【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.162「夏は飛距離が”伸びた”でなく”戻った”だけ」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!
ILLUST/Masaaki Takauji
>>前回のお話はこちら
- 家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載! ILLUST/Masaaki Takauji >>前回のお話はこちら 夏のラフは、つかまると出すだけになって1打損をするので要注意。……
季節はすっかり初夏。ゴルファーは長~い冬眠が明け、ぼちぼちラウンドに行く人も増えだした。知人男性も久しぶりのラウンドを楽しんだようだ。そして嬉しそうな面持ちでボクにこう言った。
「しばらくゴルフしてなかったのに、急に飛距離が伸びていて驚いたよ」
ん!? ラウンドを2~3カ月休んでいるうちに、勝手に飛距離が伸びたって? そんなわけなかろうが!!
それは飛距離が「伸びた」のではなく、元に「戻った」だけの話。残念ながら、喜ぶには値しない。
彼が、最後にゴルフに行ったのが2月下旬。それから再びコースに行ったのが6月中旬。その間にすっかり季節は移り変わった。地域にもよるけど、気温差は20度近くあるよね。そりゃ、飛距離は変わるよ。
実際、ボクは夏と冬とでは飛距離が2番手違う。言わずもがな冬のほうが飛ばない。体が冷えて硬いことと、重ね着とでダブルで動きにくいせいだ。夏だったら200Yを7Iか8Iなんだけど、冬は5Iぐらいである。ちなみに、ボクが使っているブリヂストン「JGR」はめっちゃ飛ぶから、番手自体は気にしないで。要はこれだけ差があるってこと。
ゴルファーは十人十色だけど、おそらく冬のほうが飛ぶという人はいないだろう。120打つ人もマキロイも同じ。冬はキャリーが出ないけど、芝が枯れていてランが出るから飛距離自体はそんなに変わらないのでは? と思うかもしれないが、いやいやそんなことはない。夏は夏で地面が乾燥して硬くなるから、意外と転がるのである(朝露とか水を撒いた後は例外だけど)。

冒頭の知人のみならず、この時期、久々にゴルフをする人は多いだろう。その際、冬のイメージを引きずったままプレーをすると、距離が合わないので、ご注意を。それがボクのアドバイス。夏と冬とでは選ぶクラブが全然変わってくるので、もし事前に練習場に行くことがあれば、どのくらい飛距離が違うのかを確認しておくといいだろう。スウィングの練習をするより、そっちのほうが100倍大事。それを怠ると、グリーンオーバーはもちろん、入れなくていい池やバンカーに入っちゃうからね。
そしてコースでは間違っても、飛距離が出ることに気をよくして「もっと飛ばしてやろう」なんて思わないこと。何度も言うが、上達して飛距離が伸びたのではなく、元に戻っただけということをお忘れなく。
逆に冬は飛距離が落ちるのが当たり前。ドライバーの飛距離が200Yから160Yになっても、それは下手になったせいではない。よって、落胆するのは厳禁。「そんなもんさ」と悠長に構えればよし。むきになって振りちぎったりすると、スウィングを壊すので気をつけて。飛距離を求めるよりも、方向性重視でゴルフを組み立ててみて。
何はともあれ、少しずつ日常を取り戻しつつあることは嬉しいこと。久々にラウンドする人は、思い切り楽しんで!
全員がチャンピオン! 二宮家

週刊ゴルフダイジェスト2020年7月21日号より