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【不撓不屈・岩田寛】<後編>飛んで曲がらない秘訣はトップの左手首にあった「コップを持つときも無意識にやっています」

普段から多くを語らないが、とくにスウィングに関しては頑なに口を閉ざす岩田寛。しかし今回、自身が大事にしているという4つのポイントのうち、もっとも重要といえる項目を教えてくれた。プロ仲間が絶賛する飛んで曲がらないスウィングの秘密に迫っていこう。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/仙台CC名取C

いわた・ひろし。1981年1月31日生まれの41歳。中学までは野球少年、中学ではスケボーにもはまっていた。中学3年時にゴルフを始め、父・光男さんから指導を受ける。04年にプロ転向、06年に初シード獲得。初優勝は14年のフジサンケイクラシック。16年にはPGAツアーを経験、17年から再び日本に戻り、21年の中日クラウンズで3勝目を挙げた

>>岩田寛がゴルフに目覚めた意外なきっかけとは?

1つだけ明かしたスウィングの重要課題
ヒントはコップの持ち方?

ゴルフを始めたときから教わる、父・光男さんには、いろいろ言われてきたが、その中でもこれは大事と言われたことが4つあるという。それをこれまで守るようにしていて、それは今でも、岩田のチェック項目となっている。

「自分では4つとも完璧にできているとは思っていないんで、できてもいないことを発表するのはイヤだから、ひとつだけ教えます」と、岩田。するとおもむろに左手でグラスを持ち、それを口に運ぶ。

「高校生のときに、トップで左手首が甲側に折れるのがイヤで、そうならないように普段から味噌汁なんかを、左手首を手のひら側に曲げた形で持って飲んでいたんです。父から言われたわけじゃないですけど、手首が甲側に折れるのは注意されていたので。それが今でもクセで残っていて、コップで水を飲むときも無意識に出ます」という岩田。


トップで左手首を手のひら側に曲げる、「掌屈」動作は、現代では、左手のフックグリップ、ハンドファーストと組み合わせることで、フェーススクエアの時間を長くできることが知られている。

「今思うと、ダスティン・ジョンソンの、あの左手首をだいぶ先取りしてやってたことになりますね。ただ、当時はやりすぎて腱鞘炎になっちゃったんで、それからは左の腕から左手甲までが真っすぐになるような形でやっています。コップを持つ手もその形ですね」(岩田)

やると決めたら、とことんやり続ける。それが、岩田のゴルフの土台を強力に支えている。残りの3つについても、本誌記者が何とか聞き出そうと粘ったが、岩田が重い口を開くことはなかった。

プロ仲間も絶賛!
岩田寛の1Wスウィング

現在、平均キャリーが285ヤードの岩田のスウィング。出そうと思えば300ヤードは出せるが、「平均」となると難しいという。平均300ヤードが達成できれば、米ツアー再挑戦が現実的になってくると、岩田は考えている

トップで左手甲を真っすぐに
これだけは守り続けてきた

トップで左手首が甲側に折れると、フェースは開く。左腕から左手首までが真っすぐな状態を作ると、フェースもスクエアになる

高校時代から実践する「4つのポイント」のひとつが、左腕から左手甲までを真っすぐにすること。これはもう「自動的に」できるので、どんなに調子が悪くても崩れることはない。それ以外に、今、気をつけていることは、「最大限の体重移動をすること」と、岩田。それには、「回転」ではなく、左右の足に「乗る」意識が必要だという。

「しっかりと『踏む』ためには正しく『乗る』必要があると思うんですが、たとえばテークバックで『乗る』には、右腰のポジションが大事で、アドレスから1ミリも右に動いちゃいけない。アマチュアで、体重移動しているつもりで右に大きく動く人がいますが、あれだと足裏の圧力が抜けちゃって、実は乗れていないんです。それだけじゃなく、腰高になって肩も回りにくくなる。右腰をずらさないで右足にしっかり乗って、左腰から切り返して、左足に乗ってフィニッシュまで。でも、実際のスウィングでは、アドレスの次はフィニッシュしか考えない。今は、とにかくシンプルに振りたいんです」(岩田)

現在意識しているのはこの3つ

気付くと右を向きやすい
構えをニュートラルに

ラウンドを続けるうちに、少しずつアドレスが右を向いてしまうことがあるという。右を向くと、当然ながら右へのミスが多くなる。定期的にアドレスの向きをチェックし、常にスクエアに立つように意識している

トウが下がった状態で
上げないよう意識

始動でやや手元を持ち上げてしまうことで、ヘッドのトウが下がった状態でテークバックしてしまう。これはゴルフを始めたときからのクセだという。トウが下がって上げると、クラブをインに引きやすくなってしまうので注意している

右腰をずらさずに右足へ確実に「乗る」

スウィングを「両足に乗って、振るだけ」と、超シンプルにとらえている岩田。足を踏むには体重を乗せる必要があり、しっかり乗ることは最大限の体重移動を意味する。腰が左右に動くと、足に乗り切れず、体重移動が減少する

週刊ゴルフダイジェスト8月2日号より