う以上、世界ランク1位は誰もが目標にするところであり、そこを意識しない者はいない。だが、シェフラーは世界ランクよりもゴルフ自体を楽しんでいた。
「僕は負けず嫌いだ。だから、ここで戦って勝つのはある意味では目標。でも、戦うことが好きだし、プレーすること自体が大好きなんだ。優勝は“副産物”のようなものさ」(シェフラー)
世界ランク1位に上り詰めると、そこから下降線をたどる選手は少なくない。例えばジェイソン・デイは2016年にマッチプレーで優勝した後、1年間ランキングトップに君臨していたが、その後成績が振るわず118位まで落ちていってしまった……。しかしこれは、シェフラーには当てはまらないような気がする。その理由は彼が「世界ランク1位を目標としていなかった」というマインドを持っているからだ。
同じダラス出身のジョーダン・スピースは「すごく明るくて楽天的。ゴルフが大好きなゴルファーがたまたま世界ランク1位になっただけ」と話す。仲のいいサム・バーンズはいい意味で“おちゃらけ”と表現する。
「彼は人生をあまり真剣にとらえていないのかな。あっけらかんとしている彼のような性格のほうがゴルフに向いているかもしれないね。でも、今まで出会ったなかで、彼が一番負けず嫌いなのは間違いないよ」
これに対してシェフラーも同意見のようで「物事をあまり真剣に考えすぎないことが大切だと思っているからね。ちょっとおちゃらけているのかもしれない」と語る。
とは言いつつ、マスターズでは「ストレスでいっぱいになってどうすればいいかわからなかった」と話した。グリーンジャケットを目の前にし、初めて味わった重圧。これからは“マスターズ王者”という重圧を常に感じながらの戦いが待っている。果たして“大のゴルフ好き”は乗り越えられるのか。今後に注目したい。
月刊ゴルフダイジェスト2022年6月号より
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