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「有料だけにしたらファンが減るだけ」GMOが女子ツアーのスポンサードを辞退したワケ

22年女子ツアーから実施される放映権を巡ってまだ一波乱ありそうだ。

JLPGAは、2017年よりツアーにおける放映権の帰属について各主催者側との交渉に着手。そして今年、22年度同ツアー公認競技におけるすべての大会主催者との間で、放映権を同協会に帰属させることに合意したという。

同協会はその旨を10月末に各主催者へ通達。これに反応したのは、「GMOインターネット・レディース」のスポンサーであるIT大手、GMOインターネットグループの代表、熊谷正寿氏。ツイッターで「有料のインターネット放送のために数億円の主催者コストを負担できません。有料放送だけなら主催者を降ります」とつづり、その3日後、正式に辞退を表明したのだ。

昨年の同大会ではYouTubeで無料配信し、300万PVを超す反響があったという。「若者はテレビを持っていない。見ない。インターネットの無料を禁止し、有料だけにしたらファンが減るだけ」「JLPGAが有料放送事業者へ権利を売り、収益を上げたいという気持ちはわかるけど、無料放送=収益がないという考えが古い。YouTuberたちを見てください。広告収益で十分出せるはず」(いずれも原文ママ)

この問題について、TV解説者のタケ小山氏は次のように述べる。「今回はJLPGAに理があると考えます。例外を認めると根本にある放映権帰属の問題が危うくなります。YouTubeで収益をあげるといっても、選手たちの肖像権は決して“タダ”ではありません。米国ツアーでは選手たちの承諾・誓約をとって配信しています。これもやはり米国男女ツアーのように、スポンサーはタイトルのみとして、ツアーでの“ルール”は協会に従うべき。タイトルスポンサーとして魅力がないと思ったら降りるしかないでしょう」

各主催からの表の声はまだ届いていないが、この問題、どう帰結するのか注目される。

写真は2021年GMOインターネット・レディース(PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より

