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【名手の名言】グラントランド・ライス「ゴルフが不確定要素に満ちたゲームであることは間違いないが……」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はオーガスタ・ナショナルGCの設立メンバーの1人でもあり、かのボビー・ジョーンズとも親交の深かったスポーツライター、グラントランド・ライスの言葉を2つご紹介!


ゴルフが不確定要素に満ちた
ゲームであることは間違いないが
1930年だけは例外で
最も偉大な年であった

グラントランド・ライス


1930年は、あの球聖ボビー・ジョーンズが、同年グランドスラムを達成した年であり、ジョーンズがいかにその年、強かったかということを詠嘆した言葉だ。

グラントランド・ライスは当世きってのスポーツライター。彼は、ジョーンズが同年グランドスラムを達成した要因を、その年の春先の試合で、サラゼンら強豪ひしめく中、2位に13打の大差をつけて勝ったことにあると喝破した。なぜなら、その時、「必要とされるすべてのショットを成功させた」からであると。

ジョーンズは大西洋を渡り、全英オープンと全英アマを制し、帰国して、全米オープン、全米アマをもぎとった。マッチプレーは弱いといわれたジョーンズだが、先の全米・全英両アマの他、ウォーカーカップを含めた13戦すべてに勝利している。

ゴルフは掴んだと思ったタッチが、次のホールでは脆くも消滅する残酷なゲームで、不確定要素に満ち溢れているが、この年のジョーンズだけは違っていた。最も偉大な年とライスが位置づけたのも理解できる話である。


理論と技術は20%にすぎない。
ゴルフの80%は哲学、ユーモア、悲劇
ロマンス、メロドラマ、親交、天邪鬼
そして会話である

グラントランド・ライス


当世きってのゴルフ評論家らしい、文字通りウィットとエスプリに富んだ言葉である。これこそ、まさに他のスポーツ(ゲーム)では味わえない本質を言い当てている。

ところが同じゴルフでも、“トーナメントゴルフ”となると、その質がまったくといっていいほど変容する。球聖ボビー・ジョーンズは「ゴルフとトーナメントゴルフは全く異質のものだ。トーナメントゴルフではただのワンショットもおろそかには出来ない。ワンショット失敗しただけで、勝利は遠のく。だから私は“ゴルフ”をしたくて、トーナメントゴルフから早々と引退したんだ」と述べている。

本来のゴルフとは競い合うゲームの要素の他に、表題の言葉のように、人生のあらゆる機微が凝縮されたような遊びといえるのだ。

■グラントランド・ライス(1880-1954)

アメリカが生んだ最も優れたスポーツライター。最初はさまざまなジャンルのスポーツを手がけたが、やがてゴルフだけに集約されてくる。「アメリカンゴルファー」の創刊にかかわり、ボビー・ジョーンズとも親しくなり、そのエッセイは深みを増していったという。オーガスタ・ナショナルGC設立メンバーの1人でもあり、不世出の天才といわれたベーブ・ザハリハスのアドバイサーとしても知られる。

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