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【ヘッドデータは嘘つかない】左を恐れず強いフェードで攻められる。ミズノ「ST-Z220」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はミズノの『ST-Z220』ドライバーを取り上げる。

兄弟モデル「ST-X220」の分析結果はこちら

直進性が高くミスに強い

先週紹介した『ST-X220(以下、ST-X)』と同時に発表された『ST-Z220』を紹介する。違いはヘッド後方にある13gのウェート位置で、『ST-X』はややヒール寄り、『ST-Z』はセンターにある。いつもどおりクラブやヘッドを計測していく。数値はすべて実測値だ。クラブ重量は294.8gと標準的だが、クラブ長さが45.38インチとやや長く、スウィングウェートがD2.7と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが289万g・㎠とやや大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが44㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計になっている。

Point1 スウィングウェートがD2.7と大きい
Point2 クラブ全体慣性モーメントが289万g・㎠とやや大きい
Point3 重心距離が40.3ミリとやや長い

左に行きにくい設計

では、ヘッドを見ていこう。全体には兄弟モデルである『ST-X』と同様にオーソドックスな形状だが、輪郭的には、日本のつかまり系ヘッドのイメージが出ている。そして、アドレスすると『ST-X』よりもオープンフェースで、ライ角度もフラットなので、球をつかまえ過ぎないイメージが湧く。そして、『ST-X』と同様に、ヘッドの後方が低いシャローバック形状なので、インパクトをアッパーに振るイメージがあり、また、FP値(フェースプログレッション)も大きめなので、球が上がりやすそうだ。

実際に試打したところ、まずアドレスでは米国モデルのような強いオープンフェース(1.5度オープン)が特徴で、『ST-X』よりもフラットなライ角度(58.5度)で、より球をつかまえないイメージが伝わってくる。

試打クラブは9.5度で標準『ツアーAD GM D-55』(フレックスS)仕様。シャフトは適度なしっかり感があり、インパクトの再現性も良く、クラブ全体慣性モーメントの数値と同じ、ヘッドスピードが43~44㎧くらいのゴルファーが扱いやすそうだと感じた。そして、『ST-X』よりも重心距離が長め(40.3ミリ)の設計で、結果、ネック軸周りの慣性モーメントも7319g・㎠と少し大きくなり、かつオープンフェース&フラットなライ角で、球をつかまえ過ぎず、叩いていける感じだ。

『ST-X』同様にヘッドとシャフトのマッチングが良く、インパクトの再現性も高い。ドロー~ストレート弾道が出やすい『ST-X』に比べ、『ST-Z』は軽いフェード系弾道で球筋をコントロールしやすい。また、クラブ長が長過ぎず、厚くインパクトできるため、ミート率が上がり、安定した飛距離を得られそうだ。同時に試打した『ST-X』よりもインパクト音が引き締まっており、フェースに乗る感じがした。

大慣性モーメントヘッドはブームを迎えているが、『ST-Z』はその流行に乗らず、重心深度がやや浅く、独自路線を歩んでいるヘッドと言える

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

ミズノ

ST-Z220 ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より