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【山を動かす】襟なし、ノースリーブ、超ミニ……女子プロのウェア、どう思う?

ゴルフにまつわるさまざまな問題に関し、読者や識者に率直な意見をぶつけてもらう連載「山を動かす」。今回のテーマは女子プロのウェアについて。スポーツ界でも、さまざまな点で多様性が叫ばれるようになったが、それを地で行くのが女子プロたちのウェア。識者、一般ゴルファーはどう思う?

●ゴルフを始める方は「スポーツにドレスコードがあるの?」と驚かれるかもしれませんが、イギリス発祥と言われると腑に落ちるかもしれませんね。特にテニスのウィンブルドンなんて白のみという厳しい縛りがあるのは有名です。汗染みが目立ちにくいからという理由だそうですが、いかにも貴族社会のイギリスらしい。でも、それによってウィンブルドンは高い“格”をキープしています。ゴルフクラブにドレスコードがあるのも同様の理由だと思います。ただし、プロツアーになると話は変わってきます。たとえば、結婚式に出席する場合のドレスコードを考えてみてください。格式の高いホテルでの式に呼ばれれば、相応のおしゃれをするのがマナー。でも、決して花嫁より目立ってはいけません。それが、女子ツアーの会場では選手全員が花嫁なんです(笑)。ギャラリーや視聴者に自らをアピールしなければなりませんし、ゴルフ人口を増やすというミッションもある。プロは“憧れられる存在”でいなければならないからです。現在の百花繚乱のウェア事情にはそういった背景もあると思います。(大谷奈千代/プロゴルファー)

●ドレスコードが厳しいのは断然男性のほう。プロツアーで短パンがダメだなんて、この酷暑の日本でどうかしている。プロでなくても短パンの場合にロングソックスを合わせるなんて、そもそも足が短い私には似合わなくて、笑っちゃうくらい不格好です。勘弁して。(60代男性・愛知県)

●僕の時代、ウェアで目立っていたのは中島恵利華でしたね。写真週刊誌が、今じゃあ死語でしょうが“パンチラ”を狙ってシャッターを切り、取材が一部規制されたこともありましたね。当の恵利華は「アンダースコートをはいているのにバッカみたい」と笑っていたそうですが。中島千尋が初めてノースリーブを着たときには少し問題になりましたし、へそ出しルックも話題になりました。キンクミこと金田久美子はへそにピアスしたりして……。変遷でいえば、ミニスカート、パンタロン、キュロット、ホットパンツといろいろ出ましたが、有力選手が身につけると右へならえという現象が多かったように思います。問題にされるのは開催コースでの「倶楽部ドレスコード」からアピールされるケースが大半だったのではないですかね。五輪が行われた霞ヶ関CCもドレスコードは厳しいと思いますが、今回は各国の“制服”だったので問題にはなりませんでした。選手が所属するアパレルメーカーのマーケティングに左右される面も否めません。男子のタイガー・ウッズのモックネック、あれは襟ですか? ナイキは旧弊を打破し、スポーツの新たな面を表出させようとマーケティングしているのでミッシェル・ウィのように“過激”になるんですね。(タケ小山/テレビ解説者)

●女子プロゴルフを長く取材してきましたが、印象に残っているのは中島恵利華ですね。それまでなかった“ひらひら”としたウェアでミニスカートが斬新でしたね。(小川淳子/ゴルフライター)

70~80年代の女子プロのウェア。“多様性”は今以上!?

【1979年】懐かしのローラ・ボー(右は冬仕様)

【1977年】樋口久子もミニスカート(左)/【1982年】涂阿玉はパンタロン派(中)/【1989年】中島恵利華は今なら普通!?(右)

●一時のミッシェル・ウィの“攻めたウェア”は、記憶に残っています。あれで、USLPGAがミニスカートの丈など、一部、規制に乗り出したんですよね。校則じゃないんだからー、と思いました。ミッシェル・ウィみたいなアスリートは全然いやらしさは感じなかったけれど、もちろん私は真似しません。心得ております(笑)。(40打女性・神奈川県)

●女子プロのウェアといえば、よく取り上げられるのがスカート丈ですね。1940年代のベーブ・ザハリアスのころはまだロングスカートでした。それが50~60年代、ミッキー・ライトになるとバミューダショーツ(ひざ丈)が主流になり、ナンシー・ロペス、ベッツィ・キング、パティ・シーハン、ベス・ダニエル、岡本綾子らもそうでした。80年代になると、ホットパンツのパク・セリが登場。瞬く間にホットパンツの時代となり、それが今も続いているのではないでしょうか。(川田太三/USGAルールコミッティ)

プロゴルファーのウェアはクラブなどのギアと同様、商売道具のひとつです。レーシングカーみたいなものですよね。公道でレーシングカーを走らせるのがありえないように、一般のアマチュアがプロのウェアをそのまま真似してしまうのは危険です(笑)。もっとディテールに注目してみてください。たとえば、ウェアの配色や靴と靴下の組み合わせなど。ゴルフだからゴルフウェアメーカーが出しているウェアを買わなければならないかといえば、そうではありません。普段着を組み合わせていいんですよ。そういう意味では、多様性があると言えるでしょうね。それで、コーディネートするときにプロの配色を思い出して一部を真似てみるとか。プロは契約もあるし、目立ってなんぼだけれど、アマチュアはコースのドレスコードもあるし、そのなかでどれだけ工夫できるか。ゴルフウェアは総じて高いので、普段着をうまく織り交ぜ、浮いたお金で靴だけは奮発してみようとか、考え方はいろいろあります。そういう目線でプロのウェアを見るのも、また楽しいと思いますよ。(ドン小西/ファッションデザイナー)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より

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