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ミスは“構え”で激減する #3 アドレス後の違和感は“錯覚”! いかに慣れるかが大事です

打ち出したい方向に真っすぐ構えられたとしても、いざアドレスに入ると、なぜか違和感が生じることがある。この違和感の正体を理解し、克服することが、ミスショットを減らす最後のカギになると中井学プロは言う。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tomoya Nomura ILLUST/Hideki Kamekawa

解説/中井学

登録者数27万人の人気YouTuber。アマチュアをよく知る理論派コーチでもある

●CONTENTS●
1. ミスの原因はスウィングより「構え」にあり
2. 自分の「弾道」正しく理解できている?
3. アドレス後の「違和感」は錯覚だった!

アドレス後に生じた違和感
に騙されない

自分の弾道を正確にイメージできるプロでも、実際にコースでは正しく構えられないことは多い。それはコースの景色に惑わされることもあるが、「錯覚」の影響も大きいという。

ゴルフは、ターゲットに対して半身で構え、しかも前傾してスウィングするスポーツ。そのため、構えた際のターゲットの見え方は、対象に正対して見る一般的なモノの見え方と微妙にズレる。これにちゃんと対処できないと、アドレスしスウィングする際に狂いが生じ、ボールの後方から見たイメージを実現することができなくなるのだ。

「ボール後方から打ち出し方向や弾道のイメージを正しく作れていたとしても、前傾して構えてターゲットを見ると必ずズレが生じます。利き目や構えのクセなどによって個人差はありますし、日替わりで見え方が変わったりもしますが、ターゲットは必ずしも真ん中に見えません。『なんだか左を向いている気がする』とか『真っすぐ立てている気がしない』というのはどんなプロでも普通に起こることなんです。だから、アドレスしてから生じた違和感は信じずに、アドレスに入る前に最初に作ったイメージだけを信じて振ることが大事なんです」


ボールの後方からターゲットに正対したときに見える景色と、ボールの横に回り込んで横目でターゲットを見るときの景色は、見え方にズレがある。視界も偏るし、視線も傾く。このズレを知り、構えて見えた景色に引っ張られないことが大事だ

打ち出される球は
右に飛び出しているように見える

さらにアマチュアが影響されやすい錯覚に、打ち出される弾道の見え方のズレがあるという。

パター以外のショットは、打ち出し角に応じてボールが斜め上に打ち出されていく。この弾道の軌跡は、後方から見ると、地面にイメージしたターゲットラインと重なって見えるが、アドレス位置に回り込んで上から見ると、地面に引いたターゲットラインよりも右に出ているように見えるのだ。

しかしこれを知らずに地面に描いたターゲットラインを視覚的になぞるようにボール打ち出したら、それは実際は左に打ち出していることになる。アマチュアが、右を向きながらも引っ張り込むように左に打ち出す人が多い理由の1つがここにある。

こういった錯覚に正しく対処するには、「構えた際の見え方」に慣れるほかないと中井プロ。普段の練習から、アライメントスティックなどを使って基準を作り、ボール後方に立って見た景色とアドレスしたときの景色がどう変わるか、正しい打ち出し方向はどう見えるかを体で覚える。

さらにはスタート前の練習などで「今日の見え方」を確認して常に微調整を怠らないこと。可能であれば第三者の目を借りて定期的に客観的なチェックをすることも重要だ。こういった「向きの客観的なチェック」はプロコーチの重要な仕事の1つでもある。

「錯覚は、知識として知らないと影響を受けやすいし、知っていても慣れないと対処は難しい。錯覚や景色も含めた構えたときの視覚的な『気持ち悪さ』は、油断するとすぐにスウィングにも影響してしまいます。ちゃんと構えられているはずなのに右が気になって引っ張り込んでしまうとか、左が気になって逃がしてしまうという事態を避けるためには、アドレスしたら、それを信じて迷わずスウィングすることが大事なんです」

視覚的な違和感に負けずにスウィングするには、構えてから決して微調整しないこと。「気持ち悪い」と思っても構えを変えず、最初の構えを信じてスウィングし、その成功体験を重ねることが大事ということだ。

ターゲットに向けて地面に引いた線と、実際に打ち出される弾道の軌跡は、アドレスして見ると重ならず、ボールは右に飛び出して見える。このズレはロフトが多く打ち出し角が高いクラブほど大きくなることを知っておこう

スウィングで意識できることは多くない。丁寧に始動することと、バランスのいいフィニッシュを作ることくらいだと中井プロ。

「違和感に負けると、振り切れなかったり体の回転が止まったりするので、フィニッシュが乱れがちです。結果論的な話になりますが、だからこそフィニッシュは大事。丁寧に狙ってきっちり構えたら、あとはバランスのいいフィニッシュだけを意識してしっかり振り切る。ミスしたら、足元にクラブを置くなどして向きがどうだったか検証しましょう。この積み重ねこそが『正しい構え』への唯一の道ですよ」

胸の前の目の真下に持ったクラブを、地面のターゲットラインと平行にそろえ、そのまま目線を送って棒の示す先がどこに見えるかを体で覚える練習を繰り返そう。スウィングでできることは、始動とフィニッシュを注意することくらいだ

月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より