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【笑顔のレシピ】Vol.89 「子どもは切り替えが早い。悔しさを感じてないわけではないんです」

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

前回のお話はこちら

スポーツをやっている子どもたちは、負けず嫌いが多い。だからその子どもたちの性格を生かして、よく競わせるゲーム形式の練習をやったりします。

試合ともなれば、目の色を変えて挑んでいく選手もいて、コーチとしてそんな気持ちの部分に成長を感じたりもしています。

でも、大事な大会に向けて気持ちを入れて頑張っていたにもかかわらず、負けても意外とケロッとしている子も多い。

周りからすると「あれ、あんなに前のめりだったのに悔しくないの?」なんて、拍子抜けをしてしまいます。

「絶対に勝つという強い気持ちがないから、悔しがれないんだ」と言ってしまう親御さんもいて、僕も以前はそんなふうに思っていました。

けれども、よくよく選手たちと話していると、彼らなりにちゃんと悔しがっているのです。ただ、子どもは立ち直りが早い。試合の後の数時間グッと悔しさを感じて、翌日にはケロッと次の目標を決めていたりしていますから。

大人は、悔しさを感じている時間と気持ちの重さは比例すると思いがちですが、子どもに限ってはそんなことはなく、気持ちが切り替わるのも早い。

だから、挫折からの立ち直りが早すぎないか? と感じたときには、「大人と子どもでは流れる時間のスピードが違う」と考えるのがいいと思います。

本人が気持ちに踏ん切りをつけて前に進もうとしているときに、「そんなんだから……」なんて声を掛けられたら、自分のことをちゃんと理解してくれていないと思い信頼関係を築くことができません。

もう1つ気をつけたいのが、悔しがり方の違いです。涙を流して気持ちを伝えてくれる選手もいれば、自分の中で噛みしめて考えをまとめる子もいます。これはどちらが正解というわけではありません。

どんな悔しがり方でも自分自身で振り返りができていれば、着実に自立をしていく選手になるでしょう。

悔しがり方は人ぞれぞれ。大事なのは、失敗を次に生かせるかどうか(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より

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