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黒人初! USGA会長にバハマ出身のフレッド・パーパル氏が選出。条件は“ゴルフを愛していること”

1894年に設立されたUSGA(全米ゴルフ協会)だが、その歴史のなかで初めての人事が先日行われた。

現会長であるスチュアート・フランシス氏の任期満了の後を継ぐ第67代会長に指名されたのはフレッド・パーパル氏。正式には2月に開催される同協会年次総会まで待つ必要はあるが、選出されるのは確実とされている。

パーパル氏は47歳、同協会の130年近い歴史のなかで、初めてその地位に就く黒人となる。

バハマ出身、テキサス大学アーリントン校でバスケットボールと陸上競技をプレーし、バハマ代表まで上り詰めたという。

同協会では2019年から会長が選出した執行委員会に所属し、最近ではチャンピオンシップ委員会の委員長を務め、今夏開催された第1回アダプティブオープンを立ち上げた。この障害者競技を同協会では全米オープンなどと並ぶ15番目の選手権と位置づけようとしていて、日本からも3人が出場している。

話はそれたが、ともかくパーパル氏は会長に指名されるに十分なキャリアがあったといえる。

この経緯を、同協会でレフェリーを長く務め、その活動を顕彰され、米国人以外で初のジョー・ダイ賞を受賞した川田太三氏は次のように話す。

「会長候補をノミネートする20名ほどの委員会があります。2年ごとにメンバーが代わっていくのですが、そこでは半分くらいが会長経験者、それに黒人、女性、中国系の人たちがメンバーで、多様性には事欠きません。黒人が会長になるのは必然だったでしょう」

また、会長になるための”資格”は「ゴルフを愛していることが必須条件。私も経験しましたが、ゴルフのことを語るとき、少年のような目をする会長ばかりでした。それと任期(原則2年)中はボランティア活動なので交通費、宿泊代など自己負担。それに会長職は多忙なので、自分の仕事と二足のワラジは厳しい。経済的裏付けがないと無理といえます」

同協会はR&Aとともに世界のゴルフルールを制定、国内のゴルフを統括し、全米オープンなど多くの選手権競技を主催しているが、実際の業務運営や指揮は最高経営責任者のマイク・ワン氏を頂点とするチームが行う。ここには多大な報酬が伴う。

ワン氏は全米女子プロゴルフ協会の前コミッショナーで、弱体化した同協会を立て直した凄腕のビジネスマンだ。対して会長職は無報酬で、USGAの理念を執行実現するための象徴といえる。

彼の2月からの活躍が楽しみだ。

初の黒人会長の辣腕に期待(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号より