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  • ゴルフにまつわるさまざまな問題に関し、読者や識者に率直な意見をぶつけてもらう連載「山を動かす」。今回のテーマは来季の女子ツアーについて。2021年も女子ツアーは大盛況。最後までドキドキハラハラの賞金女王争い、東京五輪での稲見萌寧の銀メダル、米女子ツアーでも畑岡が2勝、古江彩佳と渋野日向子がQTを突破するなど、話題に事欠かない。2022年、あなたの考える“見どころ”とは? ●JLPGAは約5年かけて勝ち取ったネット配信の放映権を地上波にも広げてほしい。幸い有力なスポンサーであるアース・モンダミン、ニトリが後押ししてくれているのはありがたいことでしょう。スポンサー企業はCM料をテレビ局に払い、テレビ局は放映権料をLPGAに払い、LPGAは大会を充実させ、サービスし、スポンサーに喜んでもらう。これこそ地上波を放映するための健全な姿。これを確立するための努力を期待します。あとは苦言。なぜプロテスト合格選手を20位までと限定したのでしょう。企業では人材を幅広く求めるのが常道です。プロスポーツで人材をリミットしてどうするの! 来年から古江としぶこが抜けるというのに、下から突き上げてくる層を薄くしたら将来が危うい。一方、米女子ツアーはまだ繁栄します。試合数もふくらみ、賞金増がすごい。5大メジャーの合計賞金額90億円ですよ。一時期、韓国籍の選手ばかりで人気が落ち込んだこともありましたが、現在はワールドツアーの様相。参戦する古江は現地では“宮里藍的な存在”と見られています。QTに出た全選手でセカンドオナー(一番飛ばない)なのに、グリーンでは一番最後に打つ(笑)。驚異の目で見られています。ですから、私は古江に注目、メジャーでは爆発力のあるしぶこに期待します。(タケ小山/テレビ解説者)●これから世界のゴルフツアーはジェンダー問題の解決に向かうのではないでしょうか。具体的にはミックスダブルスなどの試合を公式ツアーに組み入れることです。これまでも男女混合の試合はありましたが、やはり“お遊び”の感がありました。これを賞金ランクに加算するなど、公式の試合にする方向へ進んでいくと思います。これまでは男・女は実力、人気共に隔たりがあり、同じ土俵では戦えないというのが常識でしたが、差はだいぶ縮まっていると感じます。先日、米国のコンビによる対抗戦「QBEシュートアウト」でバッバ・ワトソンと女子のレキシー・トンプソンのコンビや日本の「3ツアーズ」での西郷真央、稲見萌寧コンビなどを見てそう思いました。女性に特化した用品用具の進歩、コーチング、筋トレなどの成果ではないでしょうか。私は、公式の男女混合試合を期待します。(佐渡充高/テレビ解説者) 「3ツアーズ」でも、男子・シニアを相手に圧巻の優勝を飾った女子ツアーチーム。多士済々の百花繚乱。海外組が抜けても人気は安泰!? ●リコーカップで女子ツアーが終わったとき「ああ、終わっちゃった」と寂しく思った。開幕戦が今から楽しみ。もうプロ野球でもこんなふうに思わなくなったのに、女子ツアーはすごい!(40代男性・神奈川県)●国内女子ツアーは大好きですが、配信のみになったら見るかどうかはわかりません。米女子も渋野や古江の活躍が楽しみですが、じゃあWOWWOWに加入するかといえば微妙です。いかんせん有料チャンネルになじみのない世代なので……。(60代男性・千葉県)●これまでは、女子の海外メジャーといえば韓国人選手が勝つのが当たり前でしたが、今は日本人選手が勝っても驚きません。これからの海外女子は、日・米・韓にタイと欧州という争いになってくるでしょう。日本選手だけではありませんが、女子プロはみんなスウィングがいい。パワーだけじゃなくて、男子よりスウィングがシンプルで効率的。パワーはクラブ選択で補えるようになるので、そういう意味で特別に飛ばなくても勝てる。実際、稲見も古江も飛ぶほうではないですよね。スター選手がたくさんいるなかで、1つ自信が持てるようになれば、海外でも活躍できるはず。渋野日向子はスウィングがどうのというより“ゴルフ力”が高い選手だと思います。笹生優花のスウィングは本当に別格という感じで、またメジャーで勝つ可能性は十分。英語ができるという強みもありますからね。これからも日本人選手の世界での快進撃は続くと思います。(江連忠/プロゴルファー)●日本の女子ツアーは高レベルなうえシードが賞金50位と厳しい世界。気が抜けないことで意識レベルも上がるという好循環が起きています。稲見は男子プロのようなフェードボールを打っていますが、これはシャフトの進化など用具の恩恵を受けているから。もちろんよく練習するからその恩恵が受けられるんですけどね。女子ツアーのセッティングは基本的にさほどシビアでないので、安定したボールを打てる者と、そうではない者との差がよりはっきり出ます。そういう選手のプレーを見ていれば、トレーニングも練習も頑張るから、またレベルが上がる。米ツアーでいうと、畑岡奈紗のスウィング、いいですね。男子と同じで、下半身がしっかりしている。下半身を抑えて、上体をうまく使うスウィングなので、クラブを100%で振らないですむというのがいい点。古江や渋野も日本のシビアな競技で結果を出してアメリカに挑むのですから、環境に慣れれば期待できます。男子の場合、周りに誰かいないとダメみたいなところがありますが、女性はすぐに慣れるんじゃないでしょうか。畑岡が引っ張ってくれれば古江も小さい体で頑張ってくれると思います(水巻善典/プロゴルファー)●五輪で銀メダルの稲見、全米オープン優勝の笹生、全英女子オープン優勝の渋野。みんな世界で戦える選手。そういうなかで勝負師として自覚を持っている選手が勝てると思います。若手を見ても変なスウィングをしている選手はほとんどいません。底が上がっているだけに、ちょっと調子が悪いだけで優勝争いから脱落してしまうシビアな状況ですから、日本から米ツアーに参戦する選手たちは技術レベルは十分。問題はゴルフ以外の部分、例えばオフの過ごし方などがどうなのかな、というのはあります。それがうまくいけば、日本と同じような成績が残せるでしょう。あとは芝です。アメリカは土地によって、コースによって芝の種類が違います。聞くところによれば、タイガーは会場の芝の種類によってウェッジを微妙に替えているそうです。最初の1年はそうした芝質に慣れるようにするといいのでは。(冨永浩/テレビ解説者) こちらもチェック!
  • 世間を騒がせたスウィング改造から10カ月。「スタンレーレディス」で2年ぶりの優勝を果たした渋野は、翌週の「TOTO」で7位タイ、3週間後の「三菱電機レディス」で再び優勝。来季の米女子ツアー出場をかけたQシリーズでも目標の20位に滑り込み、賛否あったスウィング改造の成功を結果で示してみせた。では、具体的にどこが変わったのか。我々も参考にして良いのか。プロコーチの阿河徹に解説してもらった。 PHOTO/Kazuo Iwamura THANKS/川崎ゴルフ練習場 解説/阿河 徹 あがとおる。大学在学中にアメリカへ留学、米国理論を学ぶ。帰国後、金田久美子や塩見好輝など、多くのツアープロを指導 ●CONTENTS●>>#1 渋野日向子のスウィング改造変遷史>>#2 超シンプル軌道で再現性アップ>>#3 ダウンで「引く」からヘッドが走る 1年かけて振っても曲がらないスウィングを手に入れた フラット軌道で小さなトップ。2021年の開幕戦で披露した新スウィングには、各方面から賛否の声が上がった。そんな声に対し、3月のアクサレディスでは「米ツアーで戦うためには、もっと安定性、再現性が欲しい。いろいろ意見があると思いますが、最後までやり切りたい」と、この改造を完遂する姿勢を見せた渋野。実際に4月の数値を見ると、飛距離は落ちたものの、フェアウェイキープ率は前年比で10%以上アップしており、4月末のHSBC女子選手権では、なんと92.8%をマークしている。とはいえ、飛距離という強みを生かせないという声も上がるなか、なぜここまで安定性にこだわったのだろうか。プロコーチの阿河徹は次のように分析する。「私は渋野選手が飛距離ダウンを一時的に受け入れたにすぎないと考えます。なぜなら改造後、振れば振るほど曲がらないスウィングになったからです。以前の彼女は、少し軌道が波打つ印象を受けましたが、今はまるで『一筆書き』。だからこそ振れるのだと思います。長い目で見ていたからこそ、やり切りたいと言ったのではないでしょうか」実際に「楽天スーパーレディース」では281ヤードを叩き出している。そして10月には1年11カ月ぶりの優勝を果たし、米QTで20位、念願のツアーカードを獲得。世界を見据えたスウィング改造が実を結びつつある。 では具体的にどこが変わった?>>#2 超シンプル軌道で再現性アップ>>#3 ダウンで「引く」からヘッドが走る 週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号より こちらもチェック!
  • 米国女子ツアーの来季出場権をかけた最終予選会Qシリーズで、渋野日向子と古江彩佳が揃ってLPGAツアーの切符を手にした。 2週にわたり全8ラウンドで競われた厳しい戦い。1週目で70位タイまでが2週目に進み、45位タイまでがツアーカードを取得できるが、コンスタントにレギュラーツアーへ出場できるのは20位前後まで。出場選手中世界ランク最上位の実力を発揮し、終始安定したプレーを見せた古江は、7位でフル参戦権をゲットした。一方の渋野は、7ラウンド目で「79」を叩き29位タイまで後退。フル出場が危ぶまれる不本意なゴルフに会見を拒否するも、最終日には持ち直し「69」をマーク。20位タイに滑り込み、さすがの勝負強さを見せつけた。 結果を受け、海外メディアが取り上げたのは上位通過の古江ではなく渋野。「Qシリーズ注目の5人」「注目の合格者たち」のタイトルで報じられたQシリーズの特集には、渋野の名前が躍った。やはりメジャーチャンピオンの知名度&注目度は群を抜いている。「19年の全英女子オープンに優勝したヒナコ・シブノはメジャー勝利の特権(即時にツアーカードを取得できる権利)を行使せず、3年後に自力で出場権を獲得。スマイリングシンデレラがやり遂げた」と報じたのはGOLF.com。ほかにも「ニュースター誕生の予感」として渋野をフィーチャーするメディアもあり、期待度は抜群。だが昨シーズン渋野をしのぐ活躍で国内6勝を挙げ、賞金ランク2位、メルセデスランキング1位になった古江の実力をまだ世界は知らない。慣れないアメリカで期待通りの結果を出し挑戦権をつかんだ彼女は来シーズン、開幕からみせてくれるはず。153センチと小柄ながら精度の高いショットと抜群のパッティングで米ツアーを席巻するかも。Qスクールでは得意のパットが今ひとつだったが本番では古江が主役になるかもしれない。 畑岡奈紗、笹生優花に続き、2人の「ルーキー」が米女子ツアーを席巻するか?(写真は2021全米女子プロ。PHOTO/KJR) 週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号より こちらもチェック!
  • 米女子ツアーが22年シーズンのスケジュールを発表。試合数は今年と同じ34試合だが、賞金総額は過去最高の8570万ドル(約95億円)となる。 昨年のこの時期、同ツアーは21年シーズンの賞金総額が7640万ドルの過去最高になったと発表。女子プロスポーツ最古の組織としての実績を強調した。しかし来年は今季を1000万ドル(約10億円)近く上回ることに。11年続いたマイク・ワン体制を引き継ぎ、新コミッショナーとなったモリー・M・サマーン女史は、「来年はLPGA史上、もっともエキサイティングな年になるでしょう」と述べ、4月と9月に新規大会が開催されることに加え、最終戦(ツアー選手権)の優勝賞金が150万ドルから200万ドル(約2億2000万円)に増額されると報告。さらに、「全英女子オープン」が全英オープン開催コースであるミュアフィールドで、「KPMG全米女子プロ選手権」が男子メジャー大会のホストコース、コングレッショナルCCで行われることにも言及。「私たちには勢いがあります。人々は女性のスポーツに目覚めたのだと思います」とサマーン女史。アジア勢の台頭で人気が低迷したツアーを立て直すべく辣腕をふるい、成長路線に導いたワン氏の後任となって3カ月弱。「LPGAは驚くほど強い立場にいます」という新コミッショナーは、「テレビ放映時間も大幅に拡大させます。さまざまなプラットフォームを使い、選手のプレーをオンタイムで視聴できるシステムに着手しています」また「予選落ちなら賞金ゼロの世界。そういう厳しい競争のなかでも、すべての選手が十分に食べていけるだけの賞金を稼げる舞台を整えたいのです」とも。彼女の究極の願いは「女子と男子の賞金格差をなくすこと。そのためにやるべきことの優先順位をつけ戦略的にツアーを発展させていきたい」。レベルが向上している日本勢にも、どんどん挑戦していってもらいたい。 今季最終戦で2位に入り、賞金ランク3位と堂々の活躍を見せた畑岡奈紗。来季のメジャー取りにも期待(PHOTO/KJR) 週刊ゴルフダイジェスト2021年12月14日号より