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【名手の名言】ボビー・ジョーンズ「不運や失望に直面する勇気と、無謀な冒険を抑制する臆病さが必要だ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は“聖球”ことボビー・ジョーンズの含蓄のある言葉を2つ紹介しよう!


不運や失望に直面する勇気と
無謀な冒険を抑制する臆病さが必要だ

ボビー・ジョーンズ


ボビー・ジョーンズの伝記は、親友にしてジャーナリストでもあるO・B・キーラーが書いていることもあり、実に多くの味わい深い箴言が遺されている。

表題の言葉もそうだ。

ゴルフで勇気というと、シビアな位置に切られたピンを果敢に攻めたり、入れごろ外しごろのパットを強気のタッチで狙うといったことを想像するが、ジョーンズが必要と語るのは「不運や失望に直面する勇気」だという。

ボールが木の真後ろに止まったり、バンカーの均されていない足跡の中に入ったり、ボールがピンに当たって大きく弾かれたり……ラウンド中は不運も失望も日常茶飯事。それに対し、嘆いたり、不平を述べたり、怒りをあらわにしたりするのは、単に置かれた境遇をアピールしているにすぎず、何の解決にもならない。

起こってしまったことは仕方ないので、その状況でどれだけ最善を尽くせるか。目を逸らしたくなる状況にしっかりと直面することで、今できるベストな解決策が見出せるはずだ。

一方で、「無謀な冒険を抑制する臆病さ」も必要だとジョーンズは指摘する。

アグレッシブなプレーは見ている側にとっても痛快だが、ただ闇雲に攻め続けるのは“無謀な冒険”にすぎない。臆病さとは、言い換えれば危機管理能力の高さでもある。

たとえばピン位置はグリーンの右奥で、奥にはバンカー、右サイドはスロープという状況。セカンドで果敢にピンを攻めて、もしグリーンを外したら、途端に大叩きのピンチが待っている。事前に最悪のケースを想定して、攻めるのが無謀だと感じたら、安全な場所を狙う。無益なミスを招かないためにも、ある種の臆病さは必要というわけだ。


最後のパットまで
ベストを尽すことができない人を
私はゴルファーとは認めない

ボビー・ジョーンズ


順調にいっているときは短いパットでも慎重にラインを読み、たっぷり時間をかけてプレーするのに、ひとたびどこかで大叩きすると、途端に「遊び、遊び」とプレーが雑になる。果ては一生懸命やっている同伴者に対してまで「遊びなのになんでそんなに真剣になってるの?」などとからかい始める。

球聖ボビー・ジョーンズは、こういうゴルファーが一番許せなかったのだろう。

200ヤードのロングショットも、1メートルのショートパットも、同じ1打。もし、1メートルのパットを雑に打って外してしまったことで、悲願の100切りに1打届かなかったとしたら、あのパットをもっと真剣に打っていれば……と後悔してもしきれない。

どんなに調子が悪くても、最後の1打まで諦めずにプレーを続ければ、ゴルフは必ずやご褒美が待っている。楽しければスコアなんてどうでもいい、という人もいるが、どうせやるならスコアは悪いよりも良いほうが楽しいし、家で飲むお酒も美味しくなる。

上手い・下手ではなく、目の前の1打にベストを尽くせるか。ゴルフ場で心が折れそうになったら、“球聖”の言葉を思い出したい。

■ボビー・ジョーンズ(1902~71年)

米国ジョージア州アトランタ生まれ。父親がゴルファーで生家も庭がゴルフ場続きでもあり、5歳で自然にクラブを握る。14歳で全米アマ出場後、数々の選手権に優勝。1930年には世界の4大タイトル、全米、全英両オープン、両アマに優勝、年間グランドスラムを達成。この記録はいまだに破られていない。全英オープンに勝ち、祖国に凱旋した時は国民的英雄となった。これを契機にアマのまま引退。故郷アトランタに戻り弁護士活動の傍ら、オーガスタナショナルGCを設立、マスターズ・トーナメントを主宰した。

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