ミスは“構え”で激減する #1 スウィングよりもアドレスを疑おう
ミスショットが出ると、スウィングに原因があると思ってしまいがちだが、実はゴルフのミスの大半は「構え」が原因だった!? 人気プロコーチの中井学が、正しく構えるための極意を教えてくれた。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tomoya Nomura ILLUST/Hideki Kamekawa
解説/中井学
理論的かつ分かりやすいレッスンが好評のプロコーチ。自身のYouTubeチャンネルの登録者数は27万人を超える
●CONTENTS●
1. ミスの原因はスウィングより「構え」にあり
2. 自分の「弾道」正しく理解できている?
3. アドレス後の「違和感」は錯覚だった!
スウィングよりも
まず構えを疑うべし
「ゴルフは構えが大事」という言葉は、ゴルファーなら誰しも聞いたことがあるはずだ。しかしそうは言っても、ゴルファーの多くはミスの原因をスウィングに求めがちで、コースで出たそのOBやダフリが本当に構えのせいだと理解している人は極めて少ない。
プロコーチの中井学プロは、「アマチュアがスコアを崩すミスの8割は構えが原因。とくに構える“向き”がよくなったら、スウィングをいじらなくてもスコアは劇的によくなる」とまで言い切る。なぜそれほどまでに向きが重要なのだろうか?
「そもそもアマチュアで、狙ったところに正しく向けている人は多く見積もっても2~3割。しかもそのほとんどは上級者ですから、アベレージゴルファーに限れば『正しく立てている』人はほぼゼロに近いでしょう。しかし『正しく構える』のは本当に難しく、プロでも常に苦労しています。まずはその重大さと難しさを認識して、『ちゃんと構える』ことにもっとエネルギーを割いてほしいですね」
とくにアマチュアに多いのは、構えが狙いよりも右を向いているケース。アマチュアへの指導経験豊富なプロにアンケートを取っても「右向きが半数」という回答だった。
中井学プロの見解
右向きは体をターゲットに向けてしまっている人、左向きはスライス前提で左を向いているケースが多い。真っすぐ構えられている人のほとんどは上級者
小野寺誠プロの見解
つかまりのいいクラブが増えたせいで左を嫌がって右を向くスライサーも増加中
阿河徹コーチの見解
真っすぐ構えられる人はほぼHC5下。スライサーは右を向いて左に打ち出しがち
石井忍プロの見解
カット軌道のスライサーは、ターゲット方向に振りたいので右を向くというケースもある
「右にせよ左にせよ、狙いがズレていたらナイススウィングをしてもそこに球は行きません。自分で真っすぐ構えているつもりが本当は右のOBゾーンを向いて構えていて、そこにナイスショットでOBを打ち、『おかしいな』とスウィングをいじる。構えが悪いと、こういったミスが連続してしまいます。そしてただでさえちゃんと向けていないのに、景色に影響されてさらに向きがズレる。構えが悪い人ほど景色に引っ張られる傾向は強いので、ミスしたら、スウィングを疑う前にまずは構えを疑ってほしいですね」
アマチュアに右向きが多い原因は、ターゲットに体自体を向けてしまうから。本来、ターゲットに向けるのはフェースであって、体はそれと平行なので、肩やスタンスのラインはターゲットよりも左を指していなければならない。まずはこの原則を見直すのが大前提だ。
構えがズレやすい3つのパターン
パターン1
体がターゲットを向いている
(A)ナイスショットで右
(B)カットに振ってスライスで真ん中
(C)スライスを嫌がって引っかけ
体がターゲットを向いてしまうと、ナイススウィングをしたら球は右に行く。左右にプレッシャーがなくてもさまざまなミスが出る
パターン2
右の障害物を嫌って左を向く
(D)ナイスショットで左
(E)カットに振って大スライス
(G)つかまったらど引っかけ
右向きの人が右のハザードを嫌がると、偶然「真っすぐ」に収まることもあるが、大概は左を向いて複雑化。スウィングにも悪影響
パターン3
左の障害物を嫌って右を向く
(G)ナイスショットですごく右
(H)カットに振ったらさらに右
(I)さらに左を嫌がって大フック
(J)違和感に勝てずチョロ
右向きの人も真っすぐ構えているつもりなので、左のハザードにも反応しがち。さらに右向きが強調されれば大きなミスが出る
>>真っすぐ構えるには
まずは「自分の弾道を知る」ことから
- ターゲットに対して真っすぐ構えることは重要だが、目標に対して正確に球を運んでいくためには、まず「自分の弾道」を知ることが何より重要だと中井学プロは言う。その真意とは? TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tomoya Nomura ILLUST/Hideki Kamekawa 解説/中井学 登録者数27万人の人気YouTu……
月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より