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どっこいどっこい!? PGAツアーvsノーマン率いる新リーグ、あなたはどう思う?【山を動かす】

ゴルフにまつわるさまざまな問題に関し、読者や識者に率直な意見をぶつけてもらう連載「山を動かす」。今回のテーマは6月9日に始動する「LIVゴルフ招待シリーズ」について。グレッグ・ノーマン率いる新リーグには、リー・ウエストウッドやフィル・ミケルソンらが参加表明し話題になっているが、PGAツアーは同リーグに出場する選手に何らかの処分を下すとしており、波乱必至。識者やファンに新リーグの是非について聞いた。

プロが高い賞金を求めて試合に出るのは当然だと思います。その意味ではノーマンのLIVゴルフにPGAツアーの選手が出場したいと思うのは自然でしょうね。ところが、PGAツアーはそれに出るなら資格剥奪との姿勢。それって自由の国、米国の競争精神を毀損していませんか? 米大リーグの“賃金闘争”を見ても、選手と球団側は対等の立場だから争えるので、今回のPGAツアーのやり方はそうは見えず、選手の選択権を奪っているように思います。旗振り役のノーマンや、出場が噂されている選手らがカネの亡者だとか非難されていますが、これは僕はおかしいと思います。プロなら当たり前だろうって感じ。ノーマンはさまざまなビジネスを手がけ、もともと“お金好き”だろうし、自由市場ではそれが成功者。非難しているのはPGAツアー贔屓の人でしょうね。ツアー側は恐れているんでしょう。これまでも中東オイルマネーの単発の試合にPGAツアーの選手も出場していましたが、やはりシリーズとなると自分たちの利益が失われる危機だと思うんでしょうね。(タケ小山/解説者)

●ちょっと前にガルシアが裁定についてPGAツアーと揉めていたニュースを見たが、絶対に謝らないPGAツアー、なんか傲慢だなあと思った。そんな姿勢では反発する人が出るのも仕方ないのでは。(50代男性・東京都)

●1977年、ノーマンが初来日して「くずは国際」に勝った次の試合からキャディを務めました。そのとき印象に残っているのは「ゴルフはHC1の母親から手ほどきを受け、15歳から始め1年でシングルになった」ということ。ゴルフでも研究熱心で、その頃からマルチな才能を持っているという感じを受けました。後にクラブメーカー、ワインセラーを経営し、ゴルフ場設計などビジネスでも成功を収め巨万の富を得ています。ユダヤ系で金融関係の知識も豊富で、現在話題になっているサウジアラビア資本と関わり合いになったのも、その興味からだろうと思っています。ただ、そのゴルフツアーもやたらビッグマネーのことばかりメディアでは取り上げ、「ノーマンはカネで世界を牛耳ろうとしている」と評判が悪いですが、僕はそうは思っていません。お金ならすでにたくさん持っているし、ツアーも彼の“アジア愛”から来ていると思うからです。ノーマンは白人ながら、豪州は“アジアのくくり”と思っています。米国対国際選抜のプレジデンツカップを推奨したのもノーマンです。1998年、その大会がロイヤルメルボルンGCで開催されたときのこと。タイガー・ウッズの父親アールも来ていて、ノーマンと「近いうちにアジアの時代が来る」と話していたのを覚えています。アールの妻、つまりウッズの母親はタイ人。それからタイはゴルフ場が見る間に増え、いまや400コース、アジアのゴルフキャピタル的存在です。ともかくノーマンはアジアを中心にしたツアーを展開しようとしているんだと思います。日本ツアーもこれに乗り遅れることなく、コミットしていくほうが日本のためになるのではないでしょうか。ノーマンは友情厚い男でもあります。倉本昌弘が心臓の手術をした折、手書きの激励の手紙を僕に託しました。倉本と僕とノーマンは同い年。それをいつまでも忘れないナイスガイなんです。(ハル常住/マルチプロデューサー)

果たしてノーマンの構想は結実するのか

●私はサッカーファンで、一番好きなのは英国のプレミアリーグ。でも、日本のJリーグでは地元チームのサポーターで、試合観戦にも行きます。2つのリーグは全然別物だけど、両方いいんですよ。ファンにとっては選択肢が増えるのはウェルカムです。(40代男性・神奈川県)

●タイガーもマキロイも出ない新リーグ。ならば、思い切った選手の人選があってもいいのでは。ほかのスポーツの選手でゴルフの名手、マイケル・ジョーダンとか、水泳のマイケル・フェルプスとか。リー・ウエストウッドの相手にはならないだろうけど……。(50代男性・千葉県)

●グレッグ・ノーマンにはずっと一種の違和感を持ち続けています。米ツアーで何度も顔を合わせ、日本でも倉本昌弘とテレビマッチの司会をやったりしましたが、いつも打ち解けないというか、妙によそよそしいんです。ツアーで顔を合わせると、ほかの選手なら「やぁ」とか「ハーイ」とか声をかけ合うのですが、ノーマンはない。ほかの選手に聞いてもそんなふうなことを言います。仲間意識や連帯というような雰囲気がないというのです。独りよがりというか……。全米オープン中継がNBCからフォックスに移ったとき、解説にノーマンが起用されましたが、1年間でクビになりました。普通、そんなことは考えられないんですがね。今度の新リーグのLIVゴルフ、来月の第1戦のことを記者発表していましたが、その言葉の内容も攻撃的で自己弁護的、信がないというか、つまり“カラ自信”じゃないかと思って首をかしげています。むしろ、この件はノーマン以外の者がやったほうがスムーズにいったのではとさえ思っている次第です……。(川田太三/USGAレフェリー、テレビ解説者)

●ツアー現場で確認したところ、日本の男子ツアーの選手数名にも招待状は届いているようです。「参加する」という話は聞こえてきませんが、「出場するだけでも高額な賞金が入るので、気になっています」という声も。JGTOに確認したところ、LIVゴルフに参加しても、日本のツアー競技に出場できないということはないそうです。(小誌ツアー担当)

週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より

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