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【インタビュー】生源寺龍憲<後編>「海外のいい点をフィードバックできれば日本もきっと盛り上がる」

日本男子もここ数年で海外を主戦場にする選手が増えてきた。その中のひとりである生源寺だが、彼には海外で戦う明確な理由があるという。そのワケについて語ってもらった。

PHOTO/ARAKISHIN TEXT/Masato Ideshima

生源寺龍憲 しょうげんじ・たつのり。1998年生まれの28歳。山口県出身。同志社大4年時にプロ転向。昨シーズン賞金ランク2位

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練習とは思い通りに球を操ること

今シーズンはここまで右手や腰などケガに悩まされて、成績も含めて思うようなゴルフができていないが、焦りはないように感じるのは昨年の経験があるからだろう。

「今年はいろんなことにトライしてみたいとは思っています。国内シーズンが始まる前にアイアンをカーボンシャフトにチェンジしたのもその一環で、高さを含めてよりボールを止めたかったというのが目的でした。ただ、いい球を打てた時はいいフィーリングなんですが、球を曲げることとか距離を落とすことに関して、そういった操作をしにくかったのでスチールに戻しました。練習ではある程度は打てるんですが、試合になると風とかライの状況に合わせて選択したショットが上手くいかなかった感じですね」



生源寺に練習について質問したことがある。生源寺の答えは「球を曲げること」だった。

「球を曲げたり、高低差を含めて遊ぶことを大事にしています。自分の頭で思った球筋を再現する。こういう球を打ちたいというのを1発で打てればいいし、打てなかったらどこが違ったのかを考える。それを繰り返してできるようになるのが練習なのかなと思っています。各番手のマックス曲げられる幅とかを試したりします。頭の中での曲がり幅と比べて半分くらいしか曲がってなかったりして(笑)。それで何が違うのかを考える。そういう作業が好きなのかもしれませんが、それが練習なのかなと」

球を操ることを大切にしている生源寺にとっていい球とは何か。単純にキレイな球筋ではない。思い通りに曲がり、飛んで、止まってくれる。それがいい球なのだ。それを追求するために、今年はシャフトを含めて様々なことにトライする心構えでいる。それが焦っていないように見える要因なのかもしれない。

日本ツアーは選手へもっとリスペクトを

常に世界に目を向けている生源寺にとって、今の国内ツアーはどのように映っているのだろうか。おそらく話しにくいことだろうがあえて聞いてみた。

「自分たちの評価ってやっぱりお金でしか表せない部分があるので、賞金を稼げるところや試合があるところを目指すのは当たり前のことかなと思います。海外の賞金は魅力だし、自分らが稼げる期間っていうのは限られていると思うし、賞金が高くなればフィールド(のレベル)も高くなるので、より競争が激しくなって自分のやりがいにもつながると思っています。海外に挑戦する姿勢は今に始まったことではないですが、海外には無理をしてでも行きたいと思っているし、それは賞金ももちろんですが、選択肢を持っておきたいという気持ちです。個人的には日本だけにこだわるのはリスクがあるかなと思っています」

よく人気が問われる昨今の男子ツアーだが、来年は新しく変化が起きる可能性がある。その問題は別として、生源寺自身はツアー自体の魅力を高めることが大事なことなのではと言う。

「海外ツアーに出て感じるのは、ツアー自体が選手をリスペクトしていることです。ホスピタリティが高くて、プロゴルファーとしての自覚を感じさせてくれる環境があります。もちろん日本ツアーもより良くなっていってほしいとは思っていますが、現状のままでは難しい部分があるかと感じています。日本だけで戦うのはリスクがあると感じているのはそういう部分もあります。ツアーで戦えなくなるということは、自分たちは職場を失うということになるわけですから」

「海外のいい点をフィードバックできれば日本も盛り上がると思う」

選手が率先してツアーのために力になろうとする。その気持ちがツアー自体のレベルの底上げになり、国内男子ツアーの人気回復のポイントになることは間違いない。ストレートな言葉を使うと、選手らがプロとして尊厳を保てない現実がある。選手らが魅力を感じるツアーを目指さなければならない。生源寺は海外に積極的に挑戦することで、海外のいい部分をフィードバックしようとしているのかもしれない。

興行である以上、選手としての魅力が必要

2023年のACNツアー(当時のABEMAツアー)で過去最高額の獲得賞金で賞金王に輝いたとき、生源寺がそれがあたかも普通かのように話す姿が印象的だった。

「これだけやっているんだから自分が勝つのは当たり前。うれしさはありますけど特に自分は驚いていません」

堂々と答える姿は、聞き手によってはビッグマウスにとられることもあるが、生源寺はプロゴルファーという生き物を演じることができる本物のプロゴルファーなのだと感じた。ゴルフが好きなのはプロゴルファーなら当たり前のこと。それ以前にプロゴルフはお客さま(ファン)商売の興行である以上、選手らの魅力が高くなければ成立しない。

プロゴルファーがプロゴルファーでいられる環境を求めて、生源寺は常に世界に目を向けている。

ボールコントロールの精度を高めるために、ゴルフを始めて17年目にして「オーバーラッピング」にグリップを変更したという

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月23日号より