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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.918「常に変化を求めていたので、ルーティン練習はしない派でした」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


SNSでよく見る動画に、プロがスタート前にやる朝の練習風景があります。いつもと同じルーティンの大切さは何となく分かりますが、朝のルーティンについてどうお考えだったのでしょうか?(匿名希望・44歳・女性)


プレーヤーごとに多少の違いはあれ、ショット前の手順はそれぞれあると思います。

あれこれとチェックしてスウィングを始動するまでの順番と内容が決まっていれば、動きによどみはなく余計な雑念が入り込むことが避けられるし、頭の隅にあるかもしれない不安や迷いを感じないという効果もあると思います。

ゴルフに限らず例えば面倒な仕事をする際、手順が整然と決まっていれば、自然と体が動いてくれることがあります。

普段から同じ動きや手順で練習することで、その日の体調やヘッドの入り具合、ボールの回転方向など、少しの変化に気が付くことができるかもしれないメリットもあります。


そのためには、ただ漫然とルーティンに従って反射的に体を動かすのではなく、自分の意思で各部の動きと感覚について敏感な神経を研ぎ澄ますようにしていなければならないとは思います。

先日開催されたJLPGAツアー『EARTH MONDAMIN CUP』で古閑美保さんと解説をさせていただく機会がありました。

そのとき古閑さんとのやりとりのなかで、練習時のルーティンが話題に挙がりました。

驚いたのは、古閑さんは現役時代からスタート前の練習でアイアンは偶数の番手しか打たないということでした。 時間や球数が制限されている朝のスタート前練習では、漫然とボールを打つのではなく、球数と目的を絞った練習に努めるべきで、そのため使用するクラブを限定するのも一つの方法だと思います。

でも使用頻度の高い7番や9番は練習しないってことなのか〜とも思ったりしました。

とはいえ、試合会場によってスタートホールがパー3というコースもあるわけで、7番アイアンの距離だったとしたら、朝の練習で7番アイアンを打つだろうとは思いますけどね。

でも基本は偶数アイアンを打つというルーティンは若い頃から変わってないそうで、さすがは元賞金女王、どこかに一本スジが通っているというべきなのでしょうか(笑)。

ちなみに、打つ前にする決まり事を定義するなら、どこまでさかのぼって考えるかは人によるかもしれません。

ショット直前だけの人やスタート前の練習が含まれる人、コースに着いた時からの人もいれば、その日の朝ベッドで目が覚めた時から始まっているという人もいるでしょう。

ルーティンというのはメンタルな要素も多く含まれていると思います。

そうなるとルーティンは「ゲン担ぎ」にも似ていると言えます。 選手によっては朝の練習はその日の占い気分かもしれませんが、それで心の安定が得られるなら準備行動とも言っていいのかもしれません。

ですがルーティンを厳格に守ろうとするあまり神経質になり、それがストレスになっては本末転倒です。

わたしは、ルーティンはマンネリ化するので、型にはまることを好きではありませんでした。

練習のメニューやその進め方にはおおまかな手順がありましたが、毎回同じようにやるのを避けるようにわざと違う順番で打ったりしていました。

大げさに言えば、常に変化を求めていたのかもしれません。

この話をしているなかで、ひとつだけ練習中に周囲へ漂わすルーティンがあったことを思い出しました。

それは「いま話しかけないでねオーラ」です(笑)。

よしやるぞっ! と集中して練習し始めたところに誰かから不用意に話しかけられて練習を中断せざるを得ないほど嫌なものはありませんからね。

「ルーティンにすることで心を落ち着かせる手段として利用することはいい思います」

週刊ゴルフダイジェスト2026年8月4日号より