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【キミこそ王子だ】Vol.257 抜群のリズム感が美しいドローボールを生む

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は愛知県出身、中部大学第一高等学校2年の新井龍紀くん。リズムのよいスウィングで成長曲線上昇中! どんな点を真似すれば彼のように打てるのか? 武市が詳しく解説する。

今回の王子候補
新井 龍紀くん

●主な戦歴/2021ゴルフダイジェスト・ジャパンジュニアカップ15~17歳の部 優勝 ●ベストスコア/66(東名CC) ●練習/1時間170球(毎日) ●トレーニング/とくになし

兄の影響で6歳からゴルフを始めた龍紀くん。小中では目立った成績は残していないが、ここ最近、努力の成果が表れてきた。今年は「中部ジュニア選手権」、小社主催の「ジャパンジュニアカップ」で優勝し、実りある夏となった。

そのスウィングを見て武市は「リズムがいいね」と評した。

スリムな体型のため、本人は「飛ばない」のが悩みらしいが、武市は「そんなふうには見えない」という。

「普通、飛ばしたいと思うと力んでしまうけど、龍紀くんはまったく力みなく、すごくリズミカルに振っている。そこがいい! 飛ばし屋ではないけど、綺麗なドローボールで安定した距離を稼げていると思うよ」

「ありがとうございます」

「スウィング中、気を付けているポイントはある?」

「トップのちょっと前で、右足で地面を蹴ることを心がけてます」

「切り返しのポイントを、気持ち早くするとシャフトがしなり、インサイドから下りてくるもんね」

ドローボールを打つには、いくつか条件がある。龍紀くんのいう「切り返しのタイミング」もひとつだが、武市がもうひとつポイントだと思っているのがグリップである。

「ドローを打つには、グリッププレッシャーを“ゆるゆる”にしたい。いくら切り返しのポイントを早くしても、力んでグリップをギュッと握りしめちゃうと、上体が突っ込んでカットになりやすい。その点、龍紀くんは終始グリッププレッシャーが一定かつ、ゆるゆるグリップだからヘッドが走りドローになる」

しかし、リズムの良さは、それだけでは語りつくせない。では、彼のリズムのよさは、どこから生まれてくるのだろうか?

「スウィング中、意図的に自分でアクションできるのは2カ所だけだとボクは思ってる。バックスウィングで1つ。ダウンスウィングで1つ。それを、多くの人は2個も3個も仕掛けようとする。だから、動きがぎこちなくテンポが悪くなっちゃうんだ。龍紀くんはバックスウィングでグリッププレッシャーをゆるくする。ダウンスウィング直前で右足を蹴る。これしかアクションしてない。だから、リズムよく振れるんだよね」と武市。

「常に同じ球筋、球の高さを打つのにリズムは重要。そういう意味ですごく秀でてると思う。あと、話してて感じるんだけどあまり怒ったりしないタイプ?」

「ダボとか打ったら悔しいけど、打ったものは仕方ないかなと」

「“しょうがない”って諦めているようでマイナスなイメージがあるけど、実はそうじゃないんだよね。イライラしたり凹んだりせず、状況を受け入れることで余計なエネルギーを消費しない。結果18ホール集中してプレーできる。ボクも見習いたいわ」

「ありがとうございます(笑)」

「飛距離に関しては、筋力が整えば、必ず伸びるはずだから、焦らずがんばって」

またしても、将来が楽しみな選手に出会った。

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月21日号より