Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • ギア
  • 【頑固オヤジ】Vol.155「強すぎたり弱すぎたり…パットの転がりが全然安定しないんです」

【頑固オヤジ】Vol.155「強すぎたり弱すぎたり…パットの転がりが全然安定しないんです」

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回は、ゴルフを始めたばかりの人のパットに関する悩みについて。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q. パットの“なで打ち”を直す
チューンはある?


妻がゴルフを始めて4カ月、パットが全然上手くなりません。ショートパットはヨレヨレ、ロングパットはパンチが入るの繰り返し。グリップを重くするとか、パターで直す方法、ありませんか?(36歳・HC12・自営業)


“短くて重い”が打ちにくくする

梅雨明け、なんかすごく早かったよな。6月から猛暑日、やたら続いたし。水不足でコースが干上がらないといいんだけどな。

「読者からの質問です。最近奥さんがゴルフを始めたそうなんですが、パットがなかなか上手くならないので、パターのチューン法があれば教えてほしいそうです」

担当さんも日中は暑いから、顔を出すのは夕方になったよ。

「どんなふうにダメなんだい?」

「ショートパットはなでるように打って転がりがヨレヨレ、ロングパットになると逆にパンチが入って大オーバー、だそうです」

「ああ、女性の初心者にありがちなヤツだな。たぶんパターが短くて、ヘッドが重すぎるんだよ」

最近のパターは男女にかかわらずヘッドが重め。で、振り子式に打て、と教えて手元で吊るようにするだろ。こうすると、なで打ちになりやすいんだ。

「で、少し長いパットをしっかり打とうとすると、手元がおぼつかないもんだから、パンチが入っちまうんだよ」

「なるほど……。で、どうすれば直るんですか?」


「振り子じゃなくて、カナヅチでコツンと叩くように打ってみることから始めるんだな、手を使って。で、慣れてきたら手首の動きを減らして、腕、肩で振るように移行していくんだよ」

「はあ、打ち方の問題ですか……。パターのチューンで、できる事はないんですか?」

「あるよ。一番効くのは、ライ角をフラットにするんだ」

「ライ角……曲げるんですか」

素材が軟鉄とか真鍮(しんちゅう)みたいな軟らかい素材なら可能。ソールを削る、なんて荒技もあるけどね。

傾くシャフトが打面感覚を強調

手元で吊るすように握って、コツンと打つのは、実は結構難しいんだよ。ヘッドの重さは感じても、肝心の“打面”の感覚が薄れるから、しっかり打てないんだ。

「昔、リー・トレビノが日本のトーナメントに来た時、やたらフラットなライ角のパターを使ったことがあったんだが、それを見てピンと来てね。実際にフラットなライ角のパターを作って試打してみると、いろいろ気づいたんだよ」

フラットだと、フェース面とシャフトがスクエアでないとダメ。手元が流れる、なでる動きが入るとプッシュしか出ない。で、手元を流さずコツンと打とうとすると、シャフトとヘッドの重さが利いてパンチが入らない。アドレスでもシャフト側面をフェース同様に意識するから向きが合わせやすい、といいことづくめだったんだ。

「でも、フラットだと手元が下がったり、ボール位置が遠くなったりしませんか?」

「それも含めて、試すといいんだよ。“打面でコツンと打つ”がよくわかるから」

愛用のパターをヘンにいじりたくなければ、中古ショップでヘッドが軽い、シャフトが長めのパター、L字型とかT字型を手に入れるといい。

「それを、ライ角をいじらなくても、昔の青木功みたいに、少しトウを立てて打ってみる。オイラの言ってること、わかると思うよ」

今どきのツアープロはアームロックとかクロスハンドとかやってるけど、それはあくまでツアー仕様の高速グリーンで通用するものだと思う。一般営業コースのグリーンなら、しっかり球を打てる方法でいかないと。打面をコントロールして打ち出す感覚は、手元を流さずに打って、打球が飛びすぎない軽いヘッドで身に付けるのが早道じゃねえかな。

「質問の回答はどうしますか?」

「少しシャフトを伸ばすかな、木の丸棒でも使って。で、トウを浮かして打つ練習をしてもらう。ま、少し長い旦那のパターで練習してもいいけどね(笑)」

月刊ゴルフダイジェスト2022年9月号より