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【山を動かす】日本の男子ツアー、どうすればもっと魅力的になる?

ゴルフにまつわるさまざまな問題に関し、読者や識者に率直な意見をぶつけてもらう連載「山を動かす」。今回のテーマは男子ツアー活性化について。女子ツアーが隆盛を極めるなか、男子ツアーは、どうしたら試合数をはじめ、魅力をアップさせられるか。識者やアマチュアゴルファーの意見を聞いた。

PHOTO/Tadashi Anezaki

●女子ツアーも大好きですが、男子ツアーの観戦に行ったとき、その迫力にびっくりしました。アイアンの空気を切り裂く音など、やはり男子ツアー独特のもの。テレビ中継でも、音をしっかり拾ってほしいと思います。自分のプレーの参考にするなら女子がいいかもしれませんが、男子プロのプレーを一度生で見てほしいです。(50代男性・東京都)

スポンサー対策とファン対策を分け、両方から考えなければならないと思います。スポンサーにとってはプロアマがとても大切なイベントです。それに付随している前夜祭やパーティも大切。そこではおもてなしももちろん大切ですけど、プロが与える印象も考えないといけません。好印象の第一歩は爽やかさや清潔感。髭面、伸ばしっ放しの髪の毛はどうかと思います。服装は、プレーが終わったらブレザーに着替えてほしいですね。スポンサーに「開催してよかった」「また開催したい」と思ってもらえる工夫が必要でしょう。ファンに対しては、トーナメントを見に来て、試合を楽しんでもらうのは当然ですが、わざわざお金を払って来ているのですから、何か“お得感”みたいなものを用意するといいんじゃないでしょうか。例えばメーカーや量販店に協力してもらって、ゴルフ用品を格安で販売するとか、開催地の商工会や農協に協力してもらって、ご当地グルメを安く販売するなど。開催地との協力関係も必要だと思います。そうやって会場に来るファンに、やはり「また見に来たい」と思ってもらうようにするといいんじゃないでしょうか。いろいろな団体や業者に協力を頼むのは大変だと思いますが、そういう地道できめ細かい取り組みからコツコツやっていってほしいです。(髙橋勝成/プロゴルファー)

●これまで散々、JGTOの機能不全について指摘してきましたが、今回は希望の光が見えてきた話をしたいと思います。5月に行われた「ジャパンプレーヤーズ選手権」のことです。JGTO執行部には任せておけず選手会自身で立ち上げた試合です。最初のスポンサーはコロナ禍でプロアマがなくなったことを理由に降りてしまいましたが、選手会の田島創志が新たなスポンサー(サトウ食品)を見つけてきました。従来なら代理店経費、テレビ局への放映権、運営費などで賞金総額の3倍はスポンサーが払わなければなりません。しかし、この試合はスポンサーは自分たちで見つけ(代理店なし)、テレビ放映はなく、ネット配信だけだったので、サトウ食品も費用を出しやすかったと思います。つまり、同大会は興行を自主運営できたということです。自主運営を成し遂げたのが米ツアーですよ。今回は無観客でしたが、本当なら入場券も自分たちで売るようにして、賞金総額を確保できれば、完全自主運営になります。客を呼ぶには都心に近いところ、例えば若洲ゴルフリンクスなどで開催すればギャラリーも駆けつけると思います。ブリヂストンオープンが来年から中止とのニュースが入ってきましたが、今年で49回目の伝統ある大会でもやはり、スポンサーの負担額が莫大で耐えきれなかったということでしょう。ますます自主運営大会への希求が高まっていると思います。(タケ小山/テレビ解説者)

初シードの久常涼(写真左)は19歳。実力はもちろんナイスキャラにも注目。「ともくん」の愛称でおなじみの石坂友宏(22・写真中)もシードゲット。一方、ベテランの谷原秀人(43・写真右)はVISA太平洋マスターズ、日本シリーズを制するなど気を吐く

●女子プロ12人の手作り大会「神奈川レディースオープン」を参考にしてみてはどうでしょう。協賛会社集めから運営まで、神奈川県ゆかりの女子プロ12人が手弁当で作り上げた大会です。今年で4回目。賞金総額は500万円ですが、プロたちの汗の結晶でしょう。今の女子ツアーの陰でこんな大会もあるということが貴重に思えます。(某ベテラン女子プロ)

●池田勇太に期待です。「ジャパンプレーヤーズ選手権」開催のきっかけをつくったのは彼だと聞きましたし、リーダーシップを発揮しています。ルールにも詳しいし、ちょっと不良っぽく見えますが、実はインテリかもしれません。近い将来のJGTO会長候補じゃないですか。いいと思いますね。(70代男性・東京都)

●女子ツアーは最初こそ「かわいい」とか「セクシー」で人気が出ましたが、最近は、やはり選手が真剣に一生懸命プレーしているのが理由だと思います。ただ「かわいい」だけではこれだけの人気は出ませんし、スポンサーも価値を評価していると思います。男子ツアーも昔はそうでした。僕がプロゴルファーになった頃、シード権は40位まででした。それが今では65位まで。これではトップクラスの選手ならシードを落とすことはなく“新陳代謝”が起こりにくい。このシード資格を30位とか40位までにしたら、選手はもっと必死になるように思います。選手だった僕が「シード40位まで」なんて言うと、相当反発されそうですけど、それぐらいの改革は必要だと思います。というのも、現状では女子ツアーのほうが試合数も賞金総額も多いのに、シードは50位まで。シードはツアーの規模に合わせて決めるべきでしょう。ツアーはある種のステージです。見ていて面白くなければ興行主もつかないし、お客も呼べません。選手がもっと真剣にプレーする状態を作り出してほしいです。(水巻善典/プロゴルファー)

●直接的な魅力倍増プランではありませんが、事実として、世界を感じさせる若手が出始めていると思います。この秋にプロ転向した杉原大河選手は300ヤード超の飛距離の持ち主ですし、実力派の金谷拓実選手、19歳の久常涼くん、まだアマチュアですが中島啓太選手、河本力選手、みんなグローバルな活躍を意識したコメントを聞きます。彼らが中心になったら必然的に男子ツアーの魅力も増していくはず。(50代男性・千葉県)

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より

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