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【名手の名言】デビッド・レッドベター「日本人のアイアンが下手な原因は、練習マット、高麗芝、そして飛距離重視主義」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、多くのメジャーチャンピオンを輩出し、世界一のゴルフコーチと名高いデイビッド・レッドベターの言葉をご紹介!

日本人はなぜアイアンが下手なのか

レッドベターといえば、“プロを教えるプロ”、いわゆるプロコーチを職業にした初めての人物。多くのメジャーチャンピオンを育てたその教えは現在も受け継がれ、全世界でアカデミーを構えるほど。まさに世界一のゴルフコーチである。

そのレッドベターが1997年に来日し、『週刊ゴルフダイジェスト』誌に、日本ツアー選手たちを分析して発したのがこの言葉。「日本人のアイアンが下手な原因は、練習マット、高麗芝、そして飛距離重視主義にあると思います」

この「言葉」のなかで、前者ふたつは従来いわれてきたことだ。練習マットではソールが滑ってくれ、多少ダフっても打てるので、ダウンブローに打つスキルが身につかない。そして日本のゴルフ場に多い高麗芝はボールを浮かせてくれるので、楽に打っていける。

欧米のベント芝はボールが沈んでしまうために、ボールを持ち上げるパワーと、高度なスキルが必要というわけだ。ただしこれらは日本という環境によるものでもある。

3つ目の理由、「飛距離重視主義」については、スウィング・アナリストのレッドベターらしい見解に満ちている。日本人はドライバー最優先主義で、「飛ばすこと」のアドバンテージばかり考えている。だから身長の割には飛ばし屋が多いと分析したあとで、以下のように疑問符をつけた。

「でもコースにはパー5が4つしかありません。残りの14ホールは、アイアンでグリーンに乗せるのが勝負。遠くに飛ばすより、コントロールや確率の高いショットのほうが大切なのではないでしょうか」

そして、多くの人がドライバーショット中心のスウィングになっていて、他のショットもその要領・スタイルで打っている。そのために、具体的にいうとスパインアングル(背骨の角度)が安定しないと論じた。

「アイアンコントロールと、強いモチベーションが持てれば、いずれはメジャーチャンピオンも生まれます」と結んだレッドベター。その言葉通り、全英女子オープンで渋野日向子が、全米女子オープンで笹生優花が、そしてマスターズで松山英樹が優勝し、世界で活躍する日本人が育っている。

現に新しいクラブが出るたびに「前モデルよりも飛ぶ!」「飛距離アップ」といった謳い文句がお決まりになり、それが魅力的に見えるのも確かだ。しかし、ドライバーを使うのは多くて14回。レッドベターが話した通り、我々アマチュアもいま一度「飛距離重視主義」を見直す必要があるかもしれない。

■デビッドレッドベター(1952年~)

英国に生まれ、59年ジンバブエに移住。11歳でゴルフを始め、69年にプロ転向。南アフリカツアー参戦のあと、英国に帰国。79年米国に移住。82年フロリダにゴルフスクールを開校し、ニック・プライスの専属コーチとなる。その後、ニック・ファルド、アーニー・エルス、パク・セリ、近くはミッシェル・ウィ、リディア・コーなどのコーチとして、数々のメジャータイトルを奪取。「世界一のティーチングプロ」として名声を博した。現在では全世界で35校以上のアカデミーを抱える。日本校は1996年に設立。著書の『ザ・アスレチックスウィング』はゴルフ書としては異例のベストセラーになった。

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