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【ゴルフに運はつきもの】Vol.20「開幕から熱い女子ツアー。シニアツアーも“厚く”て困ったもんです…」

最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。

ILLUST/Masahiro Takase

前回のお話はこちら

女子ツアーが開幕しましたね。ついこの前、3ツアーズで戦った気がしますが。

女子ツアーは開幕が早いのでシーズン終了後に体を休める時間があまりないから大変ですね。それから翌シーズンへ向けてのトレーニングや、クラブの試打や調整もおこなわなければいけないですからねえ。ほんと、大変だと思いますよ。そういう意味でも、いまの女子ツアーは体力に勝る若手が活躍しやすい環境なのかもしれません。ただ個人的には、横峯さくら選手や大西葵選手といった、出産を終えてツアー復帰した選手にも頑張ってもらいたいんですけどね。


で、開幕戦のダイキンオーキッドレディスを制したのは西郷真央選手。5打差大逆転でのツアー初優勝、おめでとうございます。まだ20歳ですか。凄いですね。とはいえ、昨シーズンは2位が7回あったわけですから、勝てなかったのが不思議なくらいでしたけどね。

私は3ツアーズで、西郷選手と直接対戦はありませんでしたが、ドライバーからパッティングまですべてが上手くて穴のない選手だという印象が強く残っています。練習場でも、完成度ではナンバーワンなのでは? と思って見ていました。昨年まで勝てなかったのは、まだ若いし精神的な部分だけだったんでしょうね。

なにせ3ツアーズでは、午後のオルタネート方式(1個のボールを2人が交互に打つ)の対戦で、稲見萌寧選手と組んで、9ホールをなんと7アンダーで回ってきましたからね。2人のいいほうのスコアを採用するベストボール方式ならいざ知らず、オルタネート方式で7アンダーなんてまず出ないですから! それだけ稲見選手と西郷選手が凄かったということなんですね。ただ午前のベストボール方式で対戦した稲見選手の調子がそんなによくは見えなかったので、西郷選手が相当凄いプレーをしたんだな、と思いましたよ。結局終わってみると、西郷選手は3ツアーズのMVPにも輝きました。もしかしたら彼女は、3ツアーズで何かをつかんだのかもしれませんね。

故障さえなければ、今シーズンの西郷選手は間違いなく賞金女王争いに絡んでくると思いますが、そうは言ってもシーズンは長いですから、調子が出ない時期も当然出てくるでしょう。昨シーズン、賞金女王になった稲見選手も、後半は腰痛に悩まされていましたしね。西郷選手も、そこをどう乗り切るのか……彼女の真価が問われるシーズンになりますね。

一方、シニアツアーは4月7日の金秀シニア沖縄オープンで開幕します。お陰様で今のところ、私が毎年冬に悩まされている背中の痛みがほとんどなく、順調なオフを過ごしています。昨オフは背中の痛みで、トレーニングはおろか、ジョギングさえもできなかったですからね。そろそろ暖かくなっていくので、ぼちぼち新しいクラブとボールの見極めをしていこうと思います。いまさらスウィングは変えられませんが……道具くらいはね(笑)。

今シーズンのシニアツアーは、今のところ昨年より2試合減の14試合が予定されています。とはいえ今シーズンも、凄い新人が続々とシニア入りするので盛り上がること間違いなし! で、誰がシニア入りするかというと……、なんと片山晋呉選手や宮本勝昌選手、横尾要選手といった世代が、今シーズン中に50歳を迎えるんですって。オーマイガー、ほんと「くわばらくわばら」ですよ。新人さ~ん、先輩は立てましょうね(笑)。

名選手が続々シニア入り。選手層の厚さは女子ツアー並みに

毎年、毎試合、ニューヒロインが現れ、選手層の厚みが増していく女子ツアー。でもシニアツアーも負けていない。今シーズン中には、新・日大三羽ガラスと呼ばれた、片山晋呉、宮本勝昌、横尾要らが早くもシニア入り。田村プロの負けられない厳しい戦いは続く

田村尚之

1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49 歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝

月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より