「あのとき勝っていなかったら…」ミッシェル・ウィが現役生活に区切り
12歳でプロの試合に出場し、その後長きにわたり第一線で活躍してきたミッシェル・ウィ。思い出深い全米女子オープンを最後に、現役を退くことを表明した。
「試合に出てゴルフに集中すると、ほかに何もできなくなってしまう。そういう生活が怖くなったのです」
全米女子オープンは、彼女にとって14年に戴冠した唯一のメジャー。
「あのとき勝っていなかったら、今も優勝を目指してプレーを続けていたでしょう」
2002年3月の米女子ツアー・武富士クラシックで当時の最年少12歳でマンデー予選会を突破し、ツアーデビューを果たした天才少女は、13歳にしてクラフトナビスコ選手権で9位タイに入賞。長い手足から繰り出すショットは男子顔負けで、いつしか彼女は、“ビッグイージー”の異名をとるE・エルスになぞらえ、『ビッグウィージー』と呼ばれるように。さらに14歳でPGAツアーのソニーオープン・イン・ハワイに出場すると、予選通過まであと1打と迫り、世界を驚嘆させた。
しかし05年にプロ転向してからは、思った活躍ができなかった。プロ入り後、すぐにでも優勝するかと思われたが、初優勝はデビュー4年目。そして現在までメジャー1勝、ツアー通算は5勝にとどまり、19年にNBAゴールデンステートウォリアーズの幹部、ジョニー・ウエストと結婚し、出産してから出場機会を減らしていた。
現役時代を通じ、人々の過剰なほどの期待とケガに悩まされてきたウィ。13歳でメジャーの優勝争いをしたとき、コーチのD・レッドベターが「もし勝ったら騒ぎになるから、約束していた取材は受けられないかもしれない」と真剣な表情で語ったことを思い出す。
全米女子オープンには、歴代覇者として来年まで出場資格がある。来年は自宅近くのペブルビーチ開催のため、夫は「キャディをやる」と言っているそうだが、どうなるか……。
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月21日号より
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