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「信じられないぐらい体が硬い!」稲見萌寧の新トレーナーが指摘した2022年の課題

個人スポーツのゴルフだが、過酷なシーズンを戦い抜くうえで、今やコーチやトレーナーといった「チーム」の存在は欠かせない。昨シーズン賞金女王に輝いた稲見萌寧を支えるべく、今季から新たに1人のトレーナーがチームに加わった。新トレーナーが稲見の課題として掲げたテーマとは?

PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa ILLUST/Takanori Ogura

昨シーズンを振り返って「いろいろあったシーズンでした。9勝を挙げられたのはよかったのですが、一番印象に残っているのは腰をケガしてしまったことです」と語った稲見萌寧。

「昨年10月のマスターズGCレディス最終日に腰が痛くて棄権してしまいました。もし最後までやり切れていたら、賞金女王以外にもメルセデスランキングなど、他の記録でも1位になれる可能性があったのでもったいないことをしてしまったという後悔と、大事なときにケガをしてしまったことへの反省があります」

昨年の経験を踏まえ、1月から新トレーナー澤木弘之氏を迎え、新チームでスタートを切った。今の課題について、澤木氏は次のように語る。

「課題は上半身の柔軟性です。彼女を最初に見たとき、アスリートでは考えられないくらい体が硬かった。体が硬いと捻転が上手くできないため、無理に腰で体を回そうとしてしまいます。これが腰痛の大きな原因です。なので、まずは上半身。特に肩甲骨周りの可動域や筋肉の柔軟性をアップさせて無理のないスウィングをできるようにケアに当たっています。そうすれば自然と捻転も深くなり、安定性も増すはずです」

新加入の澤木氏に加え、昨年同様技術のスペシャリスト奥嶋誠昭コーチと体のスペシャリスト平野洋平氏が賞金女王を支える。さらにパワーアップした稲見萌寧が見られそうだ。

「ケア」のスペシャリスト
澤木弘之

社会人野球選手などの施術を行うスポーツトレーナー。今年から稲見の専属に

新トレーナーとの出会いは突然に…

「アスリートでは考えられない体の硬さでした」

腰のケガの原因は体の硬さにあるという澤木氏。まずは柔軟性を高めることが第一目標だという

【ケアPoint 1】肩甲骨周り
肩甲骨周りの可動域が少なく、余計な力が入りやすかった。可動域を増やすことで体に負担が少ないスウィングを手に入れられる
【ケアPoint 2】腰の痛み
体の柔軟性がないことから、スウィング中、無理に腰を回していたことで、重症化していた。現在は、腰の痛みを和らげ、柔軟性のアップが目標

「技術」のスペシャリスト
奥嶋誠昭

技術担当。アメリカの最先端理論を踏まえつつ、稲見のスウィングを整える

技術面の課題
100Y以内の精度に磨きをかける

奥嶋コーチとの間で決まった課題が100ヤード以内の精度。どんな位置からでも寄せる引き出しの多さを作ることが課題

始動はできるだけインに上げる

クラブが鋭角に下りるクセがあるため、始動からできるだけインサイドに引く練習を繰り返す

「フィジカル」のスペシャリスト
平野洋平

21年から稲見を見始める。自らのキックボクシングの経験を生かし指導を行う

フィジカル面の課題
365日体格キープ

体重増&キレの強化
増量とともに体のキレのアップを行う。体を重くするだけでは、パフォーマンスは上がらない。食事改善と筋トレによる体重増加を目指す。特に長いシーズンでの体重キープが課題となる

名コーチから「卒業」する選手も

男子に比べ、コーチをつけることが多い女子選手だが、心機一転、コーチから離れる決意をした選手も

「自分で考えることで成長できると思ったんです」(三ヶ島かな)

昨シーズンは渋野日向子を育てた青木翔コーチに師事していた三ヶ島かな。最終戦リコーカップの優勝で卒業を決意。「昨年はイチから基本を学び直させてもらいました。そのおかげで優勝もできました。次は自分で考えることで成長したいと思い、ひとり立ちを選択しました」

小祝さくらは「チーム辻村」から卒業

上田桃子など多くのトップ選手を指導する辻村明志のもとで腕を磨き、成績を残し続けていた小祝さくら。今シーズン、チーム辻村を卒業することを決意した

月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より

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