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【世界基準を追いかけろ!】Vol.91「パッティングコーチはいる? いらない?」

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回のテーマは日本におけるパッティングコーチの役割について。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 前回は中島啓太くんのパットをパッティングコーチの橋本さんがチェックしたという話でした。日本では橋本さんのような“パット専門家”は珍しいと思いますが、そのパッティングのコーチングに関して、皆さん何か意見はありますか。

黒宮 パッティングコーチに限らず、コーチは選手にずっと付きっきりでいられないじゃないですか。その問題をどうするかもテーマになると思います。

X パッティングコーチに関していえば、専門(※2)のコーチの数が少ないので、なおさら一人の選手に付きっきりというわけにはいかないんでしょうね。

GD その場合の対応方法はどうしたらいいんですかね。


黒宮 時間のある時に、選手と一緒にストロークをしっかりと作っておいて、あとはそのストロークをいかに壊さないようにするかの傾向と対策を立てることが大事だと思います。でもなぜストロークがおかしくなるのかというと、ツアーでは毎回スティンプメーターの数値が変わってスピードが変化しますが、その時に打ち出しとボールのスピードの変化を加えないので、ストロークがおかしくなってくるわけです。

GD どう対処するのですか。

黒宮 まず、新しいコースに来たら毎回、グリーンのコンパクションとスピード、さらに湿度や摩擦係数を計算します。選手個々のパッティングデータは、先にクインテック(※2)で取ってあるので、その週のグリーンのスピードに合わせて、打ち出す方向と距離感の変化を加えればいい。たとえば、「このグリーンは先週より速いので、これだけ打ち出しをずらさなければいけない」といった明確なアドバイスができます。それならパッティングのストロークはそこまで崩れないはずです。

目澤 データのやり取りだけで済むから、パッティングコーチが選手に付いてツアーを回らなくてもよくなりますよね。

黒宮 実際、男子プロのトップ選手は無意識にそういった調整ができているんですけど、女子プロはそこまでできていないケースが多い。ですから、男子の場合は、パッティングコーチを求められることも、女子ツアーほど多くないんです。

GD 男子がその週のグリーンに対して、無意識に打ち出しやスピードを察知しているというのは、どういう部分でわかるのですか。

黒宮 入れにいくパターか、寄せにいくパターか、の打ち分けが明確ですよね。毎回同じスピードと打ち出しで打っていたら、1打で入れようとしているのか、2打で入れようと考えているのかわかりづらいと思います。男子のパッティングを見ていると、そこが明確になっていると思いますね。

GD でもプロでもロングパットで物凄くショートしたり、逆にオーバーしたりはありますよね。

黒宮 その試合の場にいると、どのぐらい打っていいのか分からなくなっちゃうこともあると思いますし、あまりに機械的なストロークになると、タッチが合わなくなってくるというのもあると思います。

(※1)USPGAツアーでジャスティン・ローズなど多くのツアープロにパッティングを指導してきたデービッド・オー。トミー・フリートウッドらのパッティングコーチをしているフィル・ケニオン。日本では最近、「エンジョイゴルフスポーツ社」のスタッフにしてパッティング専門コーチとして橋本真和氏が活動中。(※2)クインテックボールロール(Quintec Ball Roll)は、パッティング時に転がるボールの動きをとらえて分析し、ボールがどのように回転したかを計測する機器

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より