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【ゴルフせんとや生まれけむ】モハメドヨネ<前編>「初ラウンドにボール100個持参しました」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 プロレスラーのモハメドヨネ氏。

ゴルフって紳士淑女のスポーツと言われますよね。プロレスとはまったくの正反対のイメージでしょ(笑)。でも、相手を蹴ったり殴ったりするのが商売の僕らプロレスラーだって本当は紳士なんだよということを見せねばという気持ちが2%、実は昔からゴルフ中継を見るのが好きだったというのがゴルフを始めるきっかけでした。

10年以上前、レスラー仲間で野球をやっていた選手と力士上がりの選手とで、たまたまゴルフの話で盛り上がりました。「面白そうだからやってみるか」ということになり、とにかく一度体験してみなければ話にならないと、まずは3人で練習場へ行きました。プロレスだとトレーニング中に先輩からいつも「声を出せ!」とか「お前、声が小さい!」って言われているので、そこでも1発打つたびに「ウワー」とか「ダメだぁ」とかついつい大声で騒いじゃった。練習場では打席で皆さん一人で黙々と練習しているのに、僕らときたらガタイがデカくてそれだけでも目立つというのにね。これはいかんとそれからは紳士淑女、紳士淑女……と呪文のように唱えながらおとなしく練習しましたよ。

2、3回練習場に行きましたが、コースに出なきゃゴルフの本当の面白さは味わえないだろうと、すぐにラウンドしました。ボールがどこへ行くかわからないし捜すヒマもないからたくさん持っていったほうがいいと思い、50個くらい入ったロストボールの大きな袋を2つ抱えていったら、仲間が「ヨネさん、どんだけ打つつもりですか?」「えっ、足りない?」。そんな会話をしたのを覚えていますね。

初めて行ったコースは忘れてしまいましたが、格式がそんなに高くない値段の手頃なところでした。ところが、ここが初心者にはつらい、ものすごいトリッキーなコースで、よくいえば戦略性に富んだコース。ものすごく難しくて時間がかかってスコアは200以上でした……。紳士淑女はちゃんとスコアを申告するものなんだと思っていたから一生懸命数えましたよ。みんな褒めるところがないので「よく数えたね」と言ってくれましたね。

そんなにたくさん叩いちゃったけど、初めてのゴルフは楽しかったですねえ。それまでは屋内で相手をぶっ叩いて蹴とばしてという相手ありきのことしかやってきませんでしたが、ゴルフは自分や自然との闘いで、こんな小さなボールを遠くへ打つという、それも刺激的でしたし、プロレスはお客さんをあおって歓声を上げさせるのが仕事なのに、ゴルフは人が打つ時は静かにするのがマナーで、試合の時は「お静かに」というプラカードが出たりする。これがゴルフなんだなあといろいろ学びましたね。

200も叩いてゴルフがイヤになっても不思議はなかったのに、よく考えてみれば80や90で回っても150叩いても同じ料金。ならば200回も打ててお得(笑)。最初はそういうプラス思考でやっていましたよ。後は食事がおいしかったとか、お風呂が温泉で良かったとか。そういうことも全部ひっくるめてのゴルフなんだなと思いましたね。

>>後編へつづく

モハメド ヨネ

1976年名古屋市生まれ。「藤原組」「格闘探偵団バトラーツ」を経て02年に「プロレスリング・ノア」入団。得意技はキン肉バスター、ダイビング・ギロチンドロップ。ゴルフ場のランチで、セットの「そば」は「飲み物」と豪語

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号より