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【世界基準を追いかけろ!】Vol.117 コーチへの依存から抜け出すには?

目澤秀憲と黒宮幹仁、新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回はジュニアゴルファーの育成について心掛けていることを話してくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 日本のコーチング事情は、いまどのように変化していると思いますか?

黒宮 最近思うのですが、コーチをつけることが100%良いことだと思えないということです。

GD 例えば?

黒宮 プロでもコーチをつけたことでどことなく安心をしてしまう選手がいますよね。まあ、本来コーチというのはチアリーダーなんですがね。

 選手自身が目的を達成するための「応援者」ということですよね。目澤コーチが教えることで目的が達成できるわけじゃないし、そもそも教えただけで成績が出るなら誰もが成績が出るわけで、そんなことはあり得ないですからね。

黒宮 コーチをつける動機も、「自分なりにメチャクチャ頑張ったけど、まだ足りないからコーチをつける」という感じではなくなっている。コーチをつけるのが当たり前という「甘えの時代」になっているように思います。

 エクスキューズのための安全弁ですよね。成績が上がらない時にコーチやクラブに原因を転嫁して言い訳を作るという。


GD アマチュアの場合も個人レッスンなどが増えていますが、傾向として感じることはありますか。

目澤 ネットで情報が簡単に手に入る一方で、本質が見えづらくなっている時代になってきているのかもしれないですね。

黒宮 アマチュアの人の場合、これだけ情報が飛び交っているので、いろんなことにチャレンジをしてもいいのですが、でもゴルフを長く楽しむと考えた時には、ケガなどの体のトラブルだけは避けてもらいたいですよね。自分の体の状態が今どんな感じなのかを把握してから、それに合った教え方をしてくれるコーチを見つけてほしいです。

GD それはどうしてですか。

黒宮 ツアープロコーチがやっていることの本質というのは、その選手の身体的能力とボールのフライトを繋げるという作業ですから、ずっと同じことをさせることもないし、その時の体の状態を見てやることを決めているわけです。

 プロの場合は専門のトレーナーもつけているでしょうし、体への負担やケガに関しての意思疎通は緊密にされているわけですね。

黒宮 目指すものがエンジョイゴルフか競技ゴルフかによって違いがあると思いますよ。ネットから情報が入ってきて選択肢が広がる分、受ける側にも目的意識や選別する目が求められる時代になったということだと思います。

目澤 そういうことで言うと、「以前習っていたコーチはドロー一辺倒だったので、チーピンが出て悩むようになりました。何とかなりませんか」というような感じで習いにくる人もいます。でもそういう人に、いきなりカットスウィングからやりましょうと言うのも回り道になります。そこは、最初の選択段階でもっと慎重にしていれば避けられたと思います。

GD スクールなどと違って個人レッスンを受ける場合は、コーチが何とかしてくれる「甘えの構造」から脱却し、受け手自身の選択も大事になるわけですね。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号より