Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【世界基準を追いかけろ!】Vol.56 日本のアマチュア選手たちは技術面でも体格面でも世界に見劣りしない

【世界基準を追いかけろ!】Vol.56 日本のアマチュア選手たちは技術面でも体格面でも世界に見劣りしない

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。前週に引き続き、8月に開催された全米アマチュアゴルフ選手権を視察した事情通のX氏に加わってもらい、世界のトップアマの意識の高さについて語ってもらった

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 今年の全米アマは8名の日本人選手が出場しましたが、いずれも予選敗退でしたね。

目澤 それは、いきなり行って、オークモントGCで結果を出すのはやはり難しいですよね。

GD Xさんは、現地で見られていかがでしたか。

X 決勝ラウンドには進めませんでしたが、打っている球や、ウェッジの技術を見ていても、上位の選手らと比べても差がないと思いました。中島啓太選手なんかはいちばん飛んでいましたしね。ですから日本人選手は世界で十分やれると思いました。それと、今回見ていて感じたのは、以前に比べてアメリカの選手に体格の大きな選手が少なく、コリン・モリカワやザンダー・シャウフェレみたいな173〜178センチぐらいの体格の選手が目立ちました。ですから日本人選手は体格の面でも海外の選手に見劣りしないという印象も受けました。

目澤 日本のナショナルチームの派遣選手は中島啓太(※1)、杉原大河、米澤蓮の3人でしたが、チームはどんな感じでしたか。


X JGAのアシスタントコーチのクレイグ・ビショップ(※2)が帯同していろいろ指導をしていましたね。彼はオーストラリアでは有名なコーチみたいです。そこで驚いたのは、中島選手も米澤選手も英語の会話力が凄く高いんです。特に米澤選手は流暢な英語で、ずいぶん勉強したみたいですね。

目澤 世界を見据えているんですね。

X ええ。世界に出ることを前提に考えているから、英語を話すことは必須と思っていますよね。

GD JGA派遣選手以外に、岡田圭太選手、山脇健斗選手、森山友貴選手なども出ていますが、日本の選手たちの現地の動きはどんな感じでしたか。

X これは米国の選手たちも同様ですが、みな大学のチームで動いているので、練習ラウンドはとても忙しそうでした。練習後にはチームミーティングを行って、メモに書いた情報を共有し、コーチが撮った動画もチームで見ているようです。そして過去にオークモントで行われた全米オープンのビデオを全員で見て、「このラインに打て」というような指示がコーチからあります。プロの試合では見られない光景ですよね。練ラン中に、ぺちゃくちゃと無駄話をしている選手はいないです。喋っていたらコーチから「おい、風の向きチェックしたか?」とか言われますから。

GD お話を聞いていて、これまで日本人選手は体格で劣るとか、英語が話せないことが世界で通用しない要因に挙げられましたが、今のアマチュアの選手はそういったハンディはクリアされているわけですね。

X あとは難しいコースでの経験ですが、森山選手はオレゴン大に在籍、山脇選手はカリフォルニア大学バークレー校に在籍して、アメリカの環境で試合をこなして、着実に経験を積んでいますよね。

目澤 X氏が日本人選手が世界でやれると感じるのは、そういった裏付けもあるわけですね。

(※1)中島啓太……日体大3年・世界アマチュアゴルフランキング(WAGR1)1位 杉原大河……東北福祉大4年・WAGR8位 米澤蓮……東北福祉大4年・WAGR11位 (※2)クレイグ・ビショップ(豪州)。JGAナショナルチーム・強化スタッフ。ヘッドコーチのガレス・ジョーンズ氏のもとでアシスタントコーチとしてチームを指導する。2016年の全米アマ覇者のカーティス・ラック選手(豪州)のコーチ

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より