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首痛でプレーヤーズ棄権の松山英樹。マスターズに間に合うのか? 【PGAツアー現地レポート】

首痛の影響で、第5のメジャーと呼ばれるビッグトーナメント「ザ・プレーヤーズ選手権」を棄権した松山。マスターズまで2週間と迫るなか、果たして間に合わせることができるのか。現地記者がレポート。

PHOTO/KJR

棄権したプレーヤーズ選手権、練習場でスウィング動画を撮っている松山。首の痛みからか、いつもより練習量は少なく、フルスウィングすることも少なかった

松山英樹がプレーヤーズ選手権を棄権して、心配しているファンの方は多いと思います。マスターズまでに首の痛みは治るのか? 痛みは直ったとしても調子のいい状態に戻すことができるのか? 何を隠そう、私も彼の状態を心配しているひとのうちの一人。今回は、アメリカに1か月近く滞在し、PGAツアーを取材するのですが、その大きな目的が「松山英樹のマスターズ連覇に向けての道のり」を近くで見ることですからね。マスターズまでひと月もない中での試合欠場というのは、ちょっと想定外でした。しかもスウィングに影響のある、首から肩甲骨周りの辺りを痛めたといいます。棄権したプレーヤーズ選手権の試合前の練習では、バックスウィングでトップに入る前に顔をしかめていましたから、不安は募りますよね。でも本人がいちばん辛いと思います。

3月初旬に、首から肩甲骨周りにかけてを痛めた松山。練習中、時折、首の辺りをさする姿を見かけた

「ショットの状態は悪くないと思います。でも、首がうまく治って、フルスウィングできるようになったら曲がるかもしれないんで、なんとも言えないです。まあもうマスターズが近いんで、そういうこと(抑えて打つなど)したくないんですけどね。でも、試合は嫌でもやってきますし、体調もそこまでよくできないのなら仕方ないという気持ちもあります」(松山)

こちらのコメントは、アーノルド・パーマー招待を終えた直後。怪我でうまくクラブを振れないことに対して、本人の歯がゆさが伝わってきますよね。ただ、棄権したプレーヤーズに関しては、悪天候で連日サスペンデッドが続き、風速も20㎧近くある日もありました。気温も下がっていたので、痛めている首のことを考えると、棄権してよかったのではという声もあります。自宅のある暖かいオーランドで、順調に回復していることを祈るばかりですね。

首痛で振れないがショットの調子はいい

昨年から引き続き、ショットの調子は上々。ただ、首のケガに一抹の不安が。「ショットは悪くないと思いますが、首がうまく治ってフルスウィングできたら曲がるかもしれない」と松山

アプローチは「調子が悪い」

ショットとアプローチのバランスが悪くなったことから、「グリーン周りはいま調子が悪い」(松山)と、珍しくアプローチに不安を感じている。ウェッジのソールの削り違いを何本も試している

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月5日号より

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  • 2021年のマスターズで松山に惜しくも敗れ、東京五輪ではその借りを返すかのごとく金メダルに輝いた。日本育ちの台湾人の母親とドイツとフランスのハーフの父親の間に生まれ、実は本人以外、家族全員が日本語を話せるという、おそらくPGAツアーいちの日本びいき。そんなちょっと不思議なアメリカ人プレーヤーが、メジャーのこと、日本のこと、松山のこと、いろいろと話してくれた。 取材・撮影/田邉安啓 ザンダー・シャウフェレPGAツアー4勝。1993年生まれの28歳。アメリカ代表として出場した東京五輪で金メダルに輝いた GD これまでPGAツアーで4勝して、昨年は東京五輪で金メダルも獲りました。次の目標は、いよいよメジャーですね。シャウフェレ そうですね。マスターズは同じコースですし、全米オープンはボストン近郊のブルックライン(ザ・カントリークラブ)、全米アマでプレーしたコースです。全英オープンはゴルフの聖地セントアンドリュースですね。実はまだ1度もプレーしたことがないんですけど、現地に行ったことはあります。カーヌスティの大会の後、セントアンドリュースまで行って、何ホールか歩いてみました。全米プロはオクラホマのサザンヒルズですね。あそこは、ジュニアの試合で行く予定だったんですが、大会が中止になったので、プレー経験はゼロです。マスターズと全英オープンは伝統的なコース、全米オープンと全米プロは長くてタフなコースでプレーするということになりますね。GD 勝つチャンスが高いのはどのメジャーでしょうか?シャウフェレ 数字だけ見れば、マスターズがこれまでいちばんいい成績なんです。全英オープンでも2位タイになっていますし、全米オープンもそれほど悪くはありません。全米プロだけはあまりいい記憶はありませんが……。マスターズは何度か優勝争いをしているので、チャンスがあるかもしれませんね。GD マスターズと相性がいい理由はなんでしょうか?シャウフェレ 自分のゲームプランにマッチしているのだと思います。ティーショットの精度、コースマネジメント、そして、パッティングが重要なことです。何度かいいプレーができたことで「やればできる!」と思い込めるのも大きな理由かも(笑)。GD マスターズで勝つには何が必要だと思いますか?シャウフェレ どの大会でも同じですが、たった1ストロークが勝敗を分けるんです。だから、いまやっていることをやり続けるだけです。何かを変えようとは考えていません。いままで、このプレースタイルを貫いて、優勝してきたわけですから。GD ツアーのデータを見ると、年々、飛距離アップしていますが、自分では飛ぶようになったという実感はありますか?シャウフェレ 今年のニューモデルのドライバーがとても調子よく振れるので、そのぶん飛んでいるのかなとは思っています。GD スウィングで何か取り組んでいることはありますか? この記事は有料会員限定です続きを読むには有料登録が必要です シャウフェレ つねに何か取り組んでいますね(笑)。アプローチなどはいつもいろいろと試してみてはいますが、スウィングにおいて何かを変えると他の部分に影響が出てしまうので変えることは難しいんです。けっこうトリッキーなんですよ。GD 昨シーズンのデータを見ると、ストローク・ゲインド・パット(パットの選手平均値に対して、何打優れているかを示す)の数値がいいですね。シャウフェレ パッティングはここ最近とても安定しています。グリーン形状や芝の違いに対応できていて、好不調の波を小さく抑えられていることが成績にも表れています。たとえば、スクランブル率(パーセーブ率)は、いい年と悪い年が交互に来るような波がありました。でも昨年は、アプローチが過去最高によかったと思います。そんな好不調の波のいい波がハマれば、今年はもっと勝てると思います。“トリガースタット(Trigger Stat=キーになる統計)”がよければ勝てる、という言い方をするんですが、僕の場合はアプローチがよければ勝てるんです。 (左)フェニックスオープン初日12番のバンカーショット。「アプローチがいいときはいいゴルフができている」という言葉どおり、このホールも難なくパーをセーブ。シャウフェレのサンドセーブ率は高く、今シーズンも72.73%でツアー全体の2位/(右)フェニックスオープン最終日。「パッティングは、僕のゴルフのなかでもっとも安定しているもの」と言うシャウフェレだが、この日ばかりは惜しいパットを決め切れず、1ストローク足りず、3位タイでフィニッシュ ヒデキは無敵のプレーヤーになるかもしれない GD なるほど。統計や数字だけで見れば、松山プロのパッテングはパーフェクトとは言えませんがマスターズに勝てた。何が勝敗を左右したと思いますか?シャウフェレ 昨年のマスターズの週だけ見れば、ヒデキのパッティングは最高でした。さらにスクランブリングもとてもよかったですし、ボギーもほとんど打たなかった。そしてバーディをたくさん取った。それに、ヒデキのパッティングは決して悪いわけではない。今年のソニーオープンのプレーを見れば一目瞭然です。彼のキャリアで、もっともパッティング率がよかった週だったのではないでしょうか。だからこそ勝てたんです。パットが入れば、ヒデキはすぐ優勝ですよ。トリガースタットは、僕でいえばスクランブリング、ヒデキの場合はパット。トリガースタットがいい週は、勝つチャンスがやってくるんです。GD 松山プロのことを、選手として、友人としてどのように思っていますか?シャウフェレ 大変なリスペクトを持って見ています。ヒデキほどよく練習する選手は他にいませんし、彼のチームはいい人ばかり。キャディのショータも友だちです。おもしろいヤツですしね。この2〜3年のヒデキのプレーは決して最高のものではなかったけど、いまはもうそうじゃない。マスターズで勝ち、ZOZOで勝ち、ソニーで勝った。いわゆる、あまり調子のよくない時期=“オフイヤー(Off Year)”のときにどれだけ努力していたかが、いま報われているのだと思います。そして、いまの“無敵”が本来のヒデキの姿。元々ヒデキはそのポテンシャルを持っていたんだと思います。 セントリートーナメントの2日目、9番のティーショットを終えて、松山と並んで歩き出すシャウフェレ。「ヒデキはパットが入ればいつでも勝てる男」と絶賛する。4月のマスターズではまた2人の激闘が見られるだろうか 日本にいるおじいちゃんと鰻の名店に行ったことがあるんだ GD あなたのお母さんは台湾生まれの日本育ちで、日本語を流暢に話す。お父さんはドイツ系で日本語を少し話す。母方の祖父母は日本に住んでいる。それであなた自身はアメリカ人。このようなバックグラウンドが、プロキャリアや人生にどんな影響を与えていますか?シャウフェレ とても国際的だと思っています。ときどきややこしくも思いますけどね(笑)。母は台湾生まれですが、育ったのは日本なので、むしろ日本人っぽいですね。僕は台湾にも行ってますが、台湾よりも日本に行った回数のほうが多いんです。GD ご自身のなかに日本人的な要素を感じることは?シャウフェレ 簡単に答えられる質問ではないんですが、私自身は家族のなかでただ一人アメリカで生まれ育ったんです。生まれてからずっと何らかの形で日本の文化に触れてきたわけですから、日本の文化は一般のアメリカ人より理解しているとは思います。日本人的な部分があるかと問われるとそれは疑問ですし、日本語は5%もわかりません。でも他のPGAの選手よりは日本に慣れ親しんでいることだけは確かですね。GD 好きな日本食はなんですか? シャウフェレ スシもサシミも好きですし、ウナギも好き。おじいちゃんがウナギの名店に連れて行ってくれるというので、1時間半も列に並んで食べたこともあります。トンカツ店にもラーメン店にもうどんのお店にも行ったことがありますね。(食べ物の名前はすべて日本語)。沖縄で食べたうどん、オキナワソバでしたっけ? あれもおいしかったです。妻が沖縄出身なんです。ハーフですね。沖縄にいる妻の両親にも会いに行きました。だから、いろんなオキナワソバを食べてますよ(笑)。日本人が普通に思い浮かべる食べ物はだいたい食べてますね。アメリカで“スシ”って言うと、アメリカ人は1種類だと思いますが、私はスシに何十ものネタがあることを知ってますよ。 (左)電話中にカメラマンを見つけると、手を振ってくる人懐っこさが人気の秘密。「日本はおじいちゃんとおばあちゃんがいる大好きな国だ。みんな、ヒデキだけじゃなく、僕のことも応援してくれよ」/(右)フェニックスオープンのプロアマ終了後、大勢並んだちびっこファンにサインするシャウフェレ。サインだけではなく、求められるままに写真にもニッコリ笑顔で収まるとは、さすがファン想い 週刊ゴルフダイジェスト2022年3月8日号より こちらもチェック!
  • ピンチの場面でも、いとも簡単に寄せてくる松山英樹のアプローチ。その凄さの秘密に迫ってみた。 TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara THANKS/ハイランドセンター どんな状況でも打ち方が同じ 松山英樹のアプローチには我々だけでなく、ライバルのプロたちも何度も驚かされてきたが、なかでもいちばんそのテクニックに驚嘆したのが大学の後輩・金谷拓実だ。二人はよく一緒に練習ラウンドをしているが、先輩の技術を間近で見ているからこそ、そのアプローチの距離感の出し方にいつも舌を巻いているという。「松山さんって、ラフでもフェアウェイでもバンカーでも、いつでもオーソドックスな打ち方で、ちゃんと距離感を出してくるんですよね。難しい打ち方をせずに、高い球も低い球も出しますし、それを小手先の技術でやらないのが凄いなぁって思います」と金谷。プロのレベルでも、やはり難しいライなどは、手先を使って寄せがちだが、松山の挙動にはそれが一切ないというのだ。「例えば逆目だったり、剛ラフだったり、ハワイの絡みつくような芝だったり、嫌なライってあると思うんですよね。僕はどうしてもいつもと違う打ち方になっちゃう。でも松山さんはどんな場面でも同じ打ち方で距離感を出してくるんです。以前、『いろんなライからどう距離感出しているんですか』って聞いたことあるんですけど、『大学生のうちはそんな変な打ち方しなくていいから大丈夫』ってかわされちゃいました(笑)」(金谷) 金谷が言うように、松山が手先を使ってヘッドを走らせたり、小手先で打つシーンを見せたことがない。どんな場面でも、いつも同じように打つのが特徴 金谷が感じた松山のアプローチの凄さについて、松山をよく知る内藤雄士コーチに詳しく聞いてみると「金谷くんが言うように、松山選手は鈍感な感じで打つのが上手いですよね。同じフォームで、体の大きい筋肉をグー、グーッと動かして打つ。決して手首を使ってチョンとは打たないですよね。僕らの時代はチョンとかキュンとか小手先で器用にできる選手がアプローチ上手とされていたけど、今はそういうのは少数派ですよね。ライが薄いとかボールが沈んでいるとかだと力が入るし、打ち急ぎたくなって当てに行ったりするけど、同じフォームで打てれば、いい意味で鈍感になれる。毎回同じスピード、当て方ができれば、当然距離感もついてくると思います」(内藤) では、具体的にどのようにして打っているのか>>松山英樹のアプローチ研究<後編>につづく 週刊ゴルフダイジェスト2022年3月1日号より こちらもチェック!
  • 若手からベテランまで、役者が揃い、今年も熱戦が予想される男子の海外メジャー。そこでPGAツアー事情に詳しい、佐藤信人、杉澤伸章、内藤雄士、進藤大典の4人がどこよりも早くメジャーの戦いを予想。まずは4月のマスターズから!TEXT/Kenji Oba PHOTO/Taku Miyamoto、Tadashi Anezaki、Akira Kato マスターズオーガスタナショナルGC/4月7日(木)~10日(日) ――21年は松山英樹選手がグリーンジャケットに袖を通すという、日本人にとっては本当にうれしい大会になりました。松山選手の連覇に期待したいのですが……。 杉澤 16、17年のフェニックスオープンでも連覇は経験しているし、なによりオーガスタとの相性はタイガー並み。可能性は十分あるでしょう。佐藤 21年は前週のテキサスオープンで調子も悪く、イライラするようなところもあって、それがかえって期待値と自分自身へのハードルを下げ、それがいい結果につながったとの指摘もあります。杉澤 流れによって期待がプレッシャーとなるかエネルギーになるかは分かりませんが、僕が思うにメジャーでは最終日より初日の迎え方が大事だと思います。この辺は大ちゃん(進藤)のほうが詳しいと思うけど、松山選手のその辺をどう見ていますか?進藤 メジャーでは嫌でも気合いが入ります。これは“裏方あるある”ですが、「頑張ろうぜ!」なんて声をかけるのは野暮中の野暮(笑)。英樹はマスターズでの優勝以降、メジャーに余裕をもって臨んでいるように感じているんです。英樹自身の変化だけでなく、優勝の経験が「チーム松山」を大きく成長させているとも思うんですね。内藤 年末に金谷(拓実)くんが世界ランク50位に滑り込み、出場権を獲得しました。そこにアジアパシフィックアマで勝った中島啓太くん。日本人が活躍するとめっぽう強いのも松山選手なので、2人の活躍にも期待したいですよね。 続きを読む 佐藤 中島くんの場合、マスターズのほか、全米、全英オープンの出場権もあるわけでしょ。同年のメジャー3大会のローアマも可能性があるんじゃないのかな。内藤 日本人選手以外に目を向けると、そろそろ来そうだと感じるのがザンダー・シャウフェレかな。21年は最後まで優勝争いを演じ、勝ちたかっただろうし。そのリベンジか東京五輪では見事、金メダルにも輝きました。佐藤 まだマスターズチャンピオンを出していない国の選手は、松山選手の優勝に大きな影響を受けたんじゃないでしょうか。たとえばノルウェーのビクトール・ホブランとか、チリのホアキン・ニーマンとか。韓国ではY・E・ヤンが全米プロで勝っていますが、イム・ソンジェにも十分チャンスはあるでしょう。進藤 個人的にはジョーダン・スピースやブライソン・デシャンボーあたりが来るのかなあ、と思います。杉澤 あくまでも僕の願望ですけど、松山選手が誰にグリーンジャケットを着せるのか。その観点からいうとパトリック・カントレーなんかどうですか? 松山選手とは同じ歳、11年に松山選手がローアマ獲得、その翌年に松山選手を抑えてローアマになったのがカントレー。そうなったらドラマじゃないですか?佐藤 なるほどねぇ。グリーンジャケットもそうだけど、松山選手の用意するチャンピオンズディナーも気になります。松山選手の第二の故郷、仙台の牛タンとか出したら良さそうだけど、どうもタイガーは牛タンは嫌いらしい(笑)。進藤 確かジェイソン・デイも食べなかった気がします(笑)。 史上3人目の連覇達成なるか⁉ 86回目を迎えるマスターズだが、連覇を達成したのは65、66年のジャック・ニクラスと01、02年のタイガー・ウッズのみ 佐藤 あと願望で言わせてもらえば、ローリー・マキロイのキャリアグランドスラム。ゴルフ界がどんな熱狂に包まれるのかを肌で感じてみたい。マキロイは涙のたびに強くなる選手で、19年に母国のロイヤルポートラッシュの全英オープンでまさかの予選落ち。涙、涙の記者会見でした。しかし翌年は2勝を挙げて、フェデックスランク1位になりました。そして21年はライダーカップで負けて涙を見せて、10月のザ・CJカップで優勝しています。内藤 なるほど。ただ、ライダーカップから時間が空きすぎているので、その間にあと2勝は欲しいかな。体力的にもプレッシャーも年々大きくなって難しくなるだろうし、ここ2~3年が勝負になるでしょうね。佐藤 マスターズは優勝すると、毎年いつでも戻ってくることのできる大会です。たとえ現役を引退したとしても、あのパー3コンテストの輪のなかには、マキロイは絶対にいてほしいし、いるべき選手だと思います。個人的にはアーニー・エルスがいないのにも違和感があるし、寂しさもあります。それだけに絶対に勝ってほしい選手です。杉澤 コリン・モリカワもマスターズに勝つと、こちらもグランドスラムにリーチになるんですよね。もしかすると、そのあとに全米オープンにも勝って……、なんてとんでもないことも起こるかもしれません。あとで話が出ると思いますが、ショットの精度はもとより、彼の頭のよさは、メジャーで勝つ絶対条件だと思います。 佐藤信人 高校卒業後米国に渡り、ネバタ州立大ゴルフ部で活躍。帰国後プロテストを受験して合格。02年日本ツアー選手権などメジャー3勝、通算9勝。18年からJGTOの広報理事を務める 杉澤伸章 横田真一の専属キャディとしてキャリアをスタートさせ、02年から丸山茂樹の専属キャディとして渡米。現在は若手育成やゴルフ人口増加のために講演会やテレビ解説など多方面で活躍中 内藤雄士 日本大学ゴルフ部在籍中に米国ゴルフ留学し、最新ゴルフ理論を学ぶ。丸山茂樹のコーチとして海外も経験。現在も多くのプロをサポートしながら、ツアー中継の解説などメディアでも活躍 進藤大典 東北福祉大学では宮里優作や岩田寛と同期。宮里、谷原秀人の専属キャディとして活躍した後、13年からは松山英樹の専属キャディとして国内外を転戦。現在はメディアでも活躍する 週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より
  • マスターズ優勝後、7月にコロナ感染、病み上がりで出場した東京五輪でメダル争い。そして10月のZOZOチャンピオンシップでツアー7勝目を挙げるなど、激動の1年間を走り抜けた松山英樹。まもなく30歳になる彼は、いま何を考え、そしてどこに向かっているのか? 心の内をじっくりと語ってもらった。 PHOTO/Takanori Miki、Taku Miyamoto 松山英樹1992年2月25日生まれの29歳。2010年のアジアアマで優勝し、11年のマスターズでローアマに輝く。13年にプロ転向し、国内ツアー賞金王に。14年から米ツアーに本格参戦し、メモリアルトーナメントで初優勝。21年のマスターズで日本人初のメジャー制覇を遂げ、同年10月、日本開催のZOZOチャンピオンシップを制して、米ツアー7勝目を挙げた 「ああ、もう勝てないのかな」正直そう思っていました GD 2017年以降、4年近く勝利がないなかで、4月のマスターズで悲願のメジャー優勝、そして10月にZOZOチャンピオンシップでも優勝し、ツアー7勝目を挙げました。いろんなことがあった1年だったと思いますが、それまで勝てなかった日々を振り返ってみて、いまどんな心境ですか?松山 勝てない時期の最初の1、2年は正直「まあ勝てるだろう」って高をくくっていて、楽観的に考えていました。でも19年、20年になってもなかなか思うような成績が出なくて、コロナ禍になる前、2週連続トップ10に入ったのに(20年3月)、そこで勝てなかった時点で、「あぁ、もう勝てなくなるのかな」と思っている自分がいました。それはコロナ中断明けの試合でも続いて、BMW選手権(20年8月)で上位争いしましたが、そのときも優勝争いをしている感覚はあまりなかった。必死につないで、つないで、なんとか優勝争いしている状態で、ただそこにいるお客さんのような感じでした。GD その「勝てない感覚」に、いつ変化が訪れたのですか?松山 ヒューストンオープン(20年11月)で2位になったときに、「まだ気持ち的に争っている」というのを久しぶりに体感しました。まだ勝てる可能性があるなと。でもその後21年になっても、状態が悪くないのに予選も落ちるし、トップ10にも入れないのが続いて、「なんでだろう」ってすごく考えていました。GD 4月のマスターズ前にそこに変化が訪れたということですか? この記事は有料会員限定です続きを読むには有料登録が必要です 松山 そうですね。オーガスタに入って、前の週にやっていたことと、その前の週にやっていたことがすごくマッチしたんです。オーガスタで練習をしていくなかで、頭の中がすごくクリアになってきて、自分への期待度もどんどん上がっていたんです。「勝てるかもしれない、勝てなくても絶対に上位にいる、優勝は争える」って。いつもなら練習ラウンドも1.5や2ラウンドはするんですが、試合前日も練習ラウンドはしないで練習だけで終わりにしたんです。コースも知っているし、自分の状態を上げることに専念しようって思いました。それが結果的に良かったですね。 オーガスタに移動した瞬間全部がつながった GD 優勝を狙えると思えるようになったのは、スウィングが安定してきたということですか?松山 そうですね、考えることが少なくなったというのがいちばん大きいですね。今までだったらスウィングのことを考えるだけでなく、そこにプラスして球筋を考えていたんですが、あの週は考えることが本当に少なくなっていました。GD 具体的にどのぐらいクリアになっていたんですか。松山 昨年から目澤さん( コーチ)と一緒にやり始めて、目澤さんの言っていることもすごくよくわかりますし、そこに取り組んできたんですけど、一方で自分をなくしている部分もあるのかなとも思っていたんです。それが何の拍子かわからないですが、マスターズ前週のテキサスオープンで時間をかけて練習をしていたら、なんかいい感じだなというのを見つけて。その試合はダメでしたけど、オーガスタに移動した瞬間に、「ああ、だからこうなるんだ」とパターまで含めて全部がつながっていく感じがあったんです。だから、「あ、戦えるな」って。GD 目澤さんが話すようなGC4(弾道解析器)などで測っているデータと、スウィングがマッチしてきたということですか?松山 そうですね。取り組んできたことと自分がやっていることがすごくハマったというか。頭で考えていることを体でうまく表現できるようになって、クラブを上手く扱えるようになったんです。 GD そうなると、マスターズの4日間は、スウィングをシンプルに考えていたということですか?松山 そうですね、けっこうシンプルでした。クラブを上げるときは、ここ(テークバック)とリズムだけという感じでした。意識していたとしても、1カ所、2カ所……、あっても3カ所ぐらい。GD ちなみに普段はどれぐらい考えているんですか?松山 んー、何個かな。アドレスだけで多分4つぐらいある(笑)。GD そんなにあるんですか。松山 まぁでも、それがどんどん減っていけばいくほどやっぱり調子が良くなるんです。考えることが1、2個だったら、すごくシンプルですから、それは調子がいいって発言になると思います。なかなかそういうふうにはならないですけどね。GD ZOZOチャンピオンシップのときは、調子が良くないと言っていましたが、そのときは考えることがいっぱいあったと。松山 いっぱいありましたね(笑)。でも、考えることがあるなかでも、最終日に向けて徐々に減りつつあったかなとは思います。 「良かった、腹が立つんだ」 GD マスターズに勝って、自分の中で心境は変わりましたか?松山 うーん、どうですかね。変わったと言えば変わったかな。3週間クラブ握らないとか今までなかったですからね。今回もZOZOで優勝してからまだ1回もクラブ触っていないですし、そういうことが平気でできるようになっています(取材はZOZOから2週間後)。GD それはプラスなことですか?松山 絶対マイナスでしょ。体を休めるには必要な時期だと思っていますが、でもさすがにちょっとやばいかなと。GD 目標だったメジャー優勝を遂げて、燃え尽きてしまったような感覚はありますか?松山 そうなるんじゃないかと、自分でも心配していました。でも、マスターズ優勝後、最初に出場した試合で(AT&T)、結果が出なくて腹立っている自分がいて、「ああ良かった、自分は変わってなかった、腹が立つんだ。やっぱりゴルフが好きなんだ」と思ったんです。そこで「勝ったからいいや」って思うようだったら多分ゴルフをやらなくなっていたはず。でも本当に腹が立って、イライラしながら練習もしていたし、その姿を客観的に考えて、「ああ良かった」と思いました。GD それまで「メジャー優勝」だった目標は、その後どう変わりましたか?松山 ツアー6勝目をマスターズで挙げて、ZOZOで7勝目も挙げたので、K・J(チョイ)さんに並ぶ8勝目を挙げることが、いまは一番近い目標だと思っています。丸山(茂樹)さんが持つツアー3勝という数字を抜いたときに、「早くK・Jさんの数字を抜けよ」って言われていたので、すごく意識していました。無理じゃないかと思うこともありましたが、あと1勝で並ぶところまできたので、それを早く遂げたいなと。 GD 22年はマスターズのV2もありますが、どんな戦い方を考えていますか。松山 早いうちにもう1勝して、シーズンを楽にプレーしたいですね。もちろんオーガスタでもう一回勝ちたいですし、それに向けてどういうスケジュールを組むか考えなきゃいけないと思っています。GD マスターズに向けてピークを作っていくと。松山 毎試合、山のてっぺんだったらいいんですけど、「ピークから下がったときどこにいるか」がすごく大事なので、そこの基準が上がれば、調子が悪くてもパーッと勝てるかもしれないと思っています。GD マスターズの勝算は?松山 正直ないですね。そこはコンディション次第で、すごく変わると思っています。それこそ一昨年のマスターズ(20年11月)みたいに20アンダー出るセッティングだと、僕にとってはしんどい。10アンダーから15アンダーぐらいのセッティングだったら勝負できるかなと思っています。13番ホールは距離が延びると思うし、天気次第でスコアがどれぐらい伸びなくなるかも変わりますからね。でも、たとえどんな天候だとしても、20アンダーの世界になったとしても、そこについていけるようなプレーはしたいと思っています。 週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より こちらもチェック